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安全衛生管理

受動喫煙対策について

Last Updated on 2023年4月12日 by

健康増進法

望まない受動喫煙の防止を目的とする改正健康増進法が平成30年7月に成立しました。この改正により、学校・病院等には原則敷地内禁煙が、飲食店・職場等には原則屋内禁煙が義務づけられました。

規制内容

施設の類型・場所ごとに、禁煙措置や喫煙場所の特定を行うとともに、掲示の義務付けなどが実施されます。健康増進法第六章に詳細が定められています。また、東京都受動喫煙防止条例等、各自治体が受動喫煙を防止する上乗せ条例を制定しています。

以下は、健康増進法からの抜粋です。

学校、行政機関等

学校・病院・児童福祉施設等、行政機関等は、第一種施設に分類され、屋外も含めて敷地内が禁煙です。屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所に、喫煙場所を設置することができます。

多数の者が利用する施設等

上記以外の多数の者が利用する施設は、第二種施設に分類され、原則、屋内において禁煙です。第二種施設には、飲食店、宿泊施設、娯楽施設、一般の事業場、鉄道・船舶・タクシーが含まれます。ただし、旅館・ホテルの客室等、人の居住の用に供する場所は、適用除外です。

飲食店

飲食店は原則禁煙です。喫煙専用室を設置したときは、その専用室内でのみ喫煙ができます。喫煙専用室内での飲食は禁止です。喫煙専用室には、喫煙室であること、20歳未満の者は立ち入り禁止であることを示す標識の掲示が必要です。

喫煙が主目的の場所

公衆喫煙所、たばこ販売店、たばこの対面販売(出張販売によるものを含む。)をしていることなどの一定の条件を満たしたバーやスナック等といった喫煙を主目的とする施設は第二種施設に含まれません。

経過措置

次の条件を満たす場合は適用が猶予されます。

□ 令和2年4月1日時点で営業している飲食店であること
□ 資本金又は出資の総額5000万円以下(大規模企業の出資が2分の1以上である場合を除く)かつ 客席面積100㎡以下であること。

すべての条件を満たす場合に、標識の掲示により喫煙可能になります。

法を上回る適用

法の対象になっていない事業場が法を上回る措置、例えば、構内全面禁煙を実施することもできると考えられています。使用者の施設管理権が根拠です。参考までに、喫煙の自由が争いになった昭和45年の最高裁判決は、概略、たばこが生活必需品とまではいえず、普及率の高い嗜好品に過ぎないのだから、あらゆる時間、あらゆる場所で喫煙の自由が保障されるものではないと判示しています。

労働安全衛生法

労働者の健康を守るために、労働安全衛生法に受動喫煙の防止措置が定められました。

労働安全衛生法第68条の2 事業者は、室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

厚生労働省から「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」が示されています。

以下は、ガイドラインの抜粋です。

□ 事業者は、事業場の実情を把握した上で、受動喫煙防止対策を推進するための計画を策定すること。

□ 事業者は、受動喫煙防止対策の担当部署やその担当者を指定し、相談対応等を実施させるとともに、各事業場における受動喫煙防止対策全般についての事務を所掌させること。

□ 事業者は、事業場における受動喫煙防止対策の状況を衛生委員会等における調査審議事項とすること。また、産業医の職場巡視に当たり、受動喫煙防止対策の実施状況に留意すること。

□ 事業者は、労働者に対して、受動喫煙による健康への影響、受動喫煙の防止のために講じた措置の内容、健康増進法の趣旨等に関する教育や相談対応を行うこと。

□ 事業者は、労働者の募集及び求人の申込みに当たっては、就業の場所における受動喫煙を防止するための措置に関する事項を明示すること。

□ 事業者は、妊娠している労働者や呼吸器・循環器等に疾患を持つ労働者、がん等の疾病を治療しながら就業する労働者、化学物質に過敏な労働者などに対して、これらの者への受動喫煙を防止するため、特に配慮を行うこと。

□ 事業者は、20歳未満の労働者を喫煙専用室等に案内してはならないことはもちろん、20歳未満の労働者を喫煙専用室等に立ち入らせて業務を行わせないようにすること(喫煙専用室等の清掃作業も含まれる。)。

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