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従業員代表の意見を聴く

Last Updated on 2023年9月30日 by

就業規則届出書に意見書を添付する

就業規則を作成したら従業員代表の意見を聴く必要があります。個別に意見を聴く必要はありません。代表からの意見聴取です。労働基準監督署に作成した就業規則を提出する際には従業員代表の意見を記載した意見書を添付する必要があります。

労働基準法第90条 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
2 使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

労働者の代表

従業員代表は過半数労働組合又は従業員の過半数を代表する者です。従業員の過半数で組織する労働組合がない場合には、従業員の過半数を代表する者を選出しなければなりません。

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意見を聴く

会社が就業規則の改正案を作成し、会社内の所定の手続きを経て確定案になった段階で従業員代表に示すのが一般的です。従業員代表意見を聴いた後に修正した場合は、もう一度意見を聴く手続きが必要です。

原則として、事業場ごとに従業員の意見書が必要です。まとめて本社が提出することはできます。

意見書の書き方

意見書の様式は法律等に定められていません。次の事項が記載されていれば有効です。
① 文書のタイトルとして、「意見書」と記載。
② 意見書が作成された日付を記載。
③ 意見があれば意見を記載、意見が無ければ「意見無し」等と記載。
④ 労働組合がある場合は組合名と組合代表者名を記載。労働組合がない場合は従業員代表者の氏名を記載し記名押印する。

意見書の例

意見書

令和○年○月○日

○○株式会社
代表取締役社長○○○○殿

令和○年○月○日付で意見を求められた就業規則案について、下記の通り意見を提出します。

特に意見はありません。

労働者の過半数を代表する者の職氏名 ○○係 ○○○○印

労働者の過半数を代表する者の選出方法 投票による選挙

反対意見等がある場合

その就業規則に反対である意見が表明された場合、あるいは、従業員代表が意見を出さないときは、できる限り合意のための努力をするべきですが、その就業規則に違法性がない場合は、意見が出ない旨の会社からの報告書、あるいは反対の意見書を添付して提出することになります。

労働基準法第90条は意見聴取を求めていますが、これは合意を要件とはしていないというのが一般的解釈です。もともと就業規則は、一方的に会社側が作成し変更する権限があるので、反対されたとしても効力は否定されないのです。

意見を聴いたことが客観的に証明できれば、労働基準監督署は受理することになっています。具体的には、応じてもらえない経緯を説明した「意見書不添付理由書」を提出します。

意見を聴かずに就業規則を提出すれば、労働基準法が定める意見聴取についての規定に違反することになるので罰則が適用される可能性があります。

少数集団の意見

契約社員就業規則など、一部の従業員に適用される就業規則であっても、その適用される従業員グループの代表ではなく、意見は事業場全体の従業員代表から聴く必要があります。ただし、一部の労働者で組織する労働組合等の意見を聴くことが望ましいともなっているので、例えば、パートタイマー就業規則であればパートタイマーの代表からも意見を聴いて意見書を出してもらうのが望ましいでしょう。ただし、これは労働基準監督署に提出が必要なものではありません。


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