カテゴリー
経理の事務

買掛管理について

Last Updated on 2023年7月9日 by

買掛金とは

買掛金とは、商品やサービスを掛取引で仕入れをしたときに使う勘定科目です。

掛取引とは、売り買いのときに、その場で現金等で支払いを済ませるのではなく、一定期間内の取引を後日まとめて支払う取引です。

掛取引のうち、仕入を行った側が仕入れの金額を計上するのが買掛金という勘定科目です。

買掛金が発生する取引

① 商品を販売するために卸売会社から商品を掛けで仕入れる
② 商品を製造するために卸売会社から原材料を掛けで仕入れる

掛けですからお金は動いていませんが、商品は動いています。商品が自分のところに動いてきたということは、取引相手に支払わなければならない金額が発生したということになります。その金額が買掛金です。

家庭でつける家計簿などではお金を払っていなければ記載しないことが多いと思いますが、事業をやっている場合は、お金を支払ったときだけでなく、買掛金が発生したときも帳簿に記載しなければなりません。

未払金、未払費用との違い

買掛金とよく似た勘定科目に「未払金」「未払費用」があります。

未払金とは、消耗品の購入費や固定資産の購入代金を、あとから支払う約束をしたものです。買掛金は仕入の購入代金であるところが違います。

未払費用とは、サービス(継続的に発生する契約の役務)への対価のうち、まだ支払いが行われていないものを指します。保険料や水道、電気代、従業員の給与などが該当します。

買掛金の仕訳

仕入れたとき

仕入の取引が発生したときは、借方に「仕入れ」、貸方に「買掛金」を記載します。

借方科目金額貸方科目金額
仕 入100,000円買掛金100,000円

支払ったとき

支払い期日になり、仕入れ代金を銀行へ振り込んだ場合は借方に「買掛金」、貸方に「預金」として仕訳を行います。

借方科目金額貸方科目金額
買掛金100,000円預 金100,000円

買掛金と売掛金を相殺するとき

自社の売上げ先が仕入先でもある場合、自社が売り手となり発生した「売掛金」で負債の「買掛金」を相殺することもできます。こうした取引は相手の取引先へ同意を得る必要があります。

借方科目金額貸方科目金額
買掛金100,000円売掛金100,000円

返品をしたとき

仕入れたものを返品した場合は、買掛金から返品した分の金額を減らします。返品した場合は「仕入戻し」「仕入値引き」といった勘定科目を使うこともあります。これまでと同じやり方をします。

借方科目金額貸方科目金額
買掛金100,000円仕 入100,000円

買掛金元帳への転記

買掛金元帳は、取引先との買掛金の残高を管理する補助簿です。取引先ごとに作成し、買掛金の金額を記録します。

一般的には会計ソフトで処理するので、買掛金の仕訳入力をした時点で買掛金元帳へ転記されます。

差異チェック

帳簿に記載されている買掛金残高と取引先からの請求金額が一致するのが望ましいのですが、締切時期の違い等で食い違いが発生します。

不一致には、 

① 金額に誤りや漏れがある
② 一部の取引が計上されていない
② 一部の取引を重複して記帳している

などがあります。原因を究明して正しい金額を支払わなければなりません。社内の仕入担当者と協議しても分からなければ相手先に問い合わせする必要があります。

回転期間

買掛金が発生してから支払いが終わるまでの期間を回転期間と言います。

回転期間は、仕入れに関する資金繰り状況をはかる指標として用いられます。自社の買掛金回転期間を継続して把握して、変化が見えてきたらその理由を調べましょう。可能であれば地域や業界の平均的な買掛金の回転期間を調べて参考にしましょう。

日数の場合
買掛金残高÷(売上原価÷365)=買掛金の回転期間(日)

月数の場合
買掛金残高÷(売上原価÷12ヶ月)=買掛金の回転期間(月)

回転期間が長くなるのは支払いを遅らせていることにるので資金繰り的には良いのですが、取引先からは支払いが悪い相手先と認識されるおそれがあるので、必ずしも良いことではありません。

会社事務入門経理の基礎知識>このページ