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労使協定とはなにか

Last Updated on 2023年9月13日 by

労使協定とは

労使協定とは、労働者の代表と使用者がある事柄について合意して、双方が記名捺印した文書のことです。

労働者代表になるには条件があります

労働者を代表して記名捺印する者は、過半数で組織する労働組合がある場合はその組合の代表者になります。

過半数の要件に注意しましょう。

事業場に使用されているすべての労働者の過半数で組織する労働組合である必要があります。すべての労働者というのは、正社員だけでなくパートやアルバイトも含みます。

労働組合員数(労働組合に都度確認しましょう)÷パートなどを含むすべての労働者>0.5 を満たしているかチェックしましょう。

労働組合が労働者の過半数を代表する組合であれば、組合員以外の者にも効力が及びます。

過半数を制する組合がない場合には、複数の少数組合を足して過半数になるのであれば、それらの組合と協定を結ぶことができます。ただし、個別に協定するのではなく、組合代表者に連署してもらって、一つの協定を締結する必要があります。

労働組合がない職場の場合は、別の方法で労働者の過半数を代表するものを選出しなければなりません。

組合がない職場で代表者を選出する場合、わりといい加減になりがちなので注意しましょう。

関連記事:労働者の過半数代表者とは

使用者の記名捺印は、社長名で行うのが一般的だと思いますが、労働基準法でいう「使用者」というのは、労働基準法第10条で「事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者」と定義されています。

従って、事業場の責任者であれば36協定の協定当事者となることができます。ただし、実質的な権限があることが前提です。通達でも「単に上司の命令の伝達者にすぎない場合は使用者とみなされない」とされています。人事部長、工場長、支店長などは締結当事者として問題ないと思われます。

協定に署名した者が退社しても、協定の効力には影響ありません。次回のときに、新しい労働者代表、または使用者代表が締結することで問題ありません。

労使協定の効力

法律で定められたことを一方的に逸脱すると法律違反になりますが、それぞれの法律に定めによって労使協定を締結すれば、その範囲内での逸脱は法律違反になりません。これを、免罰的効力といいます。

例えば労働基準法の労働時間の定めは1日8時間1週間40時間となっていて、1分でも超えれば労働基準法違反です。しかし、36協定という労使協定を締結して労働基準監督署に届け出ることで、法定労働時間を超えても。届出の範囲に収まっていれば労働基準法違反にならないのです。

労使協定は、労働協約のように、個々の労働契約より優先する効力はないので、労使協定を締結しただけでは労働契約上の権利義務は生じません。労働者に命令する根拠としては、就業規則に「時間外労働をさせることがある」旨の記載をする必要があります。

その就業規則を根拠に、使用者には時間外労働を命じる権利が生じ、労働者は、正当な拒否理由がある場合は別として基本的にはその命令に服する義務が生じるのです。

労使委員会の協定代替決議

労使委員会で5分の4以上の賛成で決議したときは、労使協定は不要になります。また、協定代替決議の場合は労使協定に係る届出義務は、原則として免除されます。ただし、この労使委員会は、労働基準法第38条の4に適合する労使委員会でなければなりません。

関連記事:労働基準法による労使委員会

次の労使協定が対象になります。

第32条の2第1項 1か月単位の変形労働時間制
第32条の3第1項 フレックスタイム制
第32条の4第1項と第2項 1年単位の変形労働時間制
法第32条の5第1項 1週間単位の変形労働時間制
法第34条第2項ただし書 一斉休憩
法第36条第1項、第2項、第5項 36協定
法第37条第3項 代替休暇
法第38条の2第2項 事業場外労働(労使協定)
法第38条の3第1項 専門業務型裁量労働制
法第39条第4項 時間単位の有給休暇
法第39条第6項 有給休暇の計画付与
法第39条第9項ただし書 有給休暇中の賃金
(ほとんどの労使協定が「決議」によることができますが、強制貯金の労使協定と賃金控除の労使協定は含まれていません。)


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