Last Updated on 2023年10月11日 by 勝
原則的な基準日
労働基準法では、「入社日を基準にして」年次有給休暇を付与することが定められています。
例えば、Aさんが4月1日入社であれば10月1日に年次有給休暇を付与し、Bさんが9月10日入社なので3月10日に付与します。
そして、その翌年からは、Aさんには10月1日に新しい年次有給休暇し、Bさんには3月10日に新しい年次有給休暇します。一人一人個別に管理するわけです。
プログラムを組んでおけばたやすく管理できますが、ぱっと見には分かりにくいやり方です。手作業で管理すれば大変手間がかかります。
そこで、次のように基準日をそろえる方法が一般的です。
年次有給休暇の基準日をそろえる
ただし、年次有給休暇の基準日をそろえるには、年次有給休暇を前倒しで与える必要があります。
労働基準法で定められている付与日数を下回るわけにはいかないからです。
前倒しする方法 1
入社時に10日の年次有給休暇を前倒しする方法です。
そして、一定の日、例えば4月1日を基準日にするのであれば、次の4月1日に、6ヶ月経っていなくても、新しく11日の年次有給休暇を付与するのです。ここで基準日がそろいます。
前倒しする方法 2
不公平感を薄めるために、付与日数を逓減させる方法もあります。
4月入社であれば入社時点で10日
5月入社であれば入社時点で9日
6月入社であれば入社時点で8日
7月入社であれば入社時点で7日
8月入社であれば入社時点で6日
9月入社であれば入社時点で5日
10月入社であれば入社時点で4日
11月入社であれば入社時点で3日
12月入社であれば入社時点で2日
1月入社であれば入社時点で1日
2入社であれば入社時点でゼロ日
そして、4月1日に全員に新しい有給休暇11日を付与します。
前倒しする方法 3
入社半年に満たない場合でも、基準日、例えば4月1日がきたら10日の年次有給休暇を前倒しする方法です。
そして、翌年の4月1日には、新しく11日の年次有給休暇を付与するのです。
6ヶ月で10日付与、1年6ヶ月で11日付与という労働基準法の規定をクリアします。
問題点
上記の例以外にもいろいろアレンジできますが、基準日でそろえる場合は、仮の入社日によるシミュレーションをして、労働基準法で定められている最低基準をクリアしていることを確認して下さい。
年次有給休暇の基準日を設定すれば、付与するタイミングは社員全員同じ、消化日数の管理も社員全員同じ期間なので、管理が簡単です。
ただし、前倒しをすると、いずれの方法をとっても、入社月によって有利不利の違いがでてしまいます。公平という観点で問題があります。
そして、前倒しというのは会社のコストを考えるとマイナスです。
どの方法にも一長一短があります。どの方法をとるかは会社次第です。