カテゴリー: 退職

  • 健康保険資格喪失を証明する退職証明書のサンプル

    退職証明書のサンプル

    退職証明書

    次の者が当社を退職したことにより、全国健康保険協会の健康保険の被保険者資格を喪失したことを証明します。

    住所

    氏名

    生年月日

    勤務先

    資格喪失日

    上記以外の国民健康保険に加入を希望する者

    住所

    氏名

    生年月日

    令和◯年◯月◯日

    ◯◯市◯◯町◯丁目◯番地◯号
    ◯◯株式会社
    代表取締役社長◯◯◯◯㊞

    記載上の注意点

    健康保険に加入していた人が退職後に国民健康保険に加入する手続きに行くと、市区町村は健康保険資格喪失証明書の提出を求めます。

    この証明書は、日本年金機構に「健康保険・厚生年金保険資格取得・資格喪失等確認請求書」を提出すると発行してくれます。

    ただし、若干の手間と時間がかかるので、事業主が健康保険の資格喪失したことを証明書する退職証明書を発行することがあります。

    事業主が発行する証明書で受け付けてもらえるかどうか、事前に退職者の居住市区町村のホームページで調べて、大丈夫であれば交付します。

    基本的には、国民健康保険に加入する予定の全員の氏名(サンプルは1名のみなので適宜追加して下さい)、その生年月日、住所、健康保険の資格喪失日、勤務先名を記載して、事業主の住所名称、押印があれば要件を満たします。初めてのときは事前に担当窓口に書式を示して確認してもらいましょう。


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  • 退職証明書のサンプル

    退職証明書のサンプル

    退職証明書

    令和 年 月 日

    〇〇株式会社
    代表取締役〇〇〇〇

           殿

    貴殿は当社を令和 年 月 日に退職したことを証明します。

    1 あなたの勤務期間
    2 あなたが従事した業務
    3 社内における地位
    4 賃金
    5 退職の事由(該当する欄にチェックを付します)
      □ 自己都合による退職
      □ 当社の勧奨による退職
      □ 定年による退職
      □ 契約期間の満了による退職
      □ 移籍による退職
      □ その他(具体的には )による退職
      □ 解雇(別紙の理由による。)

    (第2ページ)

    解雇の理由

    1 天災その他やむを得ない理由(具体的には、           によって当社の事業の継続が不可能となったこと。)により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

    2 事業縮小等当社の都合(具体的には、当社が、           となったこと。)により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

    3 職務命令に対する重大な違反行為(具体的には、あなたが           したこと。)により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

    4 業務については不正な行為(具体的には、あなたが           したこと。)により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

    5 勤務態度又は勤務成績が不良であること(具体的には、あなたが           したこと。)により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

    6 その他(具体的には、           )により就業規則第〇条第〇項第〇号を適用して解雇した。

    記載上の注意点

    労働者が退職するときに在職中の契約内容等について証明書の交付を請求したときは、使用者は遅滞なく交付しなければなりません。

    空白部分を記入し、労働者の請求しない事項を記入してはならないので該当箇所を適宜カットしてください。

    退職の事由については、該当する欄にチェックを付けます。

    解雇の理由については、該当しない項目を削除して適宜番号を変更して作成します。

    解雇された労働者が解雇の理由を請求しない場合には、(別紙の理由による)の部分を二重線で消し別紙(2ページ)を削除します。


    関連記事:退職証明書について

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  • 従業員がすぐにやめてしまったときの社会保険料

    従業員がすぐに辞めたとき

    長く働いてもらうつもりで採用したのにすぐに辞められてしまうことがあります。これにはいろいろな原因が考えられ、多くの場合には採用した側の問題も多いので大いに自省しなければならないのですが、ここでは社会保険料のことを書いておきます。

    社会保険料の徴収

    原則的扱い

    辞めたときの社会保険料は、資格喪失日(退職日の翌日)の属する月の前月の分までが徴収されます。

    つまり、月末が31日だとして31日付の退職だとその月の分の保険料は徴収されますが、30日に退職したのであればその月の分の保険料は徴収されません。

    同月得喪の特例

    同じ月の中に社会保険の資格取得日と資格喪失日の両方がある場合(つまり、入社した月に退職した場合)の社会保険の手続きには特例が適用されます。社会保険の「同月得喪」といいます。

