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安全衛生管理

産業医による職場巡視についての詳細

Last Updated on 2025年8月18日 by

産業医が職場巡視する目的

労働者の健康障害を未然に防ぐため、作業環境・作業方法・健康管理の状況を把握し、必要な改善を事業者に勧告・助言するのが目的です。労働安全衛生規則第15条に定められた産業医の義務です。

単なる安全点検ではなく、労働衛生面(有害物質・騒音・照明・温湿度など)も含めて確認する点が特徴です。

巡視の頻度

原則:毎月1回以上

巡視結果は記録し、事業者に意見を述べ、その記録を3年間保存します。

例外:2か月に1回以上

条件を満たせば、2か月に1回にできます。

条件は、事業者の同意と、次に掲げる情報の提供を受けていることです。

①衛生管理者が行った巡視の結果
②前号に掲げるもののほか、掲げるもののほか、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であつて、衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの

②が複雑ですが、通達等によると次の情報が含まれるとされています。

産業医に提供すべき具体的な情報

通達や指針で示されている、提供が推奨される情報は以下の通りです。

  • 作業環境の測定結果
    • 有害物質の濃度測定、騒音レベル、放射線量など、作業環境の状況。
  • 健康診断の結果
    • 労働者の定期健康診断、特殊健康診断、事後措置の実施状況。
  • 長時間労働者の状況
    • 労働者の労働時間、特に長時間労働になっている者の氏名、時間外労働時間数など。
  • 作業内容や作業方法の変更に関する情報
    • 新たな設備の導入、作業工程の変更、有害物質の使用など。
  • 化学物質の安全データシート(SDS)
    • 事業場で使用される化学物質の危険性や有害性に関する情報。
  • 健康保持増進のための措置に関する情報
    • 健康相談の実施状況、メンタルヘルス対策、健康指導など。

これらの情報を衛生委員会または安全衛生委員会で調査審議して産業医に提供する流れになります。

2.事業者の同意があること

巡視で何を視るか

厚生労働省「職場巡視の実施に関する指針」などを参考にすると、以下が代表例です。

  • 作業環境
    • 換気・温度・湿度・照明・騒音レベル
    • 粉じん、有害ガス、化学物質の管理状況
    • 作業場の整理整頓、通路確保、非常口の状態
  • 作業方法
    • 重量物の取り扱い方法
    • 無理な姿勢や長時間同一姿勢の有無
    • 防護具・保護具の使用状況
  • 健康管理面
    • 休憩・水分補給の確保
    • 長時間労働や過重労働の兆候
    • 精神的負担の大きい業務の有無
  • 設備・器具
    • 安全装置の機能
    • 点検・保守状況

チェックリストの例

小規模な機械組立工場を想定した産業医向け巡視チェックリストを作成しました。加除訂正してお使いください。

産業医巡視チェックリスト

令和◯年◯月◯日◯時◯分実施
産業医 ◯◯◯◯

1. 作業環境
  • [ ] 照明は十分か(作業台・機械周辺で暗所なし)
  • [ ] 換気装置は適切に作動しているか(粉じん・溶接ヒューム・溶剤臭)
  • [ ] 温湿度は作業に適しているか(夏季・冬季)
  • [ ] 騒音レベルが過大でないか、防音対策はされているか
  • [ ] 通路や作業エリアに障害物や転倒の危険がないか
2. 機械・設備の安全対策
  • [ ] 機械のガードや安全カバーは装着されているか
  • [ ] 緊急停止装置は機能しているか
  • [ ] 回転体・可動部への接触防止措置は適切か
  • [ ] 高温部位や火傷の危険箇所に注意喚起表示があるか
  • [ ] 電気設備・コードの破損や漏電の恐れがないか
3. 作業方法・姿勢
  • [ ] 無理な姿勢・過度な前屈・ねじれ作業が常態化していないか
  • [ ] 重量物の取り扱いに補助具や複数人作業が行われているか
  • [ ] 作業姿勢に応じた椅子・作業台の高さが確保されているか
4. 保護具の使用
  • [ ] 安全靴・保護メガネ・手袋など必要な保護具が支給・使用されているか
  • [ ] 保護具の損耗やサイズ不適合がないか
  • [ ] 耳栓や防じんマスクの着用が必要な作業で実施されているか
5. 化学物質管理
  • [ ] SDS(安全データシート)が整備・周知されているか
  • [ ] 危険有害物のラベル表示が明確か
  • [ ] 保管場所の換気や施錠管理が適切か
  • [ ] 廃棄物は適切に分別・処理されているか
6. 衛生管理
  • [ ] 休憩室・更衣室・トイレが清潔に保たれているか
  • [ ] 手洗い設備・石けん・消毒液が備えられているか
  • [ ] 飲料水が確保されているか
  • [ ] 救急箱や応急処置用品の整備状況
7. 健康管理・メンタルヘルス
  • [ ] 長時間労働や過重労働の兆候がないか
  • [ ] 疲労や体調不良を訴える労働者がいないか
  • [ ] ストレスの高い職場環境や人間関係の問題がないか
8. その他
  • [ ] 過去の巡視指摘事項の改善状況
  • [ ] 災害・事故の発生状況と再発防止対策
  • [ ] 緊急時の避難経路・表示・誘導灯の確認

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