懲戒処分の対象になる行為を就業規則に列記する

Last Updated on 2021年2月26日 by

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就業規則該当事由の原則

就業規則に、懲戒処分の対象になる行為を具体的に記載し、その列記した行為に該当したときに懲戒処分の対象にできます。この考え方を「就業規則該当事由の原則」といいます。

逆に言えば、就業規則に列記されていない行為をした者を懲戒処分にするのは難しいということです。

どう難しいかと言うと、懲戒処分をするときには、「当該従業員の行為は、就業規則第〇条の〇に違反するので〇〇処分とする」などと、根拠になる就業規則の条文を示さなければなりません。これを示せなければ、処分されたことを不服として争いになったときに会社が不利になってしまうのです。

できるだけ列挙する

そこでどの就業規則にも、禁止行為が列記されています。

この禁止行為は、それぞれの会社の実情をベースに考えていくと記述がどんどん増えてしまうのが普通です。

また、会社の業種等によって従業員に禁止したい行為は異なります。共通する部分もありますが、異なる部分が必ずあるはずです。

例えば、トイレからでたら手を洗うことは誰にでも求められる行為ですが、一般の事務所で手を洗わなかった者を懲戒処分対象にすることはほぼ無いでしょう。しかし、食品工場においては手を洗わないことを懲戒処分対象にすることは十分に理があることです。

記載が煩雑になってくるともう少しまとめてシンプルにしようと考えがちですが、どの項目もいろいろな経緯があって設定されているはずです。安易にカットすると後で後悔することが多いものです。ある程度の煩雑さは仕方ありません。

その他準じる行為

とは言っても、記述が膨大になればよいというものでもありません。

そこで、就業規則の煩雑さを少しでも減らすために、また、記載されていない場合の穴を埋めるために、一つの抜け道ではありますが、多くの就業規則は列記事項の最後に「その他これに準じる行為」と書いてあります。

ぴったり当てはまらないときはこの「その他これに準じる」を活用するのです。

仮に、倉庫内で立小便をした人がいたとします。生理現象ですからやむを得ずしたのであればかわいそうですが、見つかれば叱られるのは当然です。場合によっては戒告処分したらどうかという声が上がるかもしれません。

しかし、倉庫内の立小便を禁止事項にあげている就業規則はほぼ無いと思います。

こういうときに「その他これに準じる」が使われます。就業規則のどこかに、職場の清潔の維持や備品を粗略にしないなどという項目があると思います。立小便をすれば職場が不衛生になり、その場所が汚染されるのですから、清潔維持や備品損壊に「準じる」としても無理はないでしょう。

ただし、この「その他準じる行為」という記載は万能ではありません。いくらでも拡大解釈ができれば、従業員の身分は非常に不安定になってしまうからです。

準じる行為というのは、誰もが無理なく、準じると受け止めることができる類似の行為でなければいけません。そういう適用は強引だと思われるようなことをすると、争いになったときに不利になります。そこで話が戻りますが、考えられる限りの禁止行為列記が必要になるのです。

マニュアルとの連携

就業規則の本文を煩雑にしないために、禁止事項の記載の一部を手順マニュアルなどに移すことがあります。手順マニュアルの禁止事項も就業規則による懲戒処分の対象になりますが、適用させるには、就業規則と当該マニュアルが、以下のように相互の適用について明確につながっている必要があります。

就業規則記載例
従業員が次のいずれかに該当するときは懲戒処分の対象になることがある。
〇.故意または重大な過失により〇〇マニュアルの手順に従わないことで会社に損害を与えたとき

マニュアル記載例
故意または重大な過失により本マニュアルに違反したときは就業規則〇条に基づいて懲戒処分を科すことがある。

また、就業規則と手順マニュアルを連携させたときは、当該手順マニュアルも就業規則の作成改正と同様に扱い、労働者代表からの意見聴取、ならびに労働基準監督署への届け出が必要です。

定期的なアップデートが必要

これまでも度々あったように、これからも時代の変化で新しい規制が必要になるかもしれません。思いがけないことをする非常識な人が現われるかもしれません。ですから、就業規則に記載する禁止項目は、常に不足がないか、逆に時代遅れになったものはないか点検してアップデートする必要があります。最低年1回はスケジュール化しましょう。

私的行為に対する懲戒処分

禁止行為を就業規則に列記しておくことで違反したときに懲戒処分の対象とすることができますが、この行為が就業中に行われた場合に限定されます。

勤務外の時間であれば、法律違反の行為はそれぞれの法律によって裁かれますが、就業規則によって裁くことはできないのが原則です。ただし、勤務外の行為が直接会社に悪影響を及ぼすのであれば、懲戒処分の対象にできる場合があります。

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就業規則記載例

就業規則の規定:懲戒の事由|就業規則