カテゴリー
賃金

賃金の差し押さえ

トップページ賃金制度賃金についての法規制直接払いの原則 > このページ

直接払いの例外

賃金は、原則として本人に直接支払わなけばなりませんが、賃金が国税徴収法の規定に基づいて差し押さえられたときや、民事訴訟の手続きで差押えられたときは、それぞれ指定の相手に払っても直接払いの原則に反しません。

差し押さえ命令

金融業者などに返済を怠った場合、債権者は裁判所に「支払督促」し、債務者から異議申立てが無ければ、仮執行宣言の申立て手続きがされ、給与を含む財産の差し押さえに進みます。

消費者金融等から会社に電話や訪問で賃金からの天引きを求められても支払ってはいけません。そのような取り立ては通常違法ですし、応じれば会社も、賃金の直接払いの原則に違反するので、従業員に賠償しなければならなくなります。

裁判所から差押命令が送られきたときは、会社はそれを放置することはできません。本人が給料からの返済に抵抗するとしても、それは本人が裁判所に手続きするべきことで、会社としては裁判所の命令に従わなければなりません。

税務署や裁判所の命令で差し引くのであれば、賃金控除の労使協定は不要です。

差し押えの限度額

差押えできる限度額が民事執行法で定められています。

賃金の4分の3に相当する部分は社員の生活に必要な費用として、差押えが禁止されています。つまり、4分の1までが、差押えの対象になります。

ただし、4分の3の金額が33万円を超える場合には、超える分の全額が差押の対象となります。

仮に、100万円の借金があるとし、仮に、税金等を控除した後の給料の金額が24万円であれば、1ヶ月に差し押さえができる金額は6万円です。この6万円を100万円に達するまで、毎月、差し引いて、債権者に支払うことになります。

ここでいう賃金とは、所得税や住民税、社会保険料、通勤手当を控除した後の金額です。賃金から天引きされていても貸付金返済や積立金等の私的な契約に基づくものは控除できません。

賞与や退職金も差押えの対象となります。賞与については賃金と同じ取扱いです。退職金については、その金額に関係なく、4分の1に相当する部分が差押えの対象です。

陳述書

差押命令と一緒に陳述書が同封されていることがあります。この場合は届いた日から2週間以内に回答をしなければなりません。

内容は、賃金債権の有無や種類、金額、差押えに応じる意思の有無等です。

もしも、差押えより優先して相殺すべき債権がある場合は、その主張をすることができます。ただし、債権者がこれを認めないときは、裁判所に取立訴訟を提起しなければなりません。

供託

差押え命令が1件の場合は、会社は差し押さえられた金額を直接債権者に支払うことができます。法務局に供託することもできます。

差押え命令が2件以上になり競合する場合は、直接債権者に支払うことはできません。この場合は供託しなければなりません。

供託の場合は法務局に行います。慣れない場合は、費用はかかりますが、弁護士や司法書士にお願いするのがよいでしょう。

カテゴリー
労働基準法 賃金

未成年者の賃金請求権

トップページ採用の事務年少者雇用上の注意事項>このページ

賃金代理受け取りの禁止

労働基準法24条に「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなけれならない」との定めがあり、第三者に支払うことが禁止されています。

賃金の直接払いの原則

未成年者については、さらに念押しする形で、子の賃金を親が代わって受け取ることを禁止しています。

労働基準法第59条 未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代つて受け取つてはならない。

e-Gov法令検索 2020/08/24

今は、賃金を親に渡すようなことはまず無いと思いますが、こういう規定があることを忘れてはなりません。

使者の扱い

給料は本人のみに支払うべきで、親と云えども代理に受け取ることはできませんが、使者へ渡すことは差し支えないという行政通達があります。

たとえば、本人が病気欠勤中に本人の指示で家族が賃金の受領にくるような場合です。

使者というのは、本人の指示通りに行動する者ということですが、賃金受け取りの時点において、使者かそうでないかを判断するのは困難です。

対応に迷うと思いますが、一般常識的に判断して対応するしかありません。

その場合でも、渡した相手が赤の他人だったと後に分かるようでは失態です。少なくとも、来た人の身分証明書等の提示を求めてコピーし、いくつかの質問をするなどして、本人との関係について一定の確認してから渡した方がよいでしょう。

