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労働基準法と労働契約法の違いは?事務担当者が理解すべきポイント

Last Updated on 2025年7月12日 by

労働契約法と労働基準法の違い

「労働契約法」と「労働基準法」の違いについて、新人担当者と労務課長が会話する形式で解説しました。

新人担当者(佐藤):課長、ちょっとお伺いしたいんですが、「労働契約法」と「労働基準法」って、どちらも労働関係の法律ですよね?どう違うんでしょうか?

労務課長(田中):いい質問だね。確かにちらも労働者を守る法律だけど、目的や内容が違うんだよ。

佐藤:そうなんですか?同じような法律かと思ってました。

課長:じゃあ順を追って説明しよう。

目的の違い

課長:まず、「労働基準法」は、国が定めた労働条件の最低ラインを決めた法律だ。例えば、賃金の支払い方とか、一日の労働時間など、どんな会社でも絶対に守らなければならない基準が書かれている。

佐藤:つまり、「これ以下はダメ」っていうラインを決めてるんですね。

課長:そう。それに違反すると罰則もある。労働基準監督署が監督していて、是正勧告書という行政文書を発するし、悪質だと書類送検されることもあるよ。

一方の「労働契約法」は、会社と従業員が交わす労働契約のルールを定めた法律なんだ。契約の「成立」「変更」「終了」に関する基本的な考え方が書かれている。

佐藤:じゃあ、労働契約法は契約そのものの「中身」を重視する法律ですか?

課長:その通り。民法の特別法として、労働者の保護を意識しつつ、契約の合理性も重視している。

解雇に対する違い

佐藤:たとえば「解雇」についてはどう違うんでしょうか?

課長:良い質問だね。解雇については両方の法律に関係があるよ。

労働基準法では、「解雇するなら少なくとも30日前に予告するか、30日分の給与を払うこと」と定めている。これが予告手当。

そして、労働契約法の方では、「合理的な理由がない解雇は無効」と定めているんだ。

佐藤:労働基準法では30日前にちゃんと予告すれば解雇してもいいとなっていますが、労働契約法ではそもそも解雇できない場合があると言っているんですね?

課長:その通り。予告していても、「理由」が合理的でなければ解雇は無効になる可能性がある。つまり、

労働基準法 ⇒ 解雇手続きの形式的ルール

労働契約法 ⇒ 解雇の中身(理由や状況)を審査する

という役割分担があるんだ。

違反した場合の違い

佐藤:労働契約法のルールを破ったら、やっぱり会社は罰則を受けるんですか?

課長:そこがポイントでね。労働基準法は罰則がある法律だけど、労働契約法は民事ルールなんだ。だから、契約法に違反しても罰金や懲役はないけど、契約が無効になったり、損害賠償請求を受けるリスクがある。

佐藤:なるほど…法律の性格自体が違うんですね。

まとめ

課長:現場ではこの2つをこう使い分けるといい。

労働基準法:最低限守らなければならない「法的ライン」
→ これに違反すると法律違反

労働契約法:個別契約や職場ルールを運用する上での「契約の原則」
→ 合理性や公平性が求められる

佐藤:わかりました。つまり、労働基準法=絶対に守るライン、労働契約法=契約運用のガイドラインということですね!

課長:その理解でいいだろう。両方を意識して、就業規則の整備や人事対応をしていけば、労務トラブルも防げるよ。

佐藤:ありがとうございます!


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