Last Updated on 2025年7月12日 by 勝
はじめに
労働基準法は、すべての働く人を守るために、労働条件の最低基準を定めた重要な法律です。正社員、アルバイト、パートといった雇用形態を問わず、すべての労働者に適用されます。
この記事では、「労働基準法ってなんとなく聞いたことはあるけど、内容はよく知らない…」という方のために、これだけは押さえておきたい主要項目と、全体像をわかりやすく解説します。
労働基準法って何のための法律?
労働基準法(昭和22年施行)は、働く人の生活と権利を守るために、次のような最低限のルールを定めています。
働く時間は?
休みは取れる?
残業代はちゃんともらえる?
解雇されるときはどうなる?
といった、労働者と会社の関係における「ルールブック」といえるものです。
そして、このルールは「最低限」なので、これより不利な条件はNG!となっています。
労働基準法の4つの柱
労働基準法の内容は、大きく次の4つに分類できます。
① 労働時間
② 賃金 賃金の支払方法や残業代
③ 解雇・退職
④ 安全・衛生 働く環境の安全確保
労働時間・休憩・休日
労働基準法では、労働時間は原則1日8時間、週40時間を超えてはならないと定められています(第32条)。法定労働時間といいます。
法定労働時間を超えて働かせるには、使用者と労働者代表による「36協定(さぶろくきょうてい)」の締結が必要です。
休憩時間も明記されており、「労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上」与える必要があります(第34条)。来客があれば対応しなければならない、電話があったらでなければならないという状態は休憩を与えられたことになりません。
また、週1回以上の休日も必ず与えなければなりません(第35条)。
賃金の支払いと残業代
労働基準法は、賃金についても厳格なルールを設けています(第24条)。
① 通貨払い(現金)
② 全額払い(控除には制限)
③ 直接払い(家族への代払いは原則不可)
④ 毎月1回以上、一定期日での支払い
また、法定労働時間を超えた労働(いわゆる「残業」)には、割増賃金の支払いが義務です。
割増賃金は時間帯によって割増率が違います。
時間外労働25% 1か月に60時間を超えた場合は50%
深夜労働(22~5時) 25%
休日労働 35%
解雇・退職に関するルール
労働基準法は労働者の解雇に制限をかけています(第20条など)。
解雇する場合は30日前の予告または30日分以上の平均賃金の支払いが必要です(解雇予告手当)。
さらに、業務上のケガや病気で休んでいる人を、一定期間内に解雇することは禁止されています(第19条)。
⚠️ 解雇理由があいまいだったり、一方的すぎる場合は、「解雇権の濫用」として無効になる可能性があります(これは労働契約法第16条に定められています)。
安全・衛生の確保
職場の安全にも配慮しなければなりません。
危険な作業には資格者の配置や保護具の着用義務、長時間労働や過重労働による健康障害の防止、過労死・メンタルヘルス対策 などがあります。
これらについては、労働安全衛生法にも定められています。
労働基準法を守らないとどうなる?
残業代を払わないなどの労働基準法違反に対しては、調査の上、是正勧告 という指導が行われます。 悪質であれば送検されることもあります。
送検された場合、罰則(刑事罰)が科されることがあります。
違反内容に応じて罰則が決められています。
・残業代の未払い:30万円以下の罰金
・解雇予告なしの解雇:6か月以下の懲役または30万円以下の罰金
など
「知らなかった」ではすまされないのが労働法です。
まとめ
労働基準法は労働条件の最低基準を定める法律です。
特に重要な項目は「労働時間」「賃金」「解雇」「安全」です。
違反すると罰則・監督指導の対象になります。
曖昧な運用はトラブルの元です。記録・説明・合意がカギです。