Last Updated on 2025年6月20日 by 勝
定款とは
株式会社の定款(ていかん)とは、いわば会社の憲法とも言える重要な書類です。会社の基本的なルールや骨組みを定めています。会社を設立する際に必ず作成しなければなりません。
定款の目的と役割
定款には、主に以下のような目的と役割があります。
会社の基本的事項の明文化
会社の名称、所在地、事業目的、発行可能株式総数など、会社運営の根幹に関わる事項を明確に定めます。これにより、会社の活動範囲や方向性が明確になります。
取引の安全の確保
定款に記載された内容は、会社と取引を行う第三者に対しても効力を持ちます。これにより、取引の相手方は会社の基本的な情報を確認でき、安心して取引を行えます。
紛争予防
役員の選任方法や株主総会の運営方法などを事前に定めておくことで、将来的な社内での意見対立や紛争を未然に防ぐ効果があります。
会社設立の要件
会社法において、株式会社の設立には定款の作成が義務付けられています。定款がなければ会社を設立できません。
定款に記載すべき事項
定款に記載すべき事項は、大きく分けて以下の3種類があります。
絶対的記載事項
これらが記載されていないと、定款自体が無効となる項目です。
目的
会社がどのような事業を行うのかを具体的に記載します。
商号
会社の名称です。
本店の所在地
会社の住所です。最小行政区画(例:東京都千代田区)までの記載で足りますが、設立登記の際には番地まで必要です。
設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
会社設立時に出資される金額の総額、またはその最低額を定めます。
「価額又はその最低額」というのは、必ずしも確定した額でなく、「最低でもこのくらいは出資できる」という額を記載すればよいという意味です。定款には「第〇条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は、金〇〇万円とする。」などと記載します。
発起人の氏名または名称および住所
発起人とは会社を設立する人(法人も含む)です。
発起人の氏名(名称)・住所は、印鑑証明書に記載されているまま、一言一句間違いのないように書かなければなりません。例えば、「ニ丁目10番2号」という記載であれば、「2-10-2」はもちろんだめで、「2丁目10番2号」でもだめです。
発起人が複数いる場合は、全員の氏名・住所を記載します。
また、「法人」が発起人となることもあります。その場合は履歴事項全部証明書(登記簿謄本)をもとに、正確に記載をしましょう。
なお、発起人は会社設立時の株式を1株以上引き受けることになっているので、発起人は、設立後は株主になります。定款には「発起人の氏名又は名称及び住所」とともに、発起人の引受持ち株数も記載されます。
発行可能株式総数
これは、設立したときの株式数ではなく、将来にわたって発行することが可能な株式の総数のことです。定款には「第〇条 当会社の発行可能株式総数は〇〇株とする。」などと記載します。
相対的記載事項
これらを定款に記載しなければ、その事項が法的に効力を生じない項目です。記載は必須ではありませんが、会社に必要な場合は記載します。
株主総会の招集通知期間の短縮
取締役会設置会社、監査役設置会社である旨
現物出資に関する事項
株主名簿管理人に関する事項
株式の譲渡制限に関する事項
残余財産の分配に関する事項
役員の任期延長に関する事項(非公開会社のみ)
役員の定数に関する事項
任意的記載事項
会社の自由な判断で定めることができる項目です。記載しなくても定款の効力には影響しません。
事業年度
役員の報酬に関する事項
株主総会の議長に関する事項
配当に関する事項
創業の精神や経営理念など
定款の作成から認証、そして保管まで
作成
定款を作成するのは会社の「発起人」、つまり、会社を作ろうとする人(達)です。会社ができてしまえば、定款の変更は株主総会で決定します。
認証
作成した定款は、公証役場で公証人による認証を受ける必要があります。これは、定款の内容が適法であり、真実であることを公的に証明してもらう手続きです。
保管
認証された定款は、会社設立後も会社で大切に保管しなければなりません。これは会社の基本的なルールブックとして、いつでも参照できるようにするためです。
参考
定款は、会社の設立時だけでなく、その後の運営においても非常に重要な役割を果たすため、作成時には専門家(司法書士や行政書士など)に相談することをお勧めします。
また、日本公証人連合会のホームページの、定款認証Q&Aを参考にしましょう。
また、同ホームページからは、定款例をダウンロードすることができます。
会社事務入門>株式会社の設立手続き>このページ