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通勤手当について

Last Updated on 2019年11月20日 by

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通勤手当とは

通勤手当とは、通勤の費用の全部または一部を会社が負担する制度です。

通勤手当の支払は、法律上の義務ではありませんが、多くの会社で支払われています。

法律上の定めは無いので、上限の設定、通勤距離や通勤手段ごとの支給額の違いなどは会社が就業規則等で決めることができます。

通勤手当の非課税枠

通勤手当には、一定金額までは所得税がかかりません。

バス・電車等、有料道路を利用する人に支給する通勤手当又は定期乗車券に対する通勤手当は、1ヶ月当たりの合理的な運賃等の額とされていて、150,000円までが非課税です。

自家用車その他の交通用具を使用して通勤している人に支給する通勤手当は、次の距離数に対応する金額までが非課税です。

通勤距離の片道が非課税枠
55km以上31,600円
45km以上55km未満28,000円
35km以上45km未満24,400円
25km以上35km未満18,700円
15km以上25km未満12,900円
10km以上15km未満7,100円
2km以上10km未満4,200円
2km未満全額課税

交通機関、有料道路を利用するほか、自家用車等の交通用具も使用している場合は、合計額を計算し、限度額の150,000円までの分が非課税です。

上は平成28年1月からの数字です。取扱がときどき変わるので、念のため、国税庁のホームページを確認して下さい。

社会保険等の扱い

社会保険や労働保険では所得税とは異なり、通勤手当の全額を保険料の計算の基礎に算入しなければなりません。

割増賃金の対象から除外できる

通勤手当は、割増賃金の計算上は給料から除外できます。

この場合の通勤費の定義は「労働者が職場まで通勤する距離に応じて定められる金銭あるいはその交通費実費」です。「距離に応じて」ですから、定額で支給する通勤手当は、名称が通勤手当であっても割増賃金の対象から除外できません。

また、所得税の計算上は金額によって非課税・課税の別がありますが、割増賃金の場合は、「距離に応じて」支給されているものであれば、金額に制限がありません。

定期券の交付

通勤手当も、労働の対価として支払われるものですから、労働基準法上の賃金であり、当然、通貨払いの原則の適用を受けるので、現金で(給料に含めて)支払うのが原則です。

通勤手当の支給にかえて会社が定期券を購入して従業員に交付している会社もあります。非課税の枠は、定期券で支給しても同じです。

なお、定期券の支給は現物支給ですから「労働協約が必要」です。「労働者の過半数を代表する者との協定」ではなく「労働協約」です。労働組合がない会社は定期券の現物支給はできません。

通勤手当の日割り支給

通勤手当の日割り支給は、就業規則または賃金規程に出勤した日のみ通勤手当を支給する旨の規定を定めるのは有効です。

ただし、その旨の定めが就業規則に無い場合は、休みを取った日の分の通勤手当を一方的にカットすることはできません。

通勤手当の規定の例

通勤手当の支給については、法定の事項ではないので、通勤手当の額や支給条件などは会社によって自由に設計することができます。

通勤手当|就業規則

距離をごまかしたり、通勤手段をごまかして不正に受給するものが出ないように注意が必要です。会社にとって、金銭的な損害よりもモラル低下が心配です。ほんの少しの確認で不正が防止できます。

均等・均衡待遇について

同一労働同一賃金ガイドライン案(平成28年12月20日)

通勤手当・出張旅費は「有期雇用労働者又はパートタイム労働者にも、無期雇用フルタイム労働者と同一の支給をしなければならない。」

ということで、格差があってはならないのが原則ですが、以下は例外的に認められるケースの例示です。

【問題とならない例】

A社においては、採用圏を限定していない無期雇用フルタイム労働者については、通勤手当は交通費実費の全額を支給している。他方、採用圏を近隣に限定しているパートタイム労働者であるXが、その後、本人の都合で圏外へ転居した場合には、圏内の公共交通機関の費用の限りにおいて、通勤手当の支給を行っている。

【問題とならない例2】

B社においては、所定労働日数が多い(週4日以上)無期雇用フルタイム労働者、有期雇用労働者又はパートタイム労働者には、月額の定期代を支給するが、所定労働日数が少ない(週3日以下)又は出勤日数が変動する有期雇用労働者又はパートタイム労働者には日額の交通費を支給している。

裁判例

□通勤手当は通勤に要する交通費を補てんする趣旨で支給されるものである
□労働契約に期間の定めがあるか否かによって通勤に要する費用が異なるものではない
□職務の内容及び配置の変更の範囲が異なることは通勤に要する費用の多寡とは直接関連しない

結論:通勤手当に差異を設けることは不合理