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取締役と監査役

取締役と監査役の就任承諾書について

Last Updated on 2023年10月27日 by

就任承諾書とは

取締役や監査役が就任するためには、株主総会の選任する旨の決議だけでなく就任する本人の承諾が必要です。

就任の登記の申請書にはその就任を承諾したことを証する書面を添付しなければなりません。

その書面を「就任承諾書」といいます。

議事録を援用することができる

株主総会議事録に就任を承諾した旨が記載されていれば、就任承諾書ではなく、その議事録を添付して登記申請することができます。

ただし、次の点に注意が必要です。

選任された者が、当該株主総会に出席をして、その場で就任承諾をした旨が議事録から読み取れなくてはなりません。

つまり、役員の選任議案の最後に、

「被選任者は、席上就任を承諾した。」「被選任者は、即時就任を承諾した。」
等と記載します。

「被選任者は、その就任を承諾した。」だけでなく、「席上」や「即時」の文言を挿入しましょう。

登記申請書には「就任承諾書は、株主総会議事録又は取締役会議事録の記載を援用する。」等と記載します。

選任された者が株主総会に出席していないときは就任承諾書が必要です。

なお、議事録を援用する場合で、取締役の氏名及び住所の本人確認証明書が必要になるケースでは、この議事録に取締役の住所の記載が必要です。

就任承諾書を必要とする場合

選任された者が就任を承諾したことが明記されていない議事録、選任を承諾したかどうか不明確な議事録の場合は、就任承諾書を添付する必要があります。

議事録に選任と就任承諾の記載があっても、選任された取締役の住所の記載がなければ、別途、この取締役の住所の記載がある就任承諾書を添付する必要があります。

新規就任の場合は原則として就任承諾書が必要です。重任の場合は不要です。

就任承諾書の書式

基本的な書式は次の通りです。

書式:取締役と監査役の就任承諾書のサンプル

添付書類

就任承諾書に印鑑証明書と本人確認証明書の添付が必要になる場合があります。就任承諾書、議事録の援用、いずれの場合も同様です。

印鑑証明書は次の場合に必要です。

□ 取締役会を置かない会社において就任する各取締役
□ 取締役会設置会社においては、就任する代表取締役
は、就任承諾書に押された印鑑についての印鑑証明書が必要です。ただし、上記の者が再任であるときは、この印鑑証明書は不要です。

本人確認証明書は次の場合に必要です。

取締役会設置会社で取締役が新たに就任するときは、本人確認証明書を添付します。

本人確認証明書は、取締役が再任である場合及びその者の印鑑証明書が添付書面であるときは不要です。

本人確認証明書とは次のようなものです。

1.住民票記載事項証明書(住民票の写し)個人番号が記載されていないもの
2.戸籍の附票
3.マイナンバーカードのコピー
4.運転免許証のコピー

3、4は両面をコピーし、本人が「原本と相違がない。」と記載して、記名押印する必要があります。

代表取締役の就任承諾

取締役会設置会社の場合と、取締役会を置かない会社において定款に基づく取締役の互選によって選定された場合は代表取締役としての就任承諾が必要です。

取締役会を置かない会社において定款又は株主総会の決議によって選定された場合は、代表取締役としての就任承諾は必要ありません。

就任承諾書が出されない場合

レアケースだと思いますが、就任の内諾を得たつもりで株主総会で選出したのに、当人が就任する意思がないということで就任承諾書を提出しない場合があるかもしれません。

この場合、選任決議を取り消す必要はありません。選任されたことは事実なので議事録に選任した旨の記述が残ります。ただし、就任を承諾した旨の記述があれば事実と異なるのでその部分は修正が必要です。

議事録に記載がなく就任承諾書もないので選任の登記はできません。選任されても就任していないという形になります。就任していないので辞退する旨の届も必要はありません。


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