カテゴリー: その他の規程

  • 職務権限規程のサンプル(2)

    50人規模の企業を想定した、実務的な形式の「職務権限規程」の例を示します。あくまで一例ですが、実際の社内規程や運用ルールのたたき台として活用いただけます。

    職務権限規程(例)

    第1章 総則

    第1条(目的)

    本規程は、当社における職務遂行に関する権限の範囲および承認手続を定め、組織運営の効率化と責任の明確化を図ることを目的とする。

    第2条(適用範囲)

    本規程は、当社に勤務するすべての役職員に適用する。

    第2章 決裁権限

    第3条(稟議・決裁の区分)

    社内の意思決定は、以下の区分に基づいて決裁されるものとする。

    決裁区分説明
    起案担当者が稟議書・申請書を作成し、関係部門に提出する行為
    承認所属上位者が内容を確認・同意する行為
    決裁最終的に会社としての意思決定を行う権限

    第4条(決裁権限基準表)

    以下の表に基づき、金額や内容に応じて決裁権限を定める。

    【例:金額に応じた購買決裁】

    内容担当者課長部長役員
    備品購入(1万円未満)
    備品購入(1万円以上~10万円未満)起案
    備品購入(10万円以上~50万円未満)起案
    備品購入(50万円以上)起案

    【例:契約の締結】

    内容営業担当営業課長営業部長社長
    顧客との契約(金額100万円未満)起案
    顧客との契約(100万円以上500万円未満)起案
    顧客との契約(500万円以上)起案

    【例:人事・労務関係】

    内容担当者課長管理部長社長
    アルバイト採用起案
    正社員採用起案
    人事評価の一次査定
    昇給・昇格案の決裁

    第3章 承認・報告・通知

    第5条(承認の原則)

    決裁に先立ち、関係部門の承認を受けなければならない場合は、その承認がなければ決裁は有効とならない。

    第6条(報告義務)

    次の業務については、決裁後、関係部門および上位者に速やかに報告しなければならない。

    内容報告対象
    クレーム対応報告所属課長および品質管理責任者
    取引先の信用不安情報営業部長および経理課

    第4章 雑則

    第7条(権限の委任)

    やむを得ず決裁権者が不在の場合、所定の職位の代理者が決裁を代行できる。ただし、その際は代理決裁である旨を明記し、後日報告を要する。

    第8条(規程の改廃)

    本規程の改廃は、社長がこれを決定する。

    付表:職務別の主要決裁権限一覧(抜粋)

    業務項目一般社員課長部長社長
    見積書作成(定型)
    見積書作成(特注案件)起案
    出張申請起案
    出張旅費の精算起案
    社外セミナー参加申請(5万円未満)起案
    社外セミナー参加申請(5万円以上)起案

    関連記事:職務権限の明確化とその進め方~小規模の企業における段階的整備~

    会社事務入門社内規程を整備するためのノウハウを徹底解説(付:社内規程サンプル)>このページ

  • 苦情処理委員会規程のサンプル

    規程のサンプル

    男女雇用機会均等法は、委員の構成員を「事業主を代表する者」及び「当該事業場の労働者を代表する者」と定めているだけなので、双方から指名された者が入っていれば、委員会の構成割合をどうするか、委員会にどのような権限を持たせるか、などの詳細はそれぞれの会社で任意に決めることができます。以下の規程サンプルはあくまで一例です。

    苦情処理委員会規程

    (目的)
    第1条 この規程は、男女雇用機会均等法第15条の規定、育児介護休業法第52条の2の規定、パートタイム・有期雇用労働者法第22条の規定、障害者雇用促進法第74条の4の規定に基づく苦情処理機関として当社に設置する苦情処理委員会(以下「委員会」という)の構成、運営、調査審議事項などを定める。

