カテゴリー: 育児介護

  • 産後パパ育休取得者に出生時育児休業給付金が支給される

    出生時育児休業給付金とは

    産後パパ育休と練度する制度です。令和4年10月1日より施行されています。

    産後パパ育休(出生時育児休業)を取得取得する場合、その間は休業していることから会社から賃金の支払いを受けることができません。

    その間の所得補填として、出生時育児休業給付金の交付を受けることができる制度です(雇用保険法61条の8)。

    支給条件

    支給条件は次のとおりです。

    □ 子の出生日から8週間を経過する日の翌日までの期間内に、4週間(28日)以内の期間を定めて、当該子を養育するための産後パパ育休(出生時育児休業)を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)。

    □ 休業開始前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヶ月以上あること(ない場合は就業時間数が80時間以上)

    □ 休業期間中の就業日数が最大10日以下であること

    □ 期間を定めて雇用される方の場合は、子の出生日から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、その労働契約の期間が満了することが明らかでないこと。

    支給額

    支給額は

    休業開始時賃金日額 × 休業期間の日数(28日が上限)× 67%

    です。

    これは育児休業給付金と同じです。

    申請期間は出生日の8週間経過後の翌日から起算して2か月後の月末までとなります。


    関連記事:出生時育児休業(産後パパ育休)制度のあらまし

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  • 夫婦そろって育児休業を取得すれば出生後休業支援給付

    出生後休業支援給付とは

    出生後休業支援給付金の目的は、男性育休の促進です。

    父親は子の出生後8週間以内、母親は産後休業後8週間以内に、両親ともに14日以上の育児休業を取った場合、両親それぞれに、既存の育児休業給付金(休業前賃金の67%相当額)に上乗せして、出生後休業支援給付金(休業前賃金の13%相当額)が、最大28日間支給されます。

    原則として、本人の育休取得だけでなく配偶者の育休取得も必要ですが、例外として「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当していれば、本人のみの育休取得で給付金を受け取ることができます。

    受給できる条件

    出生後休業支援給付金は、雇用保険の被保険者の方が、育児休業(産後パパ育休を含む)を取得し、以下の要件を満たした場合に支給されます。

    1.同一の子について、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される休業を対象期間に通算して14日以上取得した被保険者であること。

    2.被保険者の配偶者が、「子の出生日または出産予定日のうち早い日」から「子の出生日または出産予定日のうち遅い日から起算して8週間を経過する日の翌日」までの期間に通算して14日以上の育児休業を取得したこと、または、子の出生日の翌日において「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当していること。

    給付金の額と期間

    支給額の計算式:
    支給額 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数(実際に休業した日数) × 13%

    休業開始時賃金日額:休業開始時賃金日額は、原則として、育児休業開始前6か月間の総支給額(保険料等が控除される前の額。賞与は除きます。)を180で除した額です。

    支給日数:実際に休業した日数です。(28日が上限)

    支給率:給付金の支給率は13%です。

    育児休業給付(出生時育児休業給付金または育児休業給付金。いずれも「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」)も支給されるので、育児休業給付と出生後休業支援給付金を合わせると、支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×80%」となります。

    人事担当者が行う手続き

    出生後休業支援給付金の申請は原則として事業主(会社)が行うこととされています。

    提出時期

    出生後休業支援給付金の支給申請は、原則として、出生時育児休業給付金または育児休業給付金の支給申請と併せて、同一の支給申請書を用いて行っていただくこととなります。

    出生時育児休業給付金または育児休業給付金の申請後に、出生後休業支援給付金の支給申請を別途行うことも可能ですが、その場合は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給された後に申請することになります。

    必要な書類

    ・雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書(会社が作成。休業開始前の賃金状況を証明する書類)

    ・出生後休業支援給付金支給申請書(ハローワーク指定様式)(会社が作成し、社員にも署名・押印してもらう欄があります)

    ・休業していることを証明する書類(出勤簿、賃金台帳、就業規則など)