    同月得喪の場合、社会保険料の取り扱いが通常とは異なるので注意が必要です。

    同月得喪の場合は、月内に1日でも被保険者として在籍していれば、月の途中で資格を喪失した場合でも1か月分の社会保険料を徴収されることになります。

    たとえば、4月1日に入社した従業員が、4月20日に退職した場合が同月得喪に該当します。

    資格喪失日は退職日の翌日となるため、退職日が月末の場合は同月得喪には該当しません。

    数日で退職してしまうケースもあると思いますが、そうした場合には、日割りになってしまう給与の支給額よりも社会保険料の控除額の方が多くなってしまいます。別途支払ってもらわなければならないのですが、すんなり払われない場合もあります。同月得喪に該当する退職申し出があったときは、速やかにこの社会保険の仕組みを説明してお金を準備するように働きかける必要があります。

    辞めた月に再就職した場合

    健康保険の扱い

    退職した月のうちに他の会社に採用されて健康保険の被保険者になったときは、その会社でも健康保険料が発生します。同月得喪の手続きで退職した人は、結果的に、その月の健康保険料はダブルで払わなけれならないことになります。

    厚生年金保険の扱い

    同じ社会保険でも、厚生年金保険の方は、同時得喪で徴収された厚生年金保険料が還付されます。

    会社は、同月得喪のルールに従い退職者から1か月分の保険料を徴収しますが、退職月のうちに次の転職先で厚生年金に加入すれば、年金機構がそれを把握して前の会社が同月得喪で徴収した厚生年金保険料を還付します(数か月かかります)。

    還付を受けた会社は退職者にその保険料を返金しなければなりません。

    すぐに再就職しないで国民年金に加入した場合も同様の措置がとられます。年金の方は二重払いにならないようになっているのです。

    なお、同月得喪に該当し、しかも後日還付されることが確実な事情があっても、社会保険の手続き上、一度度納付してから還付を受けることになっています。

    手続きができないとき

    辞めた本人は数日しかいなかったから取られるものはないだろうと安易に考えているものです。1日でも在籍したら1か月の社会保険料がかかるということを、入社手続きのときに説明しておいた方がよいでしょう。

    また、辞めますと申し出てくれれば手続きすることができますが、なかには連絡なしに出社しなくなったり、音信不通、行方不明になってしまうこともあります。そのようなときは同時得喪どころの問題でなく、退職手続きをしてよいものかどうか悩むことになります。

    関連記事:従業員が行方不明になったとき


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  • アウトプレースメントとは

    アウトプレースメントとは従業員の転職を支援するサービスやそのビジネスのことです。

    企業が雇用調整の必要があって人員削減を行う場合に、基本的にはその企業の人事部門等が退職することになった従業員の再就職などについて一定の支援を行いますが、その退職者支援サービスを外部の専門企業に委託することを一般的にアウトプレースメント(outplacement)といいます。

    アウトプレースメントは人員整理の場合だけでなく、定年退職者に対する再就職支援事業としても実施されます。

    委託を受けた支援サービスの専門企業は、退職予定者に対して教育研修を行ったり、求人を紹介するなどの再就職の支援を行います。この費用は人員整理を行う企業が負担します。

    アウトプレースメントは、アメリカにおいて誕生したビジネスですが、日本でもバブル崩壊後リストラを行う企業が増加したことから人材ビジネスの一つとして定着しました。


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  • 秘密保持・競業避止に関する誓約書のサンプル

    誓約書のサンプル1

    〇〇株式会社
    代表取締役〇〇〇〇殿

    私は、貴社を退職するにあたり、以下の事項を遵守することを誓約いたします。

    1.私は、在籍中に従事した業務において知り得た貴社が秘密として管理している営業秘密について、貴社を退職した後においても、他の事業者その他の第三者のために開示、あるいは、自ら使用いたしません。

    2.私は、在籍中に入手した貴社の営業秘密に関連するデータ・書類等は、退職時にすべて返還し一切保有しておりません。

    3.私は、営業秘密が貴社に帰属することを確認し、貴社に対して営業秘密が私に帰属する旨の主張をいたしません。

    4.私は、退職後1年間、貴社からの許諾がない限り、貴社で従事した〇〇の開発に係る職務を通じて得た経験や知見が貴社にとって重要な企業秘密ないしノウハウであることに鑑み、当該開発及びこれに類する開発に係る職務を、貴社の競合他社(競業する新会社を設立した場合にはこれを含む。以下、同じ。)において行いません。また、貴社で従事した〇〇に係る開発及びこれに類する開発に係る職務を、貴社の競合他社から契約の形態を問わず、受注ないし請け負うことはいたしません。

