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採用の事務

雇い入れ時の安全衛生教育

Last Updated on 2023年10月10日 by

労働安全衛生法による教育

採用時の安全衛生教育は、労働安全衛生法に定めがあります。

労働安全衛生法第59条
事業者は、労働者を雇い入れたときは、当該労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。
2 (略)
3 (略)

上記のように、事業者は、労働者を雇い入れたときはその従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行わなければなりません。

教育しなければならない事項

教育の具体的な内容は、労働安全衛生規則第35条に定めがあります。

一 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること。
二 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること。
三 作業手順に関すること。
四 作業開始時の点検に関すること。
五 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること。
六 整理、整頓とん及び清潔の保持に関すること。
七 事故時等における応急措置及び退避に関すること。
八 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

労働安全衛生規則第35条のただし書きでは「令第二条第三号に掲げる業種の事業場の労働者については、第一号から第四号までの事項についての教育を省略することができる。」と定めています。

施行令第二条第三号は「その他の業種」となっています。これは、林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業、製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業の業種以外の業種ということです。

つまり、危険性の少ない業種に従事するものには、一~四を省略することができます。

教育の対象者

健康診断は「常時使用する労働者」が対象ですが、安全教育はすべての労働者に実施しなければなりません。

ただし、全部または一部を免除される労働者もいます。

労働安全衛生規則第35条2 事業者は、前項各号に掲げる事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該事項についての教育を省略することができる。

全部または一部を省略する扱いをするときは、その省略の基準を明確に定めておきましょう。

一般的には労働安全衛生法による免許の保持、技能講習の受講歴等で判断します。

短期アルバイトやパート従業員に対しては正規の安全衛生教育はいらないと誤解している経営者も見受けられますが、勤務時間や雇用期間にかかわらず、すべての従業員を対象にしなければならないので注意しましょう。

教育の方法

小規模な企業が社内で研修を準備するのは大変なので、労働基準協会などの外部機関が行う講習を利用しましょう。

社内研修として実施するときは、中央労働災害防止協会編「新入者安全衛生テキスト」などの市販のテキストを利用するとよいでしょう。

講習時間について法的な決まりはありませんが、講習実施機関では、6時間(非工業的業的業種では3時間)実施するところが多いようです。

安全衛生教育は、労働者がその業務に従事する場合の労働災害を防止するためのものなので、事業者の責任と負担において実施しなければなりません。

従って、安全衛生教育の時間は労働時間としてカウントする必要があります。法定時間外に行われた場合には割増賃金を支払わなければなりません。外部研修への派遣費用、受講料なども事業主が負担しなければなりません。

また、安全衛生教育を実施した場合は、実施した日時、実施した者の氏名、教育を受けたものの氏名、教育した内容について文書による記録を残しましょう。その際、使用したレジメや教材を添付することを忘れないようにしましょう。教育している場面のスナップ写真も何枚か撮って添付しておきましょう。労働基準監督署の調査に対しては、「実施しています」と口頭で述べても説得力がありません。こうした記録を提示することで実施していることを証明できます。

就業規則規定例

安全衛生教育|就業規則


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