    ・子の住民票記載事項証明書など(世帯全員の記載があり、本人と子の氏名・生年月日が確認できるもの。出産日は必須。)

    新しい制度のため、不明な点や具体的な運用方法については、管轄のハローワークや社会保険労務士に積極的に相談し、正しい知識を持って対応することが重要です。


    関連記事:育児休業を取得すれば育児休業給付金が支給される

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  • 子が3歳になるまでに仕事と育児の両立に関する制度の説明と取得意向を確認するための面談をしなければなりません

    主旨

    労働者が事業主に対して妊娠・出産などを申し出た場合には、事業主は労働者との面談を実施して、仕事と育児の両立に関する制度の説明をし、個別の意向を聴取し、その意向に配慮することが義務付けられます。(育児・介護休業法改正法21条2項・3項)。

    この面談は、子が3歳になるまでの適切な時期に実施しなければなりません。加えて、最初の利用時以降にも定期的な面談等を実施することが望ましいとされています。(指針)

    行うべきこと

    制度の説明

    事業主は、労働者に対して仕事と育児の両立に関する制度の説明をしなければなりません。

    意向の聴取

    子や家庭の状況により、両立が困難となる場合もあるため、労働者の離職を防ぐ観点から、勤務時間帯や勤務地、両立支援制度の利用期間の希望等に関する意向を確認しなければなりません。

    意向に対する配慮

    意向を確認したあとは、自社の状況に応じ、事業主はその意向に配慮をしなければなりません。

    始業・終業時刻の調整、就業場所の調整、業務量の調整、子の養育に関する制度または措置の利用可能期間の見直し、その他労働条件の見直しなど。

    妊娠出産の申出時の面談等

    上記の面談等は、子が3歳になるまでの適切な時期に行う面談等ですが、妊娠・出産の申出があったときに行うべき制度説明や意向確認、配慮についても育児・介護休業法に定めがあります。

    関連記事:妊娠出産等の申出に対して制度周知や意向確認をするときの注意点


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  • 育児休業等の取得状況を公表しなければなりません

    根拠法など

    2025年4月から、従業員300人超の企業に対し、育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられました。

    育児休業等の取得状況についての公表義務は、育児・介護休業法により実施されています。

    育児・介護休業法
    (育児休業の取得の状況の公表)
    第二十二条の二 常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、毎年少なくとも一回、その雇用する労働者の育児休業の取得の状況として厚生労働省令で定めるものを公表しなければならない。

    対象

    公表義務があるのは、常時雇用する労働者数が1,000人超の企業です。

    一時的に常時雇用する労働者が1,000人以下になることがあっても、常態として1,000人を超えて雇用している場合は育児休業の取得状況を公表しなければなりません。。

    常時雇用する労働者が1,000人以下の企業が1,000人を超えた時点で育児休業の取得状況を公表する義務が課されます。

    常時雇用する労働者とは

    常時雇用する労働者とは、雇用契約の形態を問わず次のいずれかに該当する労働者です。
    □ 期間の定めなく雇用されている者
    □ 過去1年以上引き続き雇用されている者
    □ 雇入れの時から1年以上の継続した雇用が見込まれる者

    公表すべき内容

    公表すべき内容は、公表を行う日の属する事業年度の直前の事業年度(公表前事業年度)における男性の「育児休業等の取得割合」または男性の「育児休業等と育児目的休暇の取得割合」のいずれかの割合です。

    男性の育児休業等の取得割合

    男性の育児休業等の取得割合は以下の計算式で求めます。

    公表前事業年度において雇用する男性労働者が育児休業等を取得したものの数
    ÷
    公表前事業年度において雇用する男性労働者の中で配偶者が出産したものの数