カテゴリー
賃金

新型コロナ対応の休業手当に雇用調整助成金が給付

トップページ休業手当について>このページ

雇用調整助成金とは

雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業等を行い、労働者の雇用の維持を図った場合、労働者が従業員に支払った休業手当等の一部(一定の要件を満たす場合は全部)が国によって助成される制度です。

新型コロナウィルス感染症に対応するため、4月1日~9月末日12月末日の緊急対応期間中は、全国で、全ての業種の事業主を対象に、雇用調整助成金の特例措置が実施されています。また、本特例措置は、今後段階的に縮減される予定です。

受給のおおまかな流れ

支給要件

雇用調整助成金は、次の場合にもらえます。

□ 売上げが下がり、従業員を休業させる必要があった
□ 従業員を計画的に休業させた
□ 休業させた従業員に休業手当を支払った

他にも支給要件がありますが、上の3つの要件に合致すれば、まず受給できると思われます。

なお、「休業」には、休暇や休日は含まれません。

手続き

手順があります。

第1段階 休業の計画を立てる
第2段階 休業協定書を作り、使用者と労働者代表が合意する
第3段階 休業を実施して休業手当を支払う
第4段階 助成金の支給申請を作成する
第5段階 申請書を提出する

以下、各段階ごとに説明します。

休業の計画を立てる

次の事項を決めます。

□ 休業はいつからいつまでの何日間とするか
□ 休業時間は1日中とするか、一部の時間帯とするか
□ 休業させる従業員は全員とするか、一部の従業員とするか
□ 休業手当の額は平均賃金の何%を支払うか(労働基準法で60%以上です)

(特例期間中は計画届の提出は不要です。支給申請のみの手続きになっています。)

休業協定書を作り使用者と労働者代表が合意する

労使協定書の様式は任意です。

ガイドブックに沿ったサンプル

休業協定書

〇〇〇〇株式会社と〇〇〇〇株式会社労働者代表とは、休業の実施に関し下記のとおり協定する。

1 休業の時期
休業は、令和〇年〇月〇〇日から令和〇年〇〇月〇〇日までの間において、これらの日を含め、〇〇日間(休業〇日間、短時間休業〇日間)実施する。短時間休業の場合、一所定労働日当たりの休業時間は、〇時間とする。

2 休業及び短時間休業の対象者
(1)全従業員を対象とする。
(2)休業日の休業人数は概ね〇〇人とする。
(3)休業はできる限り輪番で行うものとする。

3 休業時間(短時間休業)
〇〇時〇〇分~〇〇時〇〇分
(所定労働時間〇〇時〇〇分~〇〇時〇〇分)

4 休業手当の支払い基準
休業日に、次の基準により算定した額の手当を支払うものとする。
(1)1日当たりの額の算定方法
イ、月ごとに支払う賃金月額÷所定労働日数
ロ、日ごとに支払う賃金その額
ハ、時間ごとに支払う賃金時間額×所定労働時間数
(2)短時間休業を行った場合の1時間当たりの額の算定方法
イ、月ごとに支払う賃金月額÷所定労働日数÷所定労働時間数
ロ、日ごとに支払う賃金日額÷所定労働時間数
ハ、時間ごとに支払う賃金その額
(3)対象となる賃金は、基本給、職務手当、資格手当、管理職手当、家族手当、住宅手当、通勤
手当及び皆勤手当とし、基本給は〇〇%、基本給以外は〇〇%支給するものとする。

5 附則
この協定は令和〇年〇月〇〇日に発効し、令和〇年〇〇月〇〇日に失効する。

令和〇年〇月〇〇日

〇〇〇〇株式会社
代表取締役〇〇〇〇印

〇〇〇〇株式会社労働者代表
〇〇〇〇印

労働者の過半数代表者は適正に選出しなければなりません。
参考:労使協定の解説とサンプル

休業を実施して休業手当を支払う

□ 計画に沿って休業します
□ 休業日数や時間を従業員ごとにタイムカードや出勤簿に記載します
□ 休業手当の額を従業員ごとに給与明細や賃金台帳に記載します

助成金の支給申請を作成する

□ 申請様式を準備する
□ 作成マニュアルを準備する

□ 従業員ごとに休業日数、休業手当額等を記入します
□ 休業手当総額×助成率で助成額を計算します
□ 事業所名、口座番号などを記入します
□ 添付資料を準備します

