労働安全衛生法の講習指示

安全衛生管理

労働局長の講習指示

労働安全衛生法第99条の2(旧第99条第2項、現在は削除され第99条の2として規定されています)に定められている「講習の指示」は、労働災害の再発防止を目的とした行政指導の一つです。

労働局長が、労働災害が発生した事業場の事業者に対してする指示です。すべての労働災害に対して指示するわけではありません。この条文の最大の目的は、事故が発生した事業場に対して、同じような労働災害が二度と起きないように、事業場の安全衛生体制を強化させることです。

(講習の指示)
第99条の2 都道府県労働局長は、労働災害が発生した場合において、その再発を防止するため必要があると認めるときは、当該労働災害に係る事業者に対し、期間を定めて、当該労働災害が発生した事業場の総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、統括安全衛生責任者その他労働災害の防止のための業務に従事する者(次項において「労働災害防止業務従事者」という。)に都道府県労働局長の指定する者が行う講習を受けさせるよう指示することができる。
2 前項の規定による指示を受けた事業者は、労働災害防止業務従事者に同項の講習を受けさせなければならない。
3 前二項に定めるもののほか、講習の科目その他第一項の講習について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

受講しなければならないのは、労働災害が発生した事業場の総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、統括安全衛生責任者その他労働災害の防止のための業務に従事する者です。

第99条の3 都道府県労働局長は、第六十一条第一項の規定により同項に規定する業務に就くことができる者が、当該業務について、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反して労働災害を発生させた場合において、その再発を防止するため必要があると認めるときは、その者に対し、期間を定めて、都道府県労働局長の指定する者が行う講習を受けるよう指示することができる。

第61条第1項は、政令で定めるクレーンの運転その他の業務です。免許、技能講習が必要な業務が該当します。


まとめれば、大きな事故が起きた場合、行政(都道府県労働局長)は、その事業場の安全衛生管理体制に問題があったと考え、安全衛生のキーパーソンたちに対して、専門的な講習を受けることを強制的に指示できるということです。これにより、知識を深め、管理体制を見直し、実効性のある再発防止策を立てることを促します。

この指示は、行政による労働災害防止のための強い指導の一つとして位置づけられています。