Last Updated on 2023年2月26日 by 勝
総会後の取締役会
定時株主総会が終了したら、株主総会から委任された事項等を決議するために取締役会を開催しなければなりません。
多くの場合は、株主総会終了後直ちに、控室に戻った再任および新任の取締役により取締役会を開催します。
この場合、定款等で取締役会の招集権者を代表取締役としている場合は、厳密に言えばまだ代表取締役が選出されていません。全員の同意があれば招集手続を省略できますが、もしも欠席者があれば取締役会の招集に瑕疵が生じます。
対策として、株主総会前に取締役と監査役の候補者全員から預かっている就任承諾書に、当該株主総会終了後ただちに取締役会を開催することについての同意する旨の文言を加えておくと安心です。
取締役会の決議事項
一般的には次の事項について決議が必要です。
□ 代表取締役等の選任
□ 取締役の役付け
□ 取締役の使用人兼務
□ 役員報酬等の配分決定
代表取締役等の選任
株主総会では取締役が選任されます。代表取締役は取締役会で選任しなければなりません。
その他に、副社長や専務などの役付き取締役の選任や、取締役に使用人を兼務させる場合においても取締役会の決議が必要です。
新任の取締役だけでなく、再選された取締役についても同様に決議が必要なので注意しなければなりません。
取締役の報酬の配分
株主総会は「取締役全員に対して月額〇〇万円以内」などと定めるにとどめて、具体的な配分は取締役会に委任されるのが一般的です。取締役会では個々の取締役の報酬額を決議しなけれなりません。
これは取締役会の決議事項なので「社長に一任する」という決定はできません。社長が支給案を提出することはできますが、決定するには取締役会決議が必要です。
なお、監査役の報酬は監査役会の決定事項です。
退職慰労金額の決定
株主総会は「退任する取締役〇〇に対して、内規の定めるところにより、退職慰労金を支払うこととし、その金額、支払方法、時期等は取締役会の決議に一任する」と決議するのが一般的です。
支給案は内規によって計算できますが、内規もある程度は裁量の幅があるように決められているのが一般的です。実務的には内規にそって社長が功績度を考慮して支給案を提案し、取締役会が決議して決定します。
この場合、事情によって、取締役会に計算方針とおおよその支給額を示して具体的な額の算出を社長に一任することもあるようですが、その場合は、社長は具体額決定後にその額を取締役会に報告する義務があると考えられています。