    5.私は、貴社に在職中及び退職後1年間にわたり、私又は私の関係者を通じて、貴社の役員若しくは従業員に対し、退職の勧誘や引抜き行為等の働きかけをいたしません。

    6.私は、本誓約書及び営業秘密に関する諸規定に違反して貴社に損害を与えた場合は、これにより貴社が被った一切の損害を遅滞なく賠償いたします。

    令和〇年〇月〇日

    現住所 〇〇市〇〇町〇丁目〇番地〇号

    氏名               ㊞

    誓約書のサンプル2

    私は、貴社に在職中及び退職後において、以下の事項を遵守することを誓約いたします。

    第1条(在職中の競業避止義務)

    1.私は、貴社に在職中、貴社の事前の書面による承諾を得ることなく、貴社の事業と競合する事業を自ら営み、又は競合する事業を営む第三者の役員、従業員、顧問、請負人その他の従業者若しくはこれらに準ずる立場に就任しないことを誓約いたします。

    2.私は、前項に定める他、在職中、貴社の事業に不利益を与える行為、貴社の利益を害する行為を行わないことを誓約いたします。

    第2条(退職後の競業避止義務)

    1.私は、貴社を退職した後も、貴社における職務経験及び貴社から取得した営業秘密、顧客情報その他の重要な情報を利用し、貴社の正当な利益を不当に害することがないよう、以下の競業避止義務を遵守することを誓約いたします。

    (1)禁止期間:貴社退職後〇年間
    (2)禁止地域:〇〇地域
    (3)禁止される業務:
    (4)禁止される行為:
    ア.自ら(個人事業主として含む)前号に定める業務を営むこと。
    イ.前号に定める業務を営む第三者(競合他社等)の役員、従業員、顧問、請負人その他の従業者若しくはこれらに準ずる立場に就任すること。
    ウ.貴社の顧客(退職時及び退職前〇年間の顧客)に対し、直接的又は間接的に、貴社と同種又は類似の業務の取引を勧誘すること。
    エ.貴社の従業員(退職時及び退職前〇年間の従業員)に対し、貴社を退職して自己又は第三者に就職するよう勧誘すること。

    2.貴社は、第1項に定める競業避止義務の対価として、私に対し、〇〇(例:月額〇円の競業避止手当、退職金に〇〇円加算など具体的な代償措置を記載)を支給します。

    第3条(損害賠償)

    私は、本誓約書の各条項に違反した場合、貴社に生じた一切の損害を賠償する責任を負うことを誓約いたします。

    第4条(裁判管轄)

    本誓約に関する紛争については、〇〇地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意いたします。

    上記の内容を理解し、遵守することを誓約いたします。

    年  月  日

    住所              
    氏名             印

    〇〇株式会社 御中

    記載上の注意点

    期間、地域、業務の範囲は具体的に、かつ合理的な範囲で定めることが重要です。

    競業避止義務については、憲法に定められた職業選択の自由があるので、誓約させたからといって同業他社への転職や開業を完全に阻止できるとは限りません。

    営業秘密についても、退職した元従業員の行動を把握するのは難しいので、書いてもらえば安心というものではありません。この誓約書の目的は、書いてもらうことによる心理的な抑制効果を狙うものだと言えます。

    退職後の義務を課す場合、代償措置は必須ではありませんが、裁判で有効性が認められる可能性が高まります。


    関連記事:一般社員の競業避止義務とは?知っておくべきルールと対策

    関連記事:営業秘密はどのように守るか

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  • 一般社員の競業避止義務とは?知っておくべきルールと対策

    「競業避止義務」という言葉を聞いたことがありますか? 会社の重要な情報やノウハウを守るために、社員が知っておくべき、そして会社が適切に管理すべき大切なルールです。

    今回は、特に「一般社員」に焦点を当てて、競業避止義務とは何か、そして会社としてどのような対策が有効なのかを分かりやすく解説します。

    競業避止義務って、そもそも何?

    競業避止義務とは、簡単に言えば「会社に不利益を与えるような、競合他社での活動や、競合する事業の立ち上げを控える義務」のことです。

    会社は、日々事業活動を行う中で、顧客リスト、開発中の製品情報、営業戦略、製造ノウハウ、仕入れルートなど、様々な企業秘密や営業秘密を築き上げています。これらは、会社が市場で競争に勝ち、利益を上げていくための大切な資産です。

    もし、社員がこれらの秘密やノウハウを使って、副業を始めたり、同業他社に情報をもらしたり、退職後に同業他社に転職したり、独立して同じような事業を始めたりしたらどうなるでしょうか? 会社は大切な顧客を失ったり、競争優位性を失ったりして、大きな損害を被る可能性があります。

    競業避止義務は、こうした事態を防ぎ、会社の正当な利益と競争力を守るために存在するのです。

    一般社員の競業避止義務はいつ、どこまで適用される?