    (委員)
    第2条 委員は、会社が指名する委員3名、労働者代表が指名する委員3名、計6名とする。委員は委員会を構成する。

    2 委員の任期は1年とする。ただし、再任を妨げない。委員が退職等により、欠員となったときはすみやかに補充する。補充委員の任期については、前任者の残任期間とする。

    3 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

    (委員会)
    第3条 委員会は、苦情等の申出があったときに招集され、当該申出に係る事案を審議する。

    2 委員会は、委員の過半数の出席をもって成立する。

    3 委員の互選により委員長を選出する。委員長は委員会を統括するとともに、会議の議長を務め、その他必要な事項を処理する。

    4 委員会の決議は、委員長を含めた出席委員の過半数の賛成をもって決定する。賛否同数の場合は当該案件についての審議を終結する。

    (苦情等の申出)
    第4条 当社の従業員は、いつでも「苦情等の申出書(様式1)」を委員会事務局に提出して委員会による審議を求めることができる。当該申出書による申出ができない理由があると委員長が認めるときは、口頭その他委員長が認める方法により行うことができる。

    (調査)
    第5条 委員会は当該事案の調査に際して、必要があると認めたときは申出人その他の関係者に質問し、または書面等の提出を求めることができる。

    (意見)
    第6条 委員会は調査を終えたときは、当該事案についての委員会の意見を、申出人と会社に通知する。

    (事務局)
    第7条 事務局は総務課に置く。事務局を担当したものは職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

    附則
    本規程は、令和〇〇年〇〇月〇〇日から施行する。

    様式1

    苦情等の申出書

    令和  年  月  日

    苦情処理委員会殿

    申出人氏名
    申出人所属

    申出事項
    (審議調査を求める事項、これまでの経緯、求めたい措置等を記載して下さい。この用紙で足りない場合はA4サイズの任意の用紙を追加して下さい。)


    苦情処理委員会の設置と運営

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  • 役員退職金規程のサンプル

    ◯◯株式会社役員退職金規程

    (総則)
    第1条  本規程は、当社の取締役および監査役(以下「役員」という)が退任したとき、当該役員またはその遺族に対して支給する退職慰労金について定める。

    (退任)
    第2条 この規程における「退任」とは取締役または監査役の地位を離れることをいう。

    (株主総会への付議)
    第3条 役員が退任した場合には取締役会は、その退任の日以後、もっとも早く開催される定時株主総会(退任の時期が定時株主総会終了のときであるものは当該総会)に、その役員の退職慰労金支給議案を付議しなければならない。
    2 前項の規定に関わらず、取締役会は退任した役員に退職慰労金を支給しないことが相当であると認めた場合には、その役員の退職金支給議案を株主総会に付議しないことができる。
    3 退職慰労金支給議案は、原則として、退任役員に支給すべき退職慰労金の額、支給時期および方法について、この規程によることを条件として、取締役会に一任を受けるよう株主総会に付議するものとする。

    (退職慰労金額の決定)
    第4条 役員退職慰労金は、以下の各号のうちいずれかの額の範囲内とする。
    ① 本規程に基づき計算すべき旨の株主総会の決議に従い、取締役会または監査役の協議により決定し た額
    ② 本規程に基づき取締役会または監査役の協議により決定し、株主総会において承認された額

    (退職慰労金額の算出方法)
    第5条 役員の退職慰労金の額は、以下の算式によって計算する。

    退職慰労金の額=(退任時に適用されている報酬月額×役員としての在任年数×役位係数)の合計額

    役位係数は以下のとおりとする。
    社長  3.5
    専務取締役  2.5
    常務取締役  2.0
    取締役 1.5
    監査役 1.0

    (役員在任年数)
    第6条 役員在任年数は1年を単位とし、1年未満の端数月は切り捨てる。

    (使用人兼務役員)
    第7条 この規程により支給する退職慰労金には、使用人兼務役員に対する使用人分の退職金は含まれないものとする。

    (特別功労加算金)
    第8条 在任中、特に功労顕著であったと認められる役員に対しては、第5条により算出した金額の 30%を上限として、特別功労加算金を加算することができる。

    (弔慰金)
    第9条 役員が在任中に死亡した場合には、以下の各号に定める弔慰金を支給することができる。
    業務上の死亡の場合 死亡時の報酬月額×36 ヶ月分
    その他の死亡の場合 死亡時の報酬月額× 6ヶ月分

    (特別減額)
    第10条 会社の名誉を毀損し、あるいは会社に著しい損害等を与え退任する役員の退職慰労金は、取締役会の決議または監査役の協議により減額または不支給とすることができる。

