Last Updated on 2025年8月9日 by 勝
株主総会の概要
株主総会は、株式会社の最高意思決定機関であり、会社の経営に関する重要な事項を株主が話し合い、議決する場です。
年に一度開催される「定時株主総会」と、必要に応じて開催される「臨時株主総会」があります。定時株主総会では、事業報告や決算報告、利益処分案などが承認され、取締役や監査役の選任が行われます。
総会日:いつ開くか
定時株主総会は原則として毎年一回、事業年度が終了した後に開催する必要があります。
その時期は、通常の会社では、事業年度の末日から3ヶ月以内です。決算後3ヶ月以内に開催しなければなりません。
しかし、その定めとは別に、税金の申告期限は事業年度の末日から2ヶ月以内と定められています。
税務申告をする前に、定時株主総会を開催し、計算書類の承認を得なければなりません。したがって、現実的には事業年度終了後2ヶ月以内に定時株主総会を開催するところが多いようです。
規模の大きい会社では、申告期限を1ヶ月延長できる「申告期限の延長の特例の申請書」を税務署に提出して、株主総会を3ヶ月以内に開催しています。
総会日を決めたら、招集通知の発送日、会計監査人等に対する計算書類提出日などを考慮して、年度末から総会日に向けたスケジュールを作成します。
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普通決議と特別決議の違い
株主総会での議決は、議題の重要性に応じて、普通決議、特別決議、特殊決議に分かれます。
普通決議: 議決権を行使できる株主の過半数が出席し、その議決権の過半数で決議されます。事業報告の承認、役員の選任・解任、剰余金の配当などがこれにあたります。
特別決議: 議決権を行使できる株主の過半数が出席し、その議決権の3分の2以上で決議されます。会社の合併、事業譲渡、定款変更、自己株式の取得、資本金の減少など、会社の根幹に関わる重要な事項が対象となります。
特殊決議: 会社法でさらに厳しい要件が定められている決議です。特殊決議は、株主の権利に影響を与える事項を扱うため、より厳格な決議要件が定められています。
総会の準備と当日の仕事
株主総会の成功は、事前の準備にかかっています。
準備
会場の準備: 小規模の会社では自社の会議室で開催することが多いようですが、株主の人数等によっては、ホテルなどの施設を借ります。
議案の決定と招集通知の発送: 取締役会で議案を決定し、総会開催日の2週間前までに、株主へ招集通知と参考書類を送付します。
議事進行の準備: 議長の選出、司会者、書記などの役割分担を決め、進行台本を作成します。
会場の設営: 会場手配、受付、座席配置、音響・映像機器の準備を行います。
想定問答集の作成: 株主からの質問を予測し、役員や担当者が回答できるよう準備します。
委任状の集計: 席に集まった委任状を集計し、総会の成立に必要な議決権の数を事前に確認します。
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当日
受付: 出席株主の確認、出席票や議決権行使書の交付を行います。
総会の開始: 定刻に総会を開始し、議長が進行します。
議事進行: 議長が議案を読み上げ、質疑応答を行い、議決をとります。
決議の成立: 議案ごとに普通決議、特別決議の要件を満たしているか確認し、成立を宣言します。
閉会: 全ての議案が承認されれば、議長が閉会を宣言します。
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総会終了後に忘れてはならないこと
総会が終わった後も、いくつかの重要な手続きが残っています。
決議通知等: 株主に株主総会決議通知を発送し、配当があれば、株主配当金の支払通知書(銀行口座振込みの株主には振込通知書)も同送します。もちろん、配当金の支払も必要です。
議事録の作成: 議事の経過や結果を正確に記録した議事録を作成し、議長と出席取締役が署名・押印します。これは、法的な記録として会社に備え置く必要があります。
登記手続き: 役員の選任・解任など、登記が必要な事項が決議された場合は、総会終了後2週間以内に法務局で登記手続きを行います。
株主への報告: 議案の承認状況など、総会の結果を株主へ適切に報告します。
関係者への連絡: 決議内容に応じて、社内や関係各所へ周知します。
これらの手続きを怠ると、法律違反となったり、会社の信用を失うことにもなりかねません。総会は、会社と株主の信頼関係を築くための重要な場であり、その準備から事後処理まで、丁寧に進めることが求められます。