Last Updated on 2023年10月31日 by 勝
被扶養者に対する給付
健康保険に加入していれば、病気やケガなどのときに、治療代金などに対する保険給付が行われますが、その被扶養者についても保険給付が行われます。
被扶養者の範囲
被扶養者というのは健康保険の用語です。一般的には扶養家族と言い、配偶者や子どものことを言いますが、健康保険の被扶養者はわりに広い範囲の親族が含まれます。
基本的には被保険者の三親等以内の親族です。被保険者の直系尊属(自分の祖父母、曾祖父母)、配偶者子(自分とは血縁の無い子)、孫、弟妹、兄姉です。
戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の配偶者については配偶者本人、その父母および子も被扶養者になります。
血縁関係が遠くなると、同居が条件になる場合があります。被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹については、必ずしも同居している必要はありません。
国内に居住している必要があります。住民票が国内にあれば原則として要件を満たします。留学生や赴任する者の家族などは、日本に住所を有しない場合でも、日本に生活の基礎があると認められる場合は、省令に規定する条件に合致すれば認められます。
生計維持の関係
上記の親族関係にあっても収入があるなど独立して家計を維持している人は被扶養者になれません。
「主として被保険者に生計を維持されている人」という条件があります。
これは、被保険者の収入により、その人の暮らしが成り立っていることを意味するのですが、被保険者といっしょに生活をしていなくてもかまいません。別居でも認められます。
ただし、以下のような収入による判断基準があります。
同一世帯に属している場合の収入基準
認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者の年間収入の2分の1未満である場合は被扶養者となります。
上記に該当しない場合であっても、被保険者の年間収入を上回らない場合には、被扶養者となる場合があります。
同一世帯に属していない場合の収入基準
認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)であって、かつ、被保険者からの援助による収入額(いわゆる仕送りの額です)より少ない場合には、被扶養者となります。
扶養から外れる場合
75歳になると、後期高齢者医療制度の被保険者になるので、健康保険の被扶養者になれません。なっていた人は外れます。
被扶養者だった人が就職して自身が被保険者になったり、別居や離婚等で生計が別になったり、収入が基準以上に増えたときは被扶養者から外す手続きをとらなければなりません。
協会けんぽの場合は、「被扶養者資格再確認について」が10月下旬頃に送られてきます。収入等をしっかり確認して提出しましょう。
年収130万円の壁
130万円の壁とは、配偶者に扶養されている人がパートなどで働き、年収が130万円以上になると、扶養から外れて国民年金と国民健康保険の保険料を払う必要が出て、結果として手取りが減ってしまう状況を指します。
厚生労働省より「年収の壁・支援強化パッケージ」が示され、一時的に年収130万円を超えても、人手不足による労働時間延長等に伴う一時的な収入変動である旨の事業主の証明を添付することで、被扶養者認定を可能とする方針が示されました。
一時的な事情ということですが、1回限りではなく連続2回認定できるので、2年間は扶養のままでいれることになります。
ただし、残業手当や繁忙手当等が増加したことで年収130万円を超えた場合に該当します。基本給が上がった場合や、恒常的な手当が新設された場合など、今後も引き続き収入が増えることが確実な場合においては、一時的な収入増加とは認められません。
令和5年10月20日(厚生労働省通達発出日)以降に行う「被扶養者の収入確認(令和5年度被扶養者現況調査(令和5年11月1日から実施))」に適用されます。
事業主証明様式は、上記のリンク先(厚生労働省ホームページ)からPDFとWordでダウンロードできます。
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