Last Updated on 2023年11月9日 by 勝
退職手続きか解雇手続き
休職期間が満了したときに、休職の原因になっていた傷病が治っていれば休職前の職場に復帰させることになりますが、治っていないのであれば、就業規則の規定にもとづいて退職か解雇ということになります。
退職にするか解雇にするかは、就業規則の記載内容によります。
就業規則に「休職期間満了までに復職できない場合は退職扱いとする。」と書いてあれば、退職手続きを開始します。
就業規則に「休職期間満了までに復職できない場合は解雇する。」と書いてあれば、解雇通知をして退職の手続きをします。
休職に伴うトラブルとして多いのが、会社が退職あるいは解雇にしたことについて、従業員が不当解雇であると主張するパターンです。
基本的には、私傷病休職の場合は、休職期間満了後、働けない状態であれば、ほとんどの場合不当解雇にはなりません。
しかし、本人が働けると主張して、しかも、主治医の診断書が復帰可能としているのに復帰させなかったという場合は、争いになれば難しいことになる確率が高いでしょう。
手続き
退職届
休職期間中に従業員が自ら退職届を提出した場合は、その退職届にもとづいて退職手続きを進めて問題ありません。
就職期間が満了した時点での退職は、就業規則に定めた退職要件による退職なので、本人から退職届を提出してもらう必要はありません。
逆に会社は退職通知または解雇通知を出さなければなりません。
退職通知書
就業規則に「休職期間を満了しても復職できない場合は退職扱いとする。」と書かれている場合は「退職」なので、「貴殿の休職期間は令和〇年〇月〇日に満了し、就業規則第〇条〇項により、〇月〇日付で退職扱いとなりましたので、通知します。」という内容になります。
解雇通知書
就業規則に「休職期間を満了しても復職できない場合は解雇する。」と書かれている場合には「貴殿の休職期間は平成〇年〇月〇日に満了しました。弊社は貴殿を就業規則第〇条〇項により、〇月〇日付で解雇しますので、通知します。」という内容になります。解雇の場合は、通知時期によって解雇予告手当が必要になります。
書式:解雇通知書のサンプル
雇用保険
会社がハローワークに提出する離職証明書には、「離職理由欄」があります。離職理由によって退職者が受給できる失業給付の給付日数が異なるので退職者には大変重要なポイントです。
就業規則に「休職期間を満了しても復職できない場合は退職扱いとする。」と書かれている場合には、「その他」に○を付け、「理由を具体的に」の欄に、「休職期間満了による退職」と記載します。
その下の具体的事情記載欄に、「私傷病により休職していたが休職期間満了により退職となった。」と記載します。確認書類として就業規則の写し、休職命令書の写し、退職通知書の写しを添付します。
就業規則に「休職期間を満了しても復職できない場合は解雇する。」と書かれている場合には、「解雇(重責解雇を除く。)」に○を付けます。
具体的事情記載欄に、「私傷病により休職していたが休職期間満了により解雇した。」と記載します。確認書類として、就業規則の写し、休職命令書の写し、解雇通知書の写しを添付します。
なお、上記いずれの場合でも、病気による離職の場合は、退職者は失業給付の給付日数について、通常の自己都合退職より優遇されます。
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退職金
休職後退職の場合、勤続期間に休職期間が含まれるかどうか問題になることがあります。
退職金規程に休職期間を除外する旨の定めがあれば除外し、特段の規定がなければ、休職期間も勤続年数に含めて退職金を計算することになります。
また、退職理由が自己都合か会社都合かによって、退職金の支払額を変えている会社もあります。
これも、退職金規程の定めに従うことになりますが、明確な規程がない場合には、休職にいたった事情に会社に特段の落ち度がなければ退職金について自己都合退職として扱うことに問題はないとするのが一般的ですが、納得を得られないとトラブルになる可能性があります。