詳しくはガイドブック(簡易版)を参考にする。

申請様式はここからダウンロードできます。

申請書を提出する

ハローワークまたは労働局に提出します。審査を経て、指定した口座に、助成金が振り込まれます

カテゴリー
福利厚生 賃金

大入袋について

トップページ経理の基礎知識>このページ

大入袋とは

大入袋とは、目標を達成したときや、売り上げが予想外に良かった時に従業員に支給する報酬の一つです。

このような報酬は、一般的には「賞与」といいますが、賞与のようにまとまった額ではなく、小額で、かつ、対象者に均等に、「大入」と書いた袋にいれて配ったときに、大入袋と言っています。

一人ひとりに対してはごくわずかなので、源泉徴収して端数のついた金額を支払ったという話しは聞いたことがありません。

しかし、そのままでは良くないようです。

大入袋と所得税

まず、所得税については、金額の多寡にかかわらず、課税所得として処理するのが原則とされています。支出時には福利厚生費にしたとしても、毎月の給与支給額に加算したり、年末調整のときに加算したりして、多少面倒ですが源泉徴収にもれがないようにする必要があります。

大入袋と社会保険料

社会保険料と労働保険料は、違うようです。

社会保険や労働保険料を計算する際は大入袋を含まなくてもよいと、ネットを検索するとでてきます。時間外割増賃金の基礎となる賃金についても同様の意見が多いようです。

厚労省のホームページを見てみましたが、「臨時に支払われる賃金」は除外と書いてあるので、大入袋はこれに該当するという解釈です。

この場合、「臨時に支払われる賃金」とは何かという定義が大事です。

厚労省のホームページには、「臨時に支払われる賃金とは、支給事由の性格が臨時的であるもの及び支給事由の発生が臨時的、すなわち、まれであるかあるいは不確定であるものをいう。名称の如何にかかわらず、これに該当しないものは臨時に支払われる賃金とはみなさない。」とあります。

大入袋を悪用しない

拡大解釈はいけません。社会保険料などを少なく申告するために、賞与を大入袋だと偽るような行為は、良いわけがありません。

上にあげた厚労省の説明は抽象的ですが、限定的に解釈するのがよいでしょう。

判断基準は、現実的には金額と回数だと思います。

大入袋に入れるお金は、「気持ち」程度に抑えるべきでしょう。皆で喜びを共有する縁起が良い記念物、として配るのです。

「気持ち」を金額にするのは難しいことですが、50円、100円・・・・。500円だと微妙、1000円だと大入袋としては過剰なような気がします。

回数もどのくらいとは言えませんが、「まれである」というのが条件ですから、毎月のように支給するのであれば、「臨時的」とは言えないと思います。

カテゴリー
賃金

現物給与について

トップページ給与計算のやり方>このページ

現物給与とは

労働の対価として労働者に支払われる給与は、金銭で支給されるのが普通ですが、食事の現物支給や商品の値引販売などのように、金銭の形をとらない経済的利益で支払われることもあります。

これらの物又は権利その他の経済的利益の支給を、現物給与といいます。

現物給与に対する課税

基本的には、現物給与にも所得税がかかります。ただし、所得税が課税されないものもあります。

現物給与は、通貨に換算して、受け取った従業員の給与収入とします。 現物給与のうち食事と住宅については、厚生労働大臣が都道府県ごとに、その価額を定めています。

主な非課税現物給与

□ 一定範囲内の通勤用の定期券
□ 作業服、制服
□ 結婚祝い金、お見舞い金
□ 一定の範囲内の社内販売
□ 残業、宿日直者に対して支給する食事

関連記事

社宅費の扱い

食事支給の扱い

レクリエーション費用の扱い

研修費用の扱い

創業記念品や永年勤続表彰記念品の扱い