Last Updated on 2021年7月28日 by 勝
退職金にかかる所得税
退職金は、税務上は退職所得といいます。退職所得とは、退職に起因して勤務先から支給される退職金や一時恩給などの所得をいいます。また、社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金、適格退職年金契約に基づいて受ける退職一時金なども退職所得とみなされます。
退職所得は、原則として他の所得と分離して所得税額を計算します。退職金には退職所得控除があり、さらに2分の1適用があるので、他の所得に比べ税負担が軽くすみます。
退職金等の支払の際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出(通常は会社が提出を求めます)している人については、退職金等の支払者が所得税額を計算し、その退職手当等の支払の際、退職所得の金額に応じた所得税等の額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません。
退職所得の受給に関する申告書を提出しなった場合は、退職金等の支払金額に対して所得税額及び復興特別所得税額が源泉徴収されますが、本人が確定申告すれば戻ります。
計算方法
退職所得の金額は、次のように計算します。
(収入金額 − 退職所得控除額) × 2分の1 = 退職所得の金額
退職金が退職所得控除額より少なければ所得税はゼロです。控除額を上回った場合も、2分の1を掛けてから税率をかけます。
役員等勤続年数が5年以下である人が支払を受ける退職金のうち、その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるものについては、平成25年分以後は上記計算式の2分の1計算の適用はありません。
所得税額は退職所得控除後の金額に応じて、国税庁ホームページに掲載されている所得税の税額表に記載された所得税率を掛けて求めます。
退職所得控除額
勤続年数に応じて、以下により計算した額を退職所得控除として退職金から控除することができます。
勤続年数の数え方は1年未満の端数を切り上げ、1年として計算します。
勤続年数が20年以下の場合
40万円×勤続年数(80万円に満たないときは80万円)
勤続年数が20年を超える場合
800万円+70万円×(勤続年数-20年)
退職金の支払いを受ける人が、在職中に障害者に該当することになって退職した場合は、控除額に勤続年数に関係なく100万円が加算されます。
計算例
例えば、40年勤続の人の場合は、800万+70万×(40−20)=2,200万となるので、退職金が2,200万円を超える場合に所得税が課税されることになります。
退職金にかかる住民税
退職金には、住民税もかかります。
通常の住民税は前年の所得に対して課税されますが、退職所得にかかる住民税は、他の所得と区別して、退職した年の1月1日に住んでいた住所地の区市町村で課税されます。前年課税ではなく、現年分離課税といいます。
住民税額は、所得税と同じ計算方法で計算した「課税退職所得金額」に一律10%を掛けて計算します。
納付すべき住民税額を計算し、支払いの際に特別徴収して、翌月の10日までに区市町村に納入することになっています。
復興特別税が上乗せされる
東日本大震災からの復興施策に必要な財源を確保するために、復興特別税が、本来の税とは別に課せられることになりました。
所得税は2013年1月1日からの25年間、税額に2.1%を上乗せ。
住民税は2014年6月からの10年間、年1,000円上乗せする予定です。
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