    公表する割合は、小数点第1位以下を切り捨てたものとします。

    育児休業等とは

    育児休業等とは、育児休業(産後パパ育休を含む)だけでなく、法第23条第2項(3歳未満の子を育てる労働者について所定労働時間の短縮措置を講じない場合の代替措置義務)又は第24条第1項(小学校就学前の子を育てる労働者に関する努力義務)の規定に基づく措置として育児休業に関する制度に準ずる措置を講じた場合の、その措置に基づく休業を含みます。

    複数の事業年度で取得した場合

    事業年度をまたがって取得した場合は、休業を開始した日を含む事業年度の取得とし、分割して複数の事業年度において取得した場合は、最初の取得のみを計算の対象とします。

    分割して取得した場合

    育児休業を分割し2回取得したとしても、同一の子に対して取得したものであれば1人として数えます。

    男性の育児休業等と育児目的休暇の取得割合

    男性の育児休業等と育児目的休暇の取得割合は以下の計算式で求めます。

    ( 公表前事業年度において雇用する男性労働者が育児休業等を取得したものの数+小学校就学前の子を養育する男性労働者を雇用する事業主が講ずる育児を目的とした休暇制度を利用したものの数 )
    ÷
    公表前事業年度において雇用する男性労働者の中で配偶者が出産したものの数

    公表する割合は、小数点第1位以下を切り捨てたものとします。

    育児を目的とした休暇制度とは

    育児を目的とした休暇制度とは、育児を目的とするものであることが明示されている休暇制度を指し、配偶者出産休暇制度や育児参加奨励休暇制度などが該当します。

    入園式・卒園式などの行事や、予防接種等の通院のために勤務時間中の外出を認める制度も含まれますが、育児休業等と子の看護休暇は除外されます。

    育児休業と育児を目的とした休暇制度の両方を取得した場合も、同一の子に対して取得したものであれば1人として数えます。

    公表前事業年度において配偶者が出産した男性労働者数が0人の場合は、割合を算出することができないため「-」と表記します。

    公表の方法等

    育児休業取得状況は年に1回、自社のホームページまたは厚生労働省運営のウェブサイト「両立支援のひろば」を利用して公表します。

    事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表しなければなりません。


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  • 3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できる制度

    制度の内容

    子どもが3歳になるまでの在宅勤務制度(テレワーク)が事業主の努力義務の一つになります。

    育児休業を取得していない労働者で短時間勤務制度を講ずることが困難な場合の代替措置として追加されました。

    2025(令和7)年4月1日に施行されます。

    すべての労働者にテレワークを強制したり、テレワークが不可能な業種や職種にテレワークを強制するものではありません。

    この制度を導入することによって、通勤時間がなくなることで、短時間勤務しかできなかった人がフルタイム勤務が可能になる、あるいは浮いた時間で家事をこなすことでワークライフバランスを保ちやすくなるというメリットが考えられます。

    三歳以上小学校入学前の子の場合のテレワークとの違い

    育児・介護休業法の改正により提供が義務付けられる「柔軟な働き方を実現するための措置」について、「三歳に満たない子」と「三歳以上小学校就学前の子」を養育する労働者に対するテレワークの扱いは、義務の内容と具体的な要件において異なります。

    「三歳に満たない子」を養育する労働者の場合

    代替措置としての位置づけ

    3歳に達するまでの子を養育する労働者を対象とする短時間勤務制度は、業務の性質や実施体制により措置を講じることが困難な場合、労使協定により対象外とすることができます。

    この場合、事業主は代替措置を講じる義務があり、その代替措置の一つとしてテレワーク等(在宅勤務等)が加わりました。現行制度における他の代替措置は、フレックスタイム制、時差出勤、保育施設の設置運営等です。

    したがって、テレワークは短時間勤務制度の代替的な選択肢として提供されるものです。

    「三歳以上小学校就学前の子」を養育する労働者の場合

    義務化された5つの選択肢の一つ

    令和7年10月1日から、事業主は3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に対して、以下の5つの選択肢の中から2つ以上の措置を講じる義務があります。