    (支払時期および方法)
    第11条 取締役の退職慰労金の支給時期、支給方法等は、株主総会の決議に従い、取締役会が決定する。

    2 監査役の退職慰労金の支給時期、支給方法等は、株主総会の決議に従い、監査役の協議において決定する。

    (会社加入の事業保険との関連)
    第12条 退職慰労金と関連のある会社加入の生命保険および損害保険契約の受取保険金等は、全額会社に帰属する。

    (規程の改正)
    第13条 この規程の改廃は取締役会の決議を経なければならない。

    附則
    この規程は 令和年 月 日から施行する。


    関連記事:役員退職金の決め方

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  • 定年後勤務延長規程のサンプル

    定年後勤務延長規程

    (目的)
    第1条 この規程は、〇〇株式会社(以下「会社」という)の定年後の勤務延長制度について定める。

    (勤務延長制度)
    第2条 勤務延長制度とは、特別な事情がある場合に定年に達した従業員を引き続き勤務させる制度である。

    (対象従業員)
    第3条 この制度の対象になる従業員は次の各号のいずれかに該当すると認める従業員とする。

    1.当該従業員の担当する職務が高度の知識、技能又は資格を必要とするものであるため、その従業員の退職により業務の運営に著しい支障を生じるとき
    2.当該従業員の職務に係わる勤務環境その他の勤務条件に特殊性があるため、その従業員の退職による欠員を容易に補充することができないとき
    3.その他、当該従業員の担当する職務に特別の事情があるため、その従業員の退職により業務の運営に著しい支障が生じるとき

    (延長期間)
    第4条 勤務を延長させる期間は、当該従業員の定年の日の翌日から起算して○年を超えない範囲内で期限を定める。

    2 前項の期限又はこの項の規定により延長された期限が到来する場合において、第3条の事由が引き続き存すると認められるときは、当該従業員の同意を得て、1年を超えない範囲内で期限を延長することができる。

    (労働条件)
    第5条 この制度により勤務を延長した従業員の労働条件は、定年の日の直前まで適用されていた労働条件を引き続き適用する。ただし、勤務延長に際して別な条件を双方の合意によって取り決めたときはその合意した労働条件による。

    (退職金)
    第6条 この制度により勤務を延長した場合の退職金は、原則として延長期限の到来により退職するときに、延長後の期間を通算して計算した退職金を支給するものとする。

    (繰上げ退職)
    第7条 前条の規定による延長期限が到来する前に第3条の事由が存しなくなったときは、当該従業員の同意を得て、期日を定めてその期限を繰り上げて退職させることができる。

    附則 本規程は令和○年○月○日から施行する。


    関連就業規則:定年|就業規則

    関連記事:定年後の勤務延長制度について

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  • 労働時間等設定改善委員会規程のサンプル

    労働時間等設定改善委員会規程

    (目的)
    第1条 労働時間等設定改善委員会(以下「委員会」という)は、○○株式会社(以下「当社という」における労働時間等の設定の改善に関する事項を調査審議し、事業主に対して意見を述べることを目的とする。

    2 委員会は、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第7条第1項の規定に基づく決議を行う。

    (構成)
    第2条 委員会の委員は○名とし、当社の社長が指名する。ただし、委員の半数については、適正な手続により選出された従業員過半数代表の推薦に基づいて指名する。

    2 委員に欠員を生じた場合には、社長はすみやかに委員を補充する。この場合において、従業員代表の推薦に基づいて指名された委員に欠員が生じた場合には、従業員代表の推薦に基づき新たに委員を指名する。

    3 委員会に委員長と副委員長を置く。委員長は委員の互選により選出し副委員長は委員のなかから委員長が指名する。

    (委員)
    第3条 委員の任期は1年とする。ただし、再任を妨げない。

    2 前条第2項により補充された委員の任期は前任者の残任期間とする。

    3 委員の任期が満了したときに後任の委員が指名されていないときは、退任予定の委員がその職務を行う。

    (招集)
    第4条 委員会は委員長が招集する。委員長に事故あるときは副委員長が招集する。委員長が選出されるまでの間は社長が招集する。

    2 委員会は、労働者代表の推薦により指名された委員及び労働者代表の推薦により指名された委員以外の委員がそれぞれ少なくとも2名以上出席しなければ、開催することができない。

