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社会保険の加入条件を中途で満たしあるいは満たさなくなったらどうするか

Last Updated on 2024年8月19日 by

社会保険の加入条件

一般的には会社等に就職したら社会保険(健康保険や厚生年金保険等)に加入しなければなりません。一般的にと書いたのは、一部ですが加入を免除される事業場があること、そして、勤務時間数などの労働条件によっては加入できない労働者がいるからです。

加入できるかできないかは、大きくは勤務時間で決まります。

その事業場で働いている通常の労働者(一般的には正社員のことです)の勤務時間の4分の3に満たない勤務時間であれば加入できません。ただし、近年社会保険の加入条件が緩和されてきており、一定規模以上の企業に雇用される場合は週20時間以上で加入できるようになっています。

具体的な条件は次の記事を参照してください。

関連記事:短時間労働者の社会保険加入条件

雇用途中での資格取得と喪失

雇用途中で加入条件を満たした場合

加入条件を満たしていなかった労働者が、労働契約の変更により加入条件を満たすようになった場合は、社会保険の加入手続きをとる必要があります。

ただし、繁忙期などに一時的に加入するべき労働時間に達したような場合は社会保険の加入対象にはなりません。

このことについて、厚生労働省のQ&Aに次のようにあります。

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大
Q&A集(令和6年 10 月施行分)

問 34 就業規則や雇用契約書等で定められた所定労働時間が週 20 時間未満である者が、業務の都合等により恒常的に実際の労働時間が週 20 時間以上となった場合は、どのように取り扱うのか。また、施行日前から当該状態であった場合は、施行日から被保険者の資格を取得するのか。

(答)実際の労働時間が連続する2月において週20時間以上となった場合で、引き続き同様の状態が続いている又は続くことが見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3月目の初日に被保険者の資格を取得します。
なお、施行時においては、実際の労働時間が直近2月において週 20 時間以上となっており、引き続き同様の状態が続くことが見込まれる場合は、施行日から被保険者の資格を取得します。

以上のように、「連続する2月」における実際の労働時間で判断します。したがって、次の契約更新の際に見直せばよいのではなく、実際の労働時間の推移によっては期間中でも資格取得の手続きが必要になります。

雇用途中で加入条件を満たさなくなった場合

逆のケース、つまり、条件を満たしていた労働者が、事情が変わったことにより、労働時間や賃金が減少して、社会保険の加入条件を満たさなくなることもあります。

ただし、一定の労働時間に満たない週がときどき発生してしまうような場合は、すぐに社会保険の加入資格を失うわけではありません。

また、妊娠によって体調不良などで早退が多く勤務時間が減少したとしても、それだけで加入基準を満たさなくなるわけではありません。

問題になるのは、現実の労働時間等が常態的に加入条件を満たす水準に達しているにもかかわらず、雇用契約書上の所定労働時間を盾にとって加入させないケースです。それは、社会保険に加入させないための脱法的な運用とみなされます。

労働契約を変更する

社会保険の加入条件である所定労働時間は、労働契約(雇用契約書等)で定めた所定労働時間で判断するのが基本です。

残業が日常化しているなどで、実質的に社会保険に加入すべき労働時間に達している場合は、労働者の合意を得て新たな雇用契約書を締結してすっきりしたかたちで業務に従事してもらいましょう。


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