Last Updated on 2024年11月9日 by 勝
個別労働紛争の解決手段
個々の労働者が会社との間に何らかの紛争が発生したときに、裁判所に訴訟を提起する前に、紛争解決を支援するさまざまな制度を利用することができます。
労働基準監督署や労働局の関与
労働基準監督署による労働基準法違反の是正勧告、労働局による助言、指導などを通じて、紛争解決が図られることがあります。
第三者機関によるあっせんや調停
第三者機関が関与する紛争解決手段もあります。労働局紛争調整委員会によるあっせん手続、都道府県労働委員会によるあっせん手続などがあります。
労働審判
労働審判は、会社と労働者の間の紛争を解決するための裁判所の手続きのことです。裁判官だけでなく、労働関係の慣習や事情をよく理解している民間の専門家を交えて審理します。
通常訴訟
上述した個別労働紛争の解決手段を経ても解決しない場合、最終的な手段として訴訟があります。上述の解決手段を利用せずに、直ちに訴訟することもできます。
通常訴訟は、裁判所に訴訟を提起し、本格的な審理を経て裁判所が終局的な判断を下すことを目的とする手続です。
証人尋問等の本格的な証拠調べが行われます。訴訟の提起から一審判決まで1年以上かかることが多いです。手続の中で裁判所から和解を勧められることがあり、柔軟な解決に至ることもあります。
他の紛争解決手段と比べると、時間と費用がかかるのが難点だとされていますが、時間がかかる分、十分な主張や立証を行うことができます。
少額訴訟
少額訴訟手続は、60万円以下の金銭の支払を求める場合に利用できる特別な訴訟方法で、原則として1回の審理で判決が出されます。相手方が少額訴訟の手続によることに反対した場合等には、通常の訴訟手続に移行します。
裁判では、司法委員が間に入り、和解できるかどうかの話し合いが行われます。合意に至った場合には和解条項が作成されて裁判は終了します。合意に至らなかった場合には裁判所が双方の言い分を聞き、また、提出された証拠を調べて判決を言い渡します。
比較的単純な事案の解決に利用することが想定されているので本人でもできると言われていますが、裁判である以上証拠等の事前準備が必要なので、法律的な知識がまったくない場合は、費用はかかりますが、弁護士、司法書士に依頼するほうがスムーズだと思われます。
民事保全について
裁判には民事保全という制度があります。民事保全というのは、訴訟を提起して権利を実現しようとする人のために、現状を維持確保することを目的とする制度です。
訴訟の判決や労働審判が出る前に処分が決定すれば、その執行もできます。
例えば、労働紛争に関して、仮の地位を定める仮処分により、労働者に対する未払いの賃金を、使用者に仮に支払わせることもあります。
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