Last Updated on 2025年8月11日 by 勝
小口現金とは、日常的に発生する経費の支払いに備えて手元におく少額の現金のことです。
「小口現金の残高が合わない…」「月末の精算作業に時間がかかる…」会社の日常業務で発生する少額の支払いに便利な小口現金。しかし、その管理は意外と手間がかかり、ミスも起こりがちです。
この記事では、小口現金管理の基本から、ミスを防ぐための具体的な管理方法、さらには最新のキャッシュレス化による効率的な運用方法まで、小口現金管理に関するすべてをわかりやすく解説します。
なぜ小口現金管理は難しいのか?その原因とは
小口現金管理は、なぜミスが起こりやすいのでしょうか。主な原因は以下の3つです。
取引の頻度が多い: 少額でも日々多くの取引が発生するため、記帳漏れや計算ミスが起きやすい。
管理がおろそかになりやすい:本来、小口現金を扱えるのは小口現金担当者だけのはずですが、忙しいとか不便だとか、いろいろな理由で担当者以外も取り扱うことになりがちです。誰がいつ幾ら取り扱ったのか分からなくなり、残高が合わなくなります。
紙の管理が煩雑: 支払いごとに領収書を保管する必要があり、紛失や管理ミスが発生しやすい。
これらの課題を解決するためには、「正しい管理方法」と「日々の習慣」を徹底することが不可欠です。
ミスなく正確に管理する3つの基本ルール
まずは、手書きやExcelで管理している場合に、ミスをなくすための基本ルールを3つご紹介します。
ルール1:必ず帳簿をつけよう
小口現金の動きを記録する専用の帳簿が小口現金出納帳です。いつ、誰が、何のために、いくら使ったかを正確に記録することで、現金の流れを「見える化」できます。支払いが発生したらすぐに記帳するのがポイントです。
ルール2:領収書は必ずもらい、なくさないように管理しよう
支払いの事実を証明する領収書は管理の要です。受け取った領収書は、スクラップブックなどに貼り付け、日付や内容をメモして保管しましょう。
ルール3:定期的に「実地棚卸」を行おう
実際に手元にある現金を数え、帳簿の残高と一致しているかを確認する作業が実地棚卸です。毎日、定期的に行いましょう。もし残高が合わなかった場合は、その日のうちに原因を特定し、修正することが大切です。
小口現金の保管と補充のルール
小口現金を適切に運用するためには、保管方法と補充ルールを明確に定めることが重要です。
保管のルール
施錠できる場所に保管する: 小口現金は必ず鍵のかかる金庫や引き出しに保管しましょう。
アクセス権を限定する: 担当者以外の従業員が自由に現金にアクセスできないように、アクセス権を限定します。
残高を明確にする: 常に残高を把握できるように、金種別に現金の枚数を記録しておく「金種表」などを活用するのも有効です。
補充のルール
小口現金の補充方法には、「定額資金前渡制度(インプレスト・システム)」と「随時補給制度」の2種類があります。
定額資金前渡制度:
あらかじめ決めた一定額を金庫に補充しておく方法です。
例えば、「月末に5万円を補充する」とルールを決め、使った分だけを月末に補充します。
随時補給制度:
現金が少なくなったタイミングで、必要な分だけを随時補充する方法です。
どちらの制度を採用するかは、会社の規模や利用頻度に合わせて決めましょう。
これからの管理方法:クラウドサービスとキャッシュレス化
手動での管理は、どうしてもヒューマンエラーが起こりがちです。そこで、近年はクラウドサービスやキャッシュレス決済を活用して、小口現金管理を効率化する企業が増えています。
クラウドサービスで行う小口現金管理
多くのクラウド会計ソフトや経費精算システムには、小口現金管理を効率化する機能が備わっています。
記帳・集計の自動化: 領収書をスマホで撮影するだけで、自動でデータ化・記帳されます。
リアルタイムでの情報共有: 現場の担当者が入力した情報が、リアルタイムで経理部門に共有されます。
ヒューマンエラーの削減: 計算ミスや記帳漏れが起こりにくくなります。
小口現金を「法人カード」に置き換える
小口現金の支払いを法人プリペイドカードや法人クレジットカードに置き換える方法があります。
現金のやり取りが不要に: 現金の補充や残高確認といった作業がなくなります。
経費精算が楽に: カードの利用履歴が自動でシステムに連携され、手入力の手間が大幅に削減されます。
内部統制の強化: 誰が、いつ、何に、いくら使ったかがデータとして記録され、経費の透明性が高まります。
導入時の注意点
クラウドサービスや法人カードの導入時は、既存の会計システムとの連携や、従業員への周知と教育をしっかりと行うことが重要です。
規程とマニュアルを整備する
経理規程
第◯条 経理部長は、日々の現金支払いにあてるために小口現金を置くことができる。
2 小口現金の出納責任者、小口現金の限度額、その他小口現金について必要な事項は経理部長が定める。
3 小口現金の出納責任者は小口現金の受払についての帳簿を調整し、小口現金の残高を毎日実地に調査して帳簿残高と照合しなければならない。
マニュアル
事務所にキャッシュを置いてエクセル等で管理する場合のマニュアルを作ってみました。
小口現金を廃止して法人カードに置き換えた場合のマニュアルです。
まとめ:あなたの会社に合った管理方法を見つけよう
小口現金管理は、会社の規模や運用方法によって最適な形が異なります。
小規模な会社や手軽に始めたい場合は、「3つの基本ルール」を徹底しましょう。
管理工数を大幅に削減したい場合は、「クラウドサービス」の導入を検討してみましょう。
現金のやり取り自体をなくしたい場合は、「法人カード」への切り替えを視野に入れてみましょう。
この記事でご紹介した方法を参考に、あなたの会社に合った管理方法を見つけて、より正確で効率的な小口現金管理を実現してください!
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