    3 委員会の議長は委員長が務める。委員長に事故あるときは副委員長が務める。

    4 委員会の議事は出席者の過半数の賛成により決する。可否同数の場合は議長が決する。

    5 前項にかかわらず、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第7条第1項の規定に基づく決議を行う場合には、当該決議に係る委員会への出席の有無を問わず、委員の5分の4以上の多数による議決を必要とする。

    (調査審議事項)
    第5条 委員会は、次の事項について調査審議する。

    (1)所定外労働時間の削減に関すること
    (2)年次有給休暇の取得促進に関すること
    (3)労働時間制度の改善に関すること
    (4)労働時間等の設定の改善に関する特別措置法第7条第1項の規定に基づく決議に関すること。
    (5)この規程の改定するに関すること
    (6)その他労働時間等の設定の改善のための措置に関すること。

    (議事録)
    第6条 委員会は開催の都度議事録を作成する。

    2 議事録は3年以上保存しなければならない。

    第7条 この規程の改定には委員会の同意を必要とする。

    附則
    この規程は、令和○年○月○日より施行する。


    関連記事:労働時間等設定改善委員会とはどういうものか?

    関連記事:労働時間等設定改善委員会の議事録のサンプル

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  • 積立方式による退職金規程のサンプル

    退職金規程

    (目的)
    第1条 この規程は〇〇株式会社の退職金について定める。

    (適用範囲)
    第2条 この規程は、正社員として採用され正社員のまま退職する従業員に適用する。

    (受給資格)
    第3条 この規程が適用される従業員は満1年勤続することで退職金の受給資格を取得する。ただし、自己都合による退職の場合は満3年勤続することを要する。

    (自己都合退職)
    第4条 自己都合退職とは、定年退職、死亡退職、労災起因退職、休職期間満了退職、会社都合退職以外の退職をいう。

    (退職金の計算)
    第5条 退職金は次の算式により計算する。

    退職時の基本給×勤続年数×係数

    2 自己都合退職の係数は0.7とする。特に功績が顕著な者の係数は1.5までの範囲でその都度定める。

    (勤続年数の計算)
    第6条 勤続年数は入社の日から退職の日まで暦年で計算する。ただし、定年後の再雇用期間は参入しない。

    2 勤続年数に1年未満の端数がある場合は、5か月以下は切り捨て6か月以上は1年に切り上げる。1か月に満たない端数は1か月に切り上げる。

    (金額の端数)
    第7条 計算した退職金に1万円未満の端数があるときは1万円に切り上げる。

    (退職金の減額及び不支給)
    第8条 懲戒解雇による退職のときは退職金の一部または全部を支給しないことがある。また、懲戒解雇以外の解雇であっても、その事由により退職金の一部を支給しないことがある。

    (受取人)
    第9条 退職金は原則として本人が指定する銀行預金口座に振込で支払う。死亡退職の場合は原則として遺族が指定する遺族の銀行預金口座に振込で支払う。

    (支給日)
    第10条 退職金は原則として支給事由発生日から1か月以内に支払う。

    (債務の控除)
    第11条 退職金を支給される従業員が会社に対して債務を負っている場合は、その金額を退職金から控除する。

    (附則)
    この規程は令和〇年〇月〇日から施行する。


    退職金の算出に退職時の基本給を使う方式は、計算は簡単ですが、昇給が直接退職金の増加につながります。

    そこで、基本給をそのまま使わず、退職金用のいわば第二基本給を設定する方式もあります。

    また、基本給を使わずに、ポイント制退職金制度をつくり職能資格制度と連動させる方式もあります。ポイント制退職金の場合の一例は以下のようになります。

    (退職金の計算)
    第5条
    退職金は次の算式により計算する。
    累計ポイント×ポイント単価
    (1)累計ポイントとは勤続ポイントと職能ポイントを累計したものをいう
    (2)勤続ポイントは勤続1年につき〇ポイントとし、〇ポイントを上限とする。
    (3)職能ポイントは等級別ポイントを等級在籍期間に乗じて計算する。
    (4)ポイントの単価は〇万円とする。


    この退職金規程は、積立方式による場合のサンプルです。

    解説記事:中小企業は退職金制度をどうすればよいか

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