高度プロフェショナル制度とは
高度プロフェッショナル制度(高プロ制度)は、「働いた時間」ではなく「出した成果」で評価される、高収入で専門性の高いホワイトカラー向けの新しい働き方です。
これは、労働基準法における労働時間、休憩、休日、深夜の割増賃金に関する規定の適用を、原則として免除する制度です。その代わりに、労働者の健康を確保するための厳しい措置(健康確保措置)が義務付けられています。
制度の目的と基本原則
高度プロフェッショナル制度の目的は、時間的な制約にとらわれず、高い成果を出せる人が、自分の裁量で柔軟に働ける環境を提供することです。
この制度が適用される労働者は、以下のすべての要件を満たす必要があります。
対象業務
ITや会計、制作、編集など専門的な知識を必要とし、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令に定められているものです。
想定されている業種例:
- 金融商品の開発業務
- 金融商品のディーリング業務
- アナリストの業務(企業・市場等の高度な分析業務)
- コンサルタントの業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案又は助言の業務)
- プログラムの開発業務
- 医療品等の研究開発業務
年収要件
年間の見込み賃金額が、厚生労働省令で定める額(現在1,075万円以上)であること。
労働者本人の同意と職務の明確化
- 労働者本人から書面による同意を得ていること。
- 対象となった労働者は同意を撤回することができること。
- 使用者との合意に基づき、職務の範囲(業務内容、責任の程度、求められる成果など)が明確に定められていること。
| 項目 | 制度の内容 |
| 評価の対象 | 労働時間ではなく、業務の成果・業績 |
| 割増賃金 | 時間外、休日、深夜の割増賃金は発生しない |
| 労働時間 | 労働者は、始業・終業時間や時間配分を自分で決めることができる |
労使委員会の決議
制度の導入には、事業場に設置された労使委員会(労働者と使用者の代表で構成)での決議が必要です。
決議をしたら、決議内容を労働基準監督署に届出ます。届出をした事業場は、健康確保措置の実施状況を定期的に行政官庁に報告する義務が生じます。
労使委員会とは
労使委員会は、賃金、労働時間その他の当該事業所の労働条件に関する事項を調査審議し、事業者に対し、当該事項について意見を述べることを目的事項として設置します。
労使委員会の規程を作成し、招集、定足数、議事その他労使委員会の運営について必要な事項を定め、議事が議事録として作成、保存され、また当該事業場の労働者に周知されている必要があります。
労使委員会での決議事項
1.対象業務
2.対象労働者
3.健康管理時間を把握する措置
4.対象労働者に付与する休日の日数
5.対象労働者に講じる措置
6.健康及び福祉を確保する措置
7.同意の撤回手続き
8.苦情への対応
9.不同意労働者への対応
10.その他
健康確保措置(セーフティネット)
労働時間規制が適用されない代わりに、労働者の健康を守るため、使用者には以下の措置を講じることが義務付けられています。
| 措置の内容 | 詳細 |
| 休日の確保 | 年間104日以上、かつ4週間を通じ4日以上の休日を付与すること |
| 健康管理時間の把握 | 事業場にいた時間と事業場外で働いた時間を合計した「健康管理時間」を客観的な方法で把握すること |
| 選択的措置 | ①勤務間インターバルの設定と深夜業の回数の制限 ②1か月または3か月の健康管理時間の上限を定める ③2週間連続の休日を年に1回以上(労働者が希望する場合には1週間連続の休日を年2回以上)与える ④健康管理時間の状況に応じて臨時の健康診断を実施する 労使委員会で上記①~④のいずれかの措置を決議し、就業規則に定める必要があります。 |
| 医師による面接指導 | 一定時間(週40時間を超える時間が1ヶ月で100時間を超えるなど)を超えて健康管理を行った労働者に対し、医師の面接指導を実施すること |
これらの健康確保措置が適切に実施されない場合、その労働者への高度プロフェッショナル制度の適用は解除され、通常の労働基準法が適用されることになります。




