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賃金

大入袋について

Last Updated on 2024年8月19日 by

大入袋とは

大入袋とは、目標を達成したときや、売り上げが予想外に良かった時に従業員に支給する報酬の一つです。

このような報酬は、一般的には「賞与」といいますが、賞与のようにまとまった額ではなく、小額で、かつ、対象者に均等に、「大入」と書いた袋にいれて配ったときに、大入袋と言っています。

大入袋と所得税

まず、所得税については、金額の多寡にかかわらず、課税所得として処理するのが原則とされています。支出時には福利厚生費にしたとしても、毎月の給与支給額に加算したり、年末調整のときに加算したりして、多少面倒ですが源泉徴収にもれがないようにする必要があります。

大入袋と社会保険料

社会保険料と労働保険料は所得税の扱いと少し違います。

報酬等に含まれない場合があります。厚労省のホームページに通達が掲載されています。一部抜粋します。

標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」の一部改正について〔健康保険法〕(令和5年6月27日)

労働の対償として支給されるものであっても、被保険者が常態として受ける報酬以外のものは、「報酬等」に含まれない(支給事由の発生、支給条件、支給額等が不確定で、経常的に受けるものではないものは、被保険者の通常の生計に充てられるものとは言えないため)。ただし、これに該当するものは極めて限定的である
【例】大入袋

例えば、「売上が一定の金額を上回ったときに支給する」と定めて支給していれば、支給条件が明らかなので、「支給事由の発生、支給条件、支給額等が不確定で」には該当しないので、報酬等に含まれてしまいます。一時金で支給した場合、報酬に係る保険料ではなく賞与保険料の徴収と賞与届が必要になります。

恩恵的なもの

ただし、恩恵的な支給であれば報酬等に該当しません。

疑義照会回答(厚生年金保険 適用)には次のようにあります。(抜粋)

「昭和18年1月27日保発第303 号により事業主が恩恵的に支給する見舞金は通常の報酬ではないとされ、結婚祝金や慶弔費なども「報酬」や「賞与」とはなりません。・・・・恩恵的かどうかの判断は、社会通念上での判断となりますが、・・・・」

大入袋が恩恵的なものに含まれるかどうかは、社会通念ということですが、①発生が不定期、②高額でないものという解釈が一般的です。

判断基準

恩恵的かどうかの判断は限定的に解釈するのがよいでしょう。

支給回数が多ければ不定期とはいえないかもしれません。

金額は「気持ち」程度に抑えるべきでしょう。「気持ち」を金額にするのは難しいことですが、「縁起物」ともあるので、50円、100円・・・・。500円くらい、1000円だと大入袋としては微妙な気がします。


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