就業規則該当事由の原則

Last Updated on 2021年1月26日 by

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就業規則該当事由の原則とは

就業規則に、懲戒処分の対象になる行為を具体的に記載し、その列記した行為に該当したときに懲戒処分の対象にできることを「就業規則該当事由の原則」といいます。

どういうことをすれば懲戒処分の対象になるか、その内容を、就業規則に具体的に列記することが必要です。

逆に言えば、就業規則に列記されていない行為をした者に対しては、たとえその行為がとても非常識なものであったとしても、懲戒処分にするのは難しいということになります。

処分対象行為は会社によって異なる

従業員に禁止したい行為は会社によって異なる部分があります。一般に出されているモデル就業規則の記載では対応してないことがあります。

例えば、トイレからでたら手を洗うことは誰にでも求められる行為ですが、一般の事務所で手を洗わなかった者を懲戒処分対象にすることは無いでしょう。しかし、食品工場において手を洗わないことを懲戒処分対象にすることは十分に理があることです。

このように業種などによって従業員に求める行為やその水準は異なるので、自分の会社ではどのような行為が禁止されているか、あるいは強く求められているかという観点で整理することが必要です。これを怠ると、とんでもないことだと仰天しても就業規則の禁止事項に入っていないから処分できないという事態も起こり得ます。

この場合、就業規則とは別に、手順マニュアルなどで定めていることも就業規則による懲戒処分の対象になりますが、適用させるには、就業規則と当該マニュアルが、相互の適用について明確につながっている必要があります。

就業規則記載例
従業員が次のいずれかに該当するときは懲戒処分の対象になることがある。
〇.故意または重大な過失により〇〇マニュアルの手順に従わないことで会社に損害を与えたとき

マニュアル記載例
故意または重大な過失により本マニュアルに違反したときは就業規則〇条に基づいて懲戒処分を科すことがある。

その他準じる行為には注意が必要

できるだけ具体的に記述しなければなりませんが、あらかじめ考えられることを網羅しようとすると記述が膨大なものになってしまいます。そこで、多くの就業規則には、該当事由を列挙しつつ、最後に「その他これに準ずる行為」などと書いてあります。ぴったり当てはまらなくてもこの「その他」を活用するのです。

ただし、この「その他」という記載は万能ではありません。そうした書き方でいくらでも拡大解釈ができれば、従業員の身分は非常に不安定になってしまうからです。

私的行為を対象にすることについて

してはならない行為を就業規則に列記しておくことで違反したときに処分の対象とすることができます。そして、このしてはならない行為が禁止されるのは就業中に限定されます。

勤務外の時間であれば、法律違反の行為はそれぞれの法律によって裁かれ、就業規則によって裁くことはできないのが原則です。ただし、勤務外の行為が直接会社に悪影響を及ぼすのであれば、会社としても放置するわけにはいかず、就業規則の適用を考えることになります。

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就業規則記載例

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