Last Updated on 2021年7月28日 by 勝
単身赴任手当とは
単身赴任手当は、単身赴任の負担を軽減するための手当です。転勤の発令があったとき、家族がいろいろな理由で一緒に転居できないときは、世帯が分かれて暮らすことになる生活費の増加を補うために支給される手当です。
毎月の給料に一定額の単身赴任手当を加算するのが一般的ですが、その他に次のような費用を支給することも行われています。
① 赴任準備手当
単身で遠方に行くとなると、電気製品など、赴任先の新しい住居で必要な物を揃える必要があります。それに対する補助として支給される一時金です。
② 単身赴任住宅手当
本来支給されている住宅手当に加えて、赴任する従業員の住居にも住宅手当を拡大支給するものです。
③ 帰省旅費
単身赴任した場合に、留守宅に帰省する費用を負担するものです。月に1回など、限度回数を設定して、交通費の実費を支給するものです。給料の手当として支給せず、旅費規程などに詳細を定めるのが一般的です。
単身赴任手当の対象者と支給額
家族と別れて赴任する人を対象にします。
二重生活を放置すれば従業員の生活が成り立たなくなってしまうので、実態的には他の手当より多めに設定されることが多いようです。アパート等の補助を別にして、一人暮らしの食費や水道光熱費がまかなわれる程度の額を考える会社が多いようです。
単身赴任手当規定例
支給する場合は、単身赴任手当または賃金規程にその内容を定めます。
→単身赴任手当|就業規則
給与計算における扱い
単身赴任手当は、所得税では非課税ではありません。「給与所得」の一部として源泉徴収税の対象になります。
単身赴任手当は、社会保険料の計算における標準報酬月額の対象になる賃金等に含まれます。また、単身赴任手当は、労働保険料の計算における賃金総額に含まれます。
単身赴任手当は、割増賃金の基礎に含めなくても構いません。
ただし、単身赴任でない人にも一律に支払うことになっている場合は、単身赴任手当などという名称を使っていても、基本給とともに、割増賃金の基礎にしなければなりません。
単身赴任手当についての考え方
かつては、転勤を命じられたときは、家族帯同で赴任するか単身で赴任するかの選択は、選択したものの自己責任として、一切の支援を受けられない場合が多かったようです。
しかし、それでは転勤によって生活が苦しくなったり、子どもの教育上の問題が生じたりして、仕事の遂行に影響が出るのは必然なので、転勤を命じた場合は、転勤による家族への影響をできるだけ緩和するのが福利厚生として当然であるという考え方が主流になってきました。