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就業規則

就業規則の作成と届け出の義務

Last Updated on 2024年3月18日 by

10人以上で届け出義務がある

就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければならないのは、常時10人以上が働く事業場です。会社単位ではありません。現場である事業場単位です。

(作成及び届出の義務)
労働基準法第89条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
(以下略)

労働基準法は1人でも使用していれば適用されるので、例えば1か月単位の変形労働時間制を採用する場合は従業員が10人未満でも就業規則が必ず必要です。ただし、従業員数が10人以上になるまでは、就業規則を労働基準監督署に届け出る必要はありません。

複数の事業場がある会社等では、規模の大きい事業場だけ就業規則を適用して規模の小さい事業場に適用しないという運用は逆に手間がかかります。同じ就業規則を規模の大小にかかわらず適用するのが一般的です。

作成したら従業員代表の意見書とともに労働基準監督署に届け出ます。届出の様式は厚生労働省ホームページに掲載されています。

複数の事業場がある会社等で、複数の事業場において同一の内容の就業規則を適用する場合は、本社において一括して届出をすることができます。

常時10人とは

常時10人以上という意味は、時として10人を切ることがあっても、通常は10人以上が働いているのであれば、常時10人に該当します。

たまたま臨時的な業務のためにアルバイトを雇って10人以上になったとしても、常態として10人未満であれば就業規則の作成義務はない、とする解釈が一般的ですが、そういうギリギリの線で就業規則を持たないのは感心できません。作成するほうが無難です。

パートなど雇用形態が異なる労働者であっても1人分でカウントします。派遣労働者はカウントしません。派遣労働者は派遣元の労働者としてカウントされます。

事業主、取締役、監査役は、経営者は含まれませんが、使用人兼務役員や幹部社員は労働者としてカウントします。

事業場単位でカウント

会社全体で10人という意味ではなく、事業場単位ですから、同じ会社であっても、本社、支店、工場の、10人以上になった事業場から届け出義務が発生します。

ただし、出張所等で、規模が著しく小さい事業場は、届け出することによって、直近上位の事業場と一括して一つの事業場としてとして取り扱うことができます。

10人未満の場合は

常時10人の事業場が1つもない場合は、会社全体としても就業規則の作成義務がありません。その場合、労働者ごとに取り交わした労働契約に基づき、その内容で事業の運営をします。

始業時間や終業時間等の労働時間に関する定めはや、賃金の締切日や支払い日等に関する定めなど、会社のルールは必要であり、そうしたルールは労働条件通知書や雇用契約書に記載しているはずで、それで問題が生じることはあまりありません。

しかし、人数が増えてくれば統一的に管理をしていく必要性が出てきます。就業規則を作成し、その就業規則が雇用契約の内容になることによって統一的に管理ができるようになります。

また、従業員に対して懲戒処分をする場合には、就業規則がないと難しくなります。例えば、使用者が労働者を懲戒解雇するには、就業規則等に記載された懲戒解雇事由に該当する必要がありますが、これについては、就業規則の作成義務がない事業場も同様であるという判例があります。

したがって、10人未満で作成義務がない場合でも、就業規則を作成することをお勧めします。この場合、労働基準監督署への届け出する必要はありませんが、効力を持たせるために社内への周知はきちんと行いましょう。

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法律どおりにやっていれば就業規則はいらないのではないかという経営者がおりました。でも、法令で決められていない事項もあります。例えば、懲戒処分については法令には何も規定されていません。法令にもない、就業規則にもない、ということになると何をやられても処分できないということになります。ご用心を。


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