Last Updated on 2025年8月30日 by 勝
会社は火災の避難訓練をやらなければならないのですか?その制度について詳しく教えてください。
法的な根拠
火災の避難訓練をやる義務があるのか?という点について整理します。
会社の避難訓練は 消防法第8条に定められています。
消防法第8条(要旨)一定規模以上の事業所には「防火管理者」を選任し、消防計画を作成し、消防計画に基づく消火、通報及び避難の訓練の実施義務がある。
義務となる条件
避難訓練の義務があるかは、事業所の規模や用途で変わります。例として:
- 収容人員30人以上の事業所(工場、事務所など) → 防火管理者の選任義務あり
- 特定用途(病院、ホテル、百貨店、飲食店など)で30人以上収容 → 避難訓練を年2回以上行う義務
- 非特定用途(一般のオフィスや工場など)で50人以上収容 → 避難訓練を年1回以上行う義務
※「特定用途」=不特定多数の人が出入りする施設、「非特定用途」=従業員など限られた人が出入りする施設、という区分です。
訓練の内容
避難訓練:非常ベル、避難誘導、避難経路の確認など
消火訓練:消火器や屋内消火栓の使い方
通報訓練:119番通報や消防署への連絡手順
消防署の立入検査があれば計画と訓練の記録を確認されます。
実務的なポイント
避難訓練の日時や内容は「消防計画」に記載し、消防署に届け出ます。
訓練実施後は「記録簿」を作り、消防署に提示できるようにしておきます。
総合防災訓練シナリオ(例)
通常は火災を想定した訓練が多いですが、地震を想定した訓練を併せて実施すると効果的です。
1. 事前準備
- 防火管理者が訓練計画を作成(日時・参加者・想定火災場所・避難経路・役割分担)
- 届出義務がある場合は消防署に計画を届け出る(地域により事前届出が必要)
- 各フロアや部署ごとに「避難誘導係」「消火係」「通報係」などを割り当てる
- 火災・地震それぞれの初動対応を確認する
- 避難経路と集合場所を従業員全員が把握する
2. 訓練の流れ(所要30〜40分)
【STEP1】地震発生の想定(3分)
- 担当者が「訓練です!地震発生!」と館内放送
- 全員が机の下や安全な場所に身を隠す(頭を守る姿勢)
- 揺れがおさまるまでその場で待機
【STEP2】地震による二次災害(火災)想定(5分)
- 揺れが収まった後に「給湯室から火災発生!」とアナウンス
- 火災報知器を実際に鳴らすか、模擬ベルで知らせる
ここで「火災訓練」に移行します。
【STEP3】初期対応(5分)
- 発見者役が「火事だ!」と大声で周囲に知らせる
- 通報係が119番へ通報する手順を実演(実際には電話せず口頭でシミュレーション)
- 消火係が消火器を持ち、訓練用標的に向かって消火動作をする(できれば実際に消火器を使用した訓練が効果的)
【STEP4】避難誘導(10分)
- 誘導係が「避難してください」と声をかけ、従業員を非常階段へ誘導
- 誘導係の指示で、全員が避難経路に沿って非常口へ移動
- エレベーターは使用禁止を強調
- 全員が駐車場など指定の避難場所に移動
- 移動時は「押さない・駆けない・喋らない・戻らない」の原則を確認
【STEP5】点呼・報告(5分)
- 建物外の指定避難場所(駐車場など)に集合
- 部署ごとに点呼を取り、責任者が防火管理者に報告
- 来客がいた想定で、受付担当が「来客誘導」の確認も実施
【STEP6】振り返り(5〜10分)
- 防火管理者または総務担当が講評
- 良かった点・改善点を共有(例:避難経路の渋滞、消火器の扱いに不慣れ、など)
- 訓練記録簿にまとめ、消防計画と一緒に保存