Last Updated on 2025年7月30日 by 勝
一般的な社内規程の種類
企業規模や業種によって異なりますが、一般的には以下のような規程が存在します。これらの規程は、企業活動の円滑化、法令遵守、リスク管理、そして従業員のモチベーション維持に不可欠です。
労働条件・人事関連規程
最も重要で、法令遵守の観点からも整備が必須となるカテゴリです。
就業規則:
労働時間、休憩、休日、休暇、賃金、退職、解雇、服務規律など、労働条件に関する最も基本的な事項を定めます。従業員10名以上の事業場で作成・届出が義務付けられています。
賃金規程:
賃金の計算方法、支払方法、昇給、賞与、退職金などを詳細に定めます。就業規則の一部として含めることもありますが、内容が多岐にわたるため独立させるのが一般的です。
退職金規程:
退職金の支給対象者、支給要件、計算方法、支払方法などを定めます。
育児介護休業規程:
育児・介護休業法に基づき、育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇などの取得条件、手続き、賃金の取り扱いなどを定めます。法改正が頻繁に行われるため、常に最新の状態に保つ必要があります。
人事考課規程:
従業員の評価制度(目標設定、評価項目、評価者、評価基準、評価結果の活用方法など)を定めます。公正な評価を通じて、従業員の成長と企業業績の向上を図ります。
懲戒規程:
服務規律違反があった場合の懲戒の種類(けん責、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇など)と、その事由、手続きなどを定めます。就業規則に含める場合もありますが、独立させることもあります。
ハラスメント防止規程:
パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、カスタマーハラスメントなど、各種ハラスメントの定義、防止措置、相談窓口、調査・解決手続き、懲戒などを定めます。相談しやすい環境を整備することが重要です。
在宅勤務規程 / テレワーク規程:
在宅勤務やテレワークを導入している場合に、対象者、勤務場所、労働時間管理、費用負担、情報セキュリティなどを定めます。
福利厚生規程:
法定外福利厚生(慶弔見舞金、健康診断補助、住宅補助など)に関する支給要件や手続きを定めます。
業務運用関連規程
日々の業務を円滑に進めるための規程です。
旅費規程:
出張時の交通費、宿泊費、日当などの支給基準や精算手続きを定めます。
経費精算規程:
旅費規程以外の一般経費(消耗品費、交際費など)の精算方法、申請承認フロー、利用制限などを定めます。
情報セキュリティ規程:
情報資産の保護、情報システムの利用ルール、情報漏洩防止策、緊急時の対応などを定めます。IT化が進む現代において非常に重要です。
個人情報保護規程:
個人情報の取得、利用、保管、提供、開示、訂正、削除に関するルールを定めます。プライバシー保護と法令遵守の観点から必須です。
文書管理規程:
社内文書の作成、保管、廃棄に関するルールを定めます。業務効率化とコンプライアンス維持に寄与します。
稟議規程 / 決裁規程:
社内における意思決定のプロセス(稟議書の作成、申請、承認フロー、決裁権限など)を定めます。
その他
企業独自の事業内容によって必要となる規程です。
安全衛生規程:
労働安全衛生法に基づき、職場の安全衛生に関する組織、責任、危険防止措置、健康管理、非常時の対応などを定めます。
車両管理規程:
社有車の利用、管理、事故発生時の対応などを定めます。
社内規程担当者が心得ておくべき基礎知識
社内規程の整備は、単に文書を作成するだけでなく、企業の経営戦略、法令遵守、従業員との良好な関係構築に深く関わる重要な業務です。担当者としては、以下の知識を体系的に習得しておくことが望ましいでしょう。
法令に関する知識
最も基本的な土台となる知識です。
労働基準法:
労働時間、休憩、休日、賃金、解雇、就業規則など、労働条件の最低基準を定めた法律であり、あらゆる人事関連規程の基礎となります。
労働契約法:
労働契約の原則、労働契約の成立・変更・終了などについて定めています。
労働安全衛生法:
職場の安全と健康に関する基準を定めています。安全衛生規程の策定に必須です。
育児介護休業法:
育児休業、介護休業、子の看護休暇などについて定めています。
男女雇用機会均等法:
採用、配置、昇進、教育訓練、定年、解雇などにおける性差別を禁止しています。
個人情報保護法:
個人情報の取り扱いに関するルールを定めています。個人情報保護規程や情報セキュリティ規程の基礎となります。
労働者派遣法(派遣事業を行う場合):
労働者派遣事業の許可、派遣労働者の保護などについて定めています。
その他関連法規:
最低賃金法、労働組合法、労働者災害補償保険法、健康保険法、厚生年金保険法、税法など、業務内容に応じて関連する法令の基礎知識も必要です。
規程作成・運用に関する知識
具体的な規程の作成と、それを企業内で機能させるための知識です。
規程の構成と体裁:
各規程の基本的な構成(総則、定義、適用範囲、各条項、附則など)や、見出し、番号付け、用語の統一など、読みやすく理解しやすい体裁の知識。
文言の明確性・一貫性:
曖昧な表現を避け、誰が読んでも同じ解釈になるような明確な文言で記載する能力。また、複数の規程間で矛盾が生じないよう、一貫性を保つ視点。
法的解釈と判例の知識:
特定の条項が法的にどのように解釈されるか、過去の判例がどのように影響するかといった、法的リスクを回避するための知識。弁護士や社会保険労務士との連携も重要です。
実務との整合性:
規程が机上の空論とならないよう、実際の業務フローや運用状況と乖離がないかを確認し、実務に即した内容とする視点。
周知義務と方法:
作成した規程が法的な効力を持つためには、従業員への周知が不可欠です。周知の方法(書面配布、イントラネット掲載、説明会など)に関する知識。
改訂・変更手続き:
法令改正や企業の変化に伴う規程の改訂・変更手順(変更の必要性の判断、従業員代表への意見聴取、行政への届出など)に関する知識。
従業員代表との関係:
就業規則など一部の規程では、労働者の意見聴取が義務付けられています。労働組合や従業員代表との円滑な関係構築と意見聴取の進め方に関する知識。
人事労務管理全般に関する知識
規程がカバーする領域全般に対する理解です。
労働時間管理:
法定労働時間、休憩、休日、時間外労働、変形労働時間制など、多様な働き方に対応するための知識。
賃金計算:
基本給、各種手当、残業代、社会保険料、税金控除など、給与計算に関する基礎知識。
社会保険・労働保険:
健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の基本的な仕組み、加入・脱退手続き、保険料計算に関する知識。
安全衛生管理:
職場環境の安全確保、健康診断、ストレスチェックなど、労働者の健康と安全を守るための知識。
労使関係:
労働組合との交渉、団体交渉、労働紛争の対応に関する知識。
その他
情報収集能力:
法令改正や社会情勢の変化、他社の事例など、常に最新情報を収集するアンテナと能力。
コンサルティング能力(社内向け):
経営層や現場のニーズをヒアリングし、それを規程に落とし込むための調整能力。
コミュニケーション能力:
経営層、各部門責任者、従業員、外部の専門家(弁護士、社会保険労務士など)との円滑なコミュニケーション能力。
社内規程の整備は、一度行えば終わりというものではなく、法令改正や社会情勢の変化、貴社の事業拡大に合わせて、常にメンテナンスし続ける必要があります。
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