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不当解雇と認定されれば

Last Updated on 2023年9月25日 by

裁判になれば解雇無効になることが多い

解雇すると言われれば、昔は泣く泣く辞めていくのがほとんどでしたが、従業員が行政機関に設置されている相談窓口や弁護士に相談し、裁判等に持ち込むケースが増えています。

裁判ですから、どちらが勝つかケースバイケースですが、会社のお金を横領したとか、会社に出勤せず連絡がとれない、などのケースでは懲戒解雇が認められる可能性が高いですが、反抗的であるとか、仕事の覚えが悪い程度の理由では裁判になれば、不当解雇と認定されることが多いようです。

地位保全の要求

裁判では、従業員は、従業員の地位保全、つまり解雇が無効で、今も従業員としての地位を有していることを主張して争うのが一般的です。本音では会社に戻るつもりはなくても、建前としては復帰を要求するわけです。

したがって、従業員側が勝つ、つまり不当解雇と認定されれば、職場復帰させなければならなくなります。このとき、解雇の日から職場復帰までの間の賃金の支払も命じられます。長引けば長引くほど会社側の負担は増します。事情によっては慰謝料の支払いも命じられます。

さらに、従業員が会社に復帰することを希望すれば、経営者には復帰を拒否する権利はありません。

雇用契約は継続していたことになるので復職後の配置、その他の労働条件は原状復帰が原則となります。雇用契約は当事者間の合意により成立するものですから、相手方の同意を得ずに契約内容を一方的に変更することは原則として認められないからです。

職場復帰

解雇したということは、会社として、もはや一緒に働く気は無いと判断したことになります。つまり、その従業員に対する信頼は完全に無くなっているわけです。

しかし、裁判に負けてしまえば、一旦は追い出した従業員を受け入れざるを得ません。気持ちの大きな切り替えが必要になります。さらに、問題が再発しないように処遇に気を遣うことになり、労務管理が大変ナイーブな状態になります。

従業員としても自分を要らないと言った会社に対して嫌悪感、反発を抱いています。裁判に勝ったということは、会社が間違っていたことを認めてもらえたことになるので、会社に対する不信感は増幅するでしょう。

こういう伏線の中で、復帰後にトラブルが再発し、再度懲戒処分をするようなことが起こると、裁判所は厳しく判断する傾向があるようです。

つまり「初めから問題従業員であると決めつけて、辞めさせるための働き掛けがあったのではないか。」と裁判所は考えるようです。

金銭解決

さて、解雇無効の判決を受けて、建前としては職場復帰ということになるのですが、経営者としてどうしてもこれまで同様の勤務をさせる気になれない場合もあるでしょう。また、相手方も、本音では自分を解雇するような会社には戻りたくないと思う場合もあるでしょう。

解雇無効を争う従業員は多くの場合、扱い方に我慢できない、自尊心を傷つけられたなどの気持ちの問題が大きいものです。よって、裁判の結果を踏まえて、率直に非のあるとこは詫び、金銭解決での折り合いを模索する方法があります。

なお、裁判には弁護士費用がかかります。最初の相談料は1時間5~10千円くらいのところが多いようです。依頼するとなれば着手金を払い、その後の追加費用もあります。さらに、相手方の弁護士費用も損害として認められることもあります。

従業員を解雇しても、これまでは裁判になるケースは多くなかったと思います。そのため、どうせ諦めるだろうと高を括っている経営者が少なからずいるようです。

しかし、時代は変わってきています。不当解雇がまかり通ることが不正常なのです。これからの解雇は、経営者も裁判を覚悟し、十分に申し開きができる場合にのみ解雇に踏み切るべきで、内心では負けるかもしれない思うような解雇は会社に損害を与えるだけですから決してするべきではありません。

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