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懲戒処分

個人責任の原則

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個人責任の原則とは

公職選挙法では、重要な立場にある者が選挙違反をしたことを理由として、選挙違反に直接関与していない候補者を当選無効にする連座制があります。しかし、会社が行う懲戒処分は、本人に対して科すものであって、本人となんらかの関係をもつからといって他の者にも責任を負わせることはできないのが原則です。

連帯責任はいけないということ

小売店などでレジが一つしかなく、アルバイトを含めた従業員5人が交替でレジをやっていたとします。閉店後、お金が5000円足りないことが判明し、店主は、お釣りの渡し間違いと推定しました。誰が間違えたか分からないので、店主は従業員全員の連帯責任だと言って、一人1000円ずつ出すように求め徴収しました。

これでよいのでしょうか。

よいわけがありません。

基本的には間違えた者に責任があり、間違えた者以外には責任がないことは自明です。一律1000を負担させたのは、お釣りを間違えていない者にとっては、何の理由もなく金銭を取られたことになります。誰がミスしたか分からないときは、金銭を管理する最終責任がある店主の責任というのが妥当です。

管理職の管理責任を問える場合がある

部下が懲戒処分を受けたとき、上司も併せて処分することができるのでしょうか。

上司にも懲戒処分を科すことは可能です。

ただし、就業規則に「従業員が懲戒処分を受けたときは、その管理監督の任務にある管理職を管理不行届きにより懲戒することがある。」旨の規定がなければ該当事由を満たしません。

その上で、その上司に、管理職として義務の不履行があったかどうか、明確に示せなければなりません。普通の注意を払っていれば不正を見抜けたはず、普通の指導をしていればそのような不祥事は起こらなかっただろう、そのような普通の注意や指導が足りなかったという根拠があれば処分可能ですが、単に上司だからというだけでは足りないと思われます。

また、出張中の出来事などで管理職の責任を問うのも一般的には難しいでしょう。予想がつかないような不祥事についても管理職の責任を問うことはできません。

不正が行われていることを知りながら見て見ぬふりをした。あるいは、ちょっと考えれば不正があるのではないか疑うのが当然というケースで追及しなかったのであれば、管理職としての責任を問えると思われます。

上司を処分するにしても、本人の処分より軽くする必要があるでしょう。本人が懲戒解雇処分であったケースでは、管理責任だけで上司も一緒に懲戒解雇するのは無理です。ただし、不正を知って黙認し、その結果会社に重大な損害が生じたケースでは懲戒解雇を妥当とした裁判例もあります。

いずれにしても、会社は管理職に対して、管理職の役割を日頃から繰り返し教育することが大事です。上司がしっかり目を光らせていれば、金銭にまつわる不正はほとんど防げるものだからです。