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株主総会

株主総会のあらまし

Last Updated on 2024年8月10日 by

株主総会とは

株式会社は、株主総会や取締役会などの機関を設置しますが、それらの機関の中で、一番上位の機関が株主総会です。

株主総会は、取締役や監査役の選出、決算や利益の配分の決定、その他重要事項を決定する権限があります。

会社法第295条 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。

上記のように、株主総会は「株式会社に関する一切の事項について決議することができる」と定めています。ただし、取締役会設置会社では、条文の続きが重要です。

会社法295条 2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。

取締役会が設置されている会社では、株主総会は「会社法に規定する事項」と「定款」で定めた事項だけを決議することができます。「一切の事項」ではありません。

「会社法に規定する事項」は会社法のあちこちに分散して規定されていますが、まとめると、
① 取締役や監査役の選任や解任などについて
② 定款の変更や会社合併、分割、解散などについて
③ 株式の合併や剰余金の配当、役員の報酬などについて
等があります。

総会日の決定

定時株主総会は原則として毎年一回、事業年度が終了した後に開催する必要があります。

その時期は、通常の会社では、事業年度の末日から3ヶ月以内です。決算後3ヶ月以内に開催しなければなりません。

しかし、その定めとは別に、税金の申告期限は事業年度の末日から2ヶ月以内と定められています。

税務申告をする前に、定時株主総会を開催し、計算書類の承認を得なければなりません。したがって、現実的には事業年度終了後2ヶ月以内に定時株主総会を開催するところが多いようです。

規模の大きい会社では、申告期限を1ヶ月延長できる「申告期限の延長の特例の申請書」を税務署に提出して、株主総会を3ヶ月以内に開催しています。

総会日を決めたら、招集通知の発出日、会計監査人等に対する計算書類提出日などを考慮して、年度末から総会日に向けたスケジュールを作成します。

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コロナ禍以降次の取り扱いです

法務省は新型コロナウイルス感染症に関連する通知で「定時株主総会の開催時期に関する定款の定めがある場合でも、通常、天災その他の事由によりその時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じたときまで、その時期に定時株主総会を開催することを要求する趣旨ではない」としています。

つまり、開催が困難なときは、やれる時期になってから開催すればよいということです。もちろん独自の判断でいつまでも先送りできるというわけではなく、通知のなかで「その状況が解消された後合理的な期間内に」と示しているので、政府の緊急事態宣言が発出中かどうかを考慮することになると思われます。

株主総会の準備

小規模の会社では自社の会議室で開催することが多いようですが、株主の人数等によっては、ホテルなどの施設を借ります。

会社側と株主側とは向き合う形で、教室のようなレイアウトをするのが普通です。

株主総会の進行に手落ちがないように、進行のシナリオを作って、取締役全員が確認しておく必要があります。シナリオは、以下の項目別に、発言内容をすべて網羅したものを作ります。

・議長の開会宣言
・出席株主数と株式数の報告
・議長から、議事進行上のルールや発言の求め方について発言する
・監査報告
・報告事項
・質疑応答と採決
・議長の閉会宣言

株主からどのような質問がでるかを予想することは困難ですが、定型的な質問にはスムーズに回答できるように用意しましょう。

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決議の要件

株主総会の決議は、議案の重要度によって、決議の要件が定められています。

普通決議(通常決議)は、その会社の議決権ある株式の総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席して、出席株主の有する議決権ある株式数の過半数の賛成をもって成立します。

普通決議とは、計算書類(貸借対照表、損益計算書、利益処分案)の承認、取締役、監査役の選任などです。

特別決議は、議決権ある株式の総数の過半数にあたる株式を有する株主が出席して、議決権の3分の2以上の賛成によって成立するもので、定款の変更、監査役の解任、株主以外の者に対する特に有利な発行価額による新株の発行、減資、会社の解散、合併契約書の承認などがあります。

総会終了後の手続き

株主総会を開催したらその議事録を作成し、議長と出席取締役が署名捺印します。この議事録は本店に10年間、支店に謄本を5年間、議決権行使の代理委任状は本店に3ヶ月間、備え置く必要があります。

株主に株主総会決議通知を発送し、配当があれば、株主配当金の支払通知書(銀行口座振込みの株主には振込通知書)も同送します。もちろん、配当金の支払も必要です。

また、株主総会において、取締役など役員の選任などの登記事項を決議した場合は、2週間以内に登記を行うことを忘れないようにしましょう。

簡略にすることもできます

小規模な会社だと、一定の条件を満たせば、株主総会の招集手続き等を簡略にでき、また開催自体を省略することができます。

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