    1. 始業時刻変更等の措置(フレックスタイム制や時差出勤など)
    2. 在宅勤務等の措置(テレワーク)
    3. 育児のための所定労働時間の短縮措置
    4. 育児に関する目的のために利用できる休暇(子の看護等休暇、介護休暇、年次有給休暇を除く)を与えるための措置
    5. その他厚生労働省令で定める措置

    この場合、テレワークは短時間勤務制度の代替措置としてではなく、独立した柔軟な働き方の選択肢の一つとして提供が義務付けられます。


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  • 3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者が選択できる措置

    3歳以上、小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現するための措置を実施しなければなりません。(2025年10月改正施行)

    関連記事:「柔軟な働き方を実現するための措置」を選択した場合の注意点

    目次
    1. 3歳から小学校就学前の子を養育する労働者への柔軟な働き方を実現するための措置の義務化に関するQ&A
      1. Q1: この措置はどのような目的で導入されますか?
      2. Q2: どのような労働者がこの措置の対象となりますか?
      3. Q3: 事業主はどのような措置を講じる義務がありますか?
      4. Q4: 措置を講じる際に、労使協定による除外規定はありますか?
      5. Q5: 措置を選択する際、事業主はどのような手続きを踏む必要がありますか?
      6. Q6: 労働者への個別の周知・意向確認は義務ですか?
      7. Q7: 個別の周知・意向確認はどのように行えばよいですか?
      8. Q8: 「3歳になるまでの適切な時期」とは具体的にいつを指しますか?
      9. Q9: 労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮も義務化されますか?
      10. Q10: 所属長や直属の上司が個別周知や意向確認・聴取を行ってもよいですか?
      11. Q11: 労働者の業務内容によって、事業主が用意した措置が利用できない場合、事業主は義務を果たしたことになりますか?
      12. Q12: テレワーク等の措置を導入する際に、事業主としてどのような配慮が求められますか?
      13. Q13: 既存の休暇制度を「養育両立支援休暇」として充当することは可能ですか?
      14. Q14: これらの措置の利用を理由として、労働者に不利益な取扱いをすることは禁止されますか?

    3歳から小学校就学前の子を養育する労働者への柔軟な働き方を実現するための措置の義務化に関するQ&A

    Q1: この措置はどのような目的で導入されますか?

    少子高齢化が進む中で、出産・育児による労働者の離職を防ぎ、男女ともに希望に応じて仕事と育児を両立できる社会を実現することが重要な課題とされています。特に、子の年齢に応じてフルタイムで残業をしない働き方や、フルタイムで柔軟な働き方を希望する割合が高まっていることから、男女ともに希望に応じたキャリア形成と育児の両立を可能にすることを目指しています。

    Q2: どのような労働者がこの措置の対象となりますか?

    3歳から小学校就学前の子を養育する労働者が対象です。ただし、日々雇用される労働者は除外されます。

    Q3: 事業主はどのような措置を講じる義務がありますか?

    事業主は、以下の5つの措置の中から、2つ以上を選択して講じる義務があります。労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。

    1.始業時刻等の変更の措置: フレックスタイム制や、1日の所定労働時間を変えずに始業・終業時刻を繰り上げまたは繰り下げる時差出勤制度などが含まれます。

    2.在宅勤務等の措置: 自宅やそれに準ずる場所での勤務を指します。原則として時間単位での利用が可能で、1日10労働日以上の利用日数確保が求められます(週5日勤務の場合)。

    3.育児のための所定労働時間の短縮措置(短時間勤務制度): 1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含まなければなりません。

    4.就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与: 1年間に10労働日以上の休暇を付与する措置です。原則として時間単位での取得が可能で、始業時刻から連続または終業時刻まで連続する形での利用が想定されています。

    5.保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与: ベビーシッターの手配や費用負担などが含まれます。

    Q4: 措置を講じる際に、労使協定による除外規定はありますか?