    取締役の場合と異なり、一般社員の競業避止義務は、多くの場合は就業規則に規定されています。また、個別の「契約」による場合もあります。

    在職中の競業避止義務

    社員が会社に在籍している間は、就業規則に定められた競業避止義務が適用されます。

    また、競業避止義務に関する合意書を取り交わしている場合もあります。

    さらに、就業規則や合意書がなくても、競業避止義務がないというわけではありません。社員は会社と雇用契約を結んでおり、社員は会社のために誠実に働く義務があるからです。これを「誠実義務」と呼びます。

    つまり、会社の許可なく、同業他社でアルバイトや副業をしたり、在職中に、会社の顧客を個人的に引き抜こうとする。あるいは、会社の営業秘密を競合他社に漏らすなどの行為は、競業避止義務規定がない就業規則でも禁止されていることがほとんどであり、違反すれば懲戒処分の対象となる可能性があります。

    退職後の競業避止義務

    退職した後の社員は、原則として競業行為は自由です。なぜなら、社員には「職業選択の自由」があり、退職後に仕事をする権利は最大限尊重されるべきだからです。

    しかし、以下のいずれかの条件を満たす場合は、退職後も競業行為が制限されることがあります。

    1.競業避止に関する「合意書」や「誓約書」を会社と取り交わしている場合

    2.就業規則に「退職後の競業避止義務」に関する規定があり、かつ社員がその就業規則に同意している場合

    ただし、退職後の競業避止義務は、社員の職業選択の自由を制限するため、その有効性は非常に厳しく判断されます。

    経済産業省の「秘密情報の保護ハンドブック 企業価値向上に向けて」「参考資料5 競業避止義務契約の有効性について」では、競業避止義務契約の有効性について争いとなった判例を分析し、ポイントとなる6つの基準を紹介しています。

    守るべき会社の利益があるか(守秘すべき重要な情報など)

    競業を禁止する期間が合理的か(長すぎると無効になりやすい)

    禁止される地域が合理的か(全国一律ではなく、会社の営業範囲など)

    禁止される業務の範囲が合理的か(広すぎないか)

    代償措置があるか(競業しないことに対する別途の手当、退職金の加算など)

    退職時の地位・職務内容(重要な情報を知りうる立場だったか)

    会社が取るべき対策とは?

    就業規則への明記

    まず、社員が会社に在籍している間の競業避止義務について、そして退職後の義務についても、就業規則に明確に規定しましょう。

    就業規則規定案:競業避止義務|就業規則

    誓約書・合意書の締結

    退職後の競業避止義務を課す場合は、入社時や重要な職務に就く際に、社員と個別に誓約書合意書を取り交わすことが非常に重要です。これにより、社員が義務の内容を明確に認識し、トラブルを未然に防ぎやすくなります。

    書式例:秘密保持・競業避止に関する誓約書のサンプル

    秘密保持義務も合わせて強化する

    競業避止義務と並んで重要なのが「秘密保持義務」です。競業避止義務は「競合行為そのもの」を制限しますが、秘密保持義務は「会社の秘密情報」の利用・開示を制限します。

    たとえ競業避止義務契約を結んでいなくても、営業秘密の不正利用は不正競争防止法で規制されています。秘密情報へのアクセス制限、持ち出し制限、秘密である旨の表示など、会社として秘密管理を徹底しましょう。

    関連記事:営業秘密はどのように守るか

    まとめ

    一般社員の競業避止義務は、会社が持つ貴重な情報資産を守り、事業の安定性を確保するために非常に重要な制度です。

    在職中:社員は就業規則の規定により競業避止義務を負います。

    退職後:原則自由ですが、合理的な範囲での合意(契約・就業規則)と代償措置があれば、制限を課すことができます。

    人材の流動性が高まる現代において、会社の利益を守りつつ、社員の権利も尊重するバランスの取れた競業避止義務の運用が求められています。トラブルを未然に防ぐためにも、就業規則への明記や個別合意書の締結、そして何よりも社員への丁寧な説明を心がけましょう。


    関連記事:取締役の競業避止義務について詳しく解説

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