    はい、以下の労働者については、労使協定を締結することで措置の利用対象外とすることができます。

    •その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者。
    •1週間の所定労働日数が2日以下の労働者。

    ただし、養育両立支援休暇においては、時間単位での取得が困難と認められる業務に従事する労働者は、労使協定により時間単位取得の対象外とできますが、1日単位での取得を拒むことはできません。

    Q5: 措置を選択する際、事業主はどのような手続きを踏む必要がありますか?

    事業主が講じる措置を選択する際、過半数組合等からの意見を聴く機会を設けなければなりません。また、より労働者が利用しやすい措置となるよう、子を養育する労働者からの意見聴取やアンケート調査も併せて行うことが望ましいとされています。

    Q6: 労働者への個別の周知・意向確認は義務ですか?

    はい、義務です。労働者の子が3歳になるまでの適切な時期に、事業主は、柔軟な働き方を実現するための措置として選択した制度に関する事項(対象措置、申出先、所定外労働の制限、時間外労働の制限など)を個別に周知し、制度利用の意向を確認しなければなりません。

    Q7: 個別の周知・意向確認はどのように行えばよいですか?

    面談、書面交付、FAX、または電子メール等の方法で行うことができます。面談はオンラインでも可能ですが、対面と同程度の質を確保する必要があります。電子メール等による場合は、労働者が記録を出力して書面を作成できるものに限られます。

    Q8: 「3歳になるまでの適切な時期」とは具体的にいつを指しますか?

    A8: 子が1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日までの1年間とされています。

    Q9: 労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮も義務化されますか?

    はい、義務です。事業主は、労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出たとき、および子が3歳になるまでの適切な時期に、子や各家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する以下の事項について、労働者の意向を個別に聴取しなければなりません。

    1.勤務時間帯(始業および終業の時刻)
    2.勤務地(就業の場所)
    3.両立支援制度等の利用期間
    4.仕事と育児の両立に資する就業に関する条件

    事業主は、聴取した意向について、自社の状況に応じて配慮する義務があります。

    Q10: 所属長や直属の上司が個別周知や意向確認・聴取を行ってもよいですか?

    はい、事業主から委任を受けていれば、所属長や直属の上司が行っても差し支えありません。ただし、労働者が意向を表明しにくい状況にならないよう、実施者となる所属長や直属の上司に対し、制度の趣旨や適切な実施方法等を十分に周知しておくことが重要です。

    Q11: 労働者の業務内容によって、事業主が用意した措置が利用できない場合、事業主は義務を果たしたことになりますか?

    労働者の職種や配置等から利用できないことがあらかじめ想定できるものを措置することは、事業主が措置義務を果たしたことにはなりません。企業単位だけでなく、事業所単位や職種ごとに講じる措置の組み合わせを変えるなど、職場の実情を適切に反映させることが望ましいです。

    Q12: テレワーク等の措置を導入する際に、事業主としてどのような配慮が求められますか?

    夜間の勤務や長時間労働により心身の健康に不調が生じることがないよう配慮し、労働者自身による心身の健康保持を促すことが望ましいとされています。例えば、適切な労務管理、面談による健康状況の把握、勤務間インターバルの導入などが考えられます。

    Q13: 既存の休暇制度を「養育両立支援休暇」として充当することは可能ですか?

    はい、可能です。養育両立支援休暇の具体的な取得理由は、就業しつつ子を養育することに資するものであれば労働者に委ねられます。したがって、子を養育する目的以外の用途を含んだ休暇制度であっても、労働者が希望すれば養育両立支援休暇として年10日利用できることが担保されていれば、措置を講じたものとして差し支えありません。

    Q14: これらの措置の利用を理由として、労働者に不利益な取扱いをすることは禁止されますか?

    はい、禁止されます。柔軟な働き方を実現するための措置の利用を申し出たことや、妊娠・出産等の申出時、または子が3歳になる前の時期に聴取された労働者の仕事と育児の両立に関する意向の内容を理由とする不利益な取扱いは禁止されています。


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