インターンシップのやり方と注意点

採用

インターンシップとは

インターンシップとは、学生が在学中に企業などで就業体験を行う制度です。主な目的は、学生が社会に出る前に、実際の仕事や企業文化を体験し、自身のキャリアについて考える機会を提供することにあります。

インターンシップには、1日〜数日間の「短期インターンシップ」と、数週間〜数ヶ月に及ぶ「長期インターンシップ」があります。短期インターンシップは、企業説明会に近い形で業界や企業について理解を深めるものが多く、長期インターンシップは、実際の業務に携わることでより実践的なスキルや経験を積むことができます。

インターンシップのメリット

インターンシップは、学生と企業双方に多くのメリットをもたらします。

学生側のメリット

  • 業界・企業理解が深まる: 説明会だけではわからない、実際の仕事内容や職場の雰囲気を肌で感じることができます。
  • 自己分析に役立つ: 実際に業務を体験することで、自分の向き不向き、得意なこと、興味のあることなどを明確にでき、自己理解が深まります。
  • ビジネススキルが身につく: 実際の業務を通じて、ビジネスマナーやコミュニケーション能力、課題解決能力など、社会で役立つ実践的なスキルを習得できます。
  • 就職活動のモチベーション向上: 働くことのやりがいや楽しさを知り、就職活動への意欲を高めることができます。
  • 人脈が広がる: 社員や他のインターン生と交流することで、社会人としてのつながりを築くことができます。
  • 早期離職の防止: 入社前に仕事内容や社風を理解することで、入社後のミスマッチを防ぎ、早期離職のリスクを減らせます。

企業側のメリット

  • 優秀な人材の確保: 早期から学生と接点を持つことで、自社に興味を持つ優秀な学生を発掘し、採用につなげるチャンスを得られます。
  • ミスマッチの防止: 学生に実際の業務や社風を体験してもらうことで、入社後のギャップをなくし、定着率向上につながります。
  • 企業イメージ・認知度向上: インターンシップを実施することで、学生や大学に対する企業の認知度を高め、企業ブランディングに貢献できます。
  • 既存社員の育成: インターン生を指導する立場になることで、若手社員の育成能力やマネジメント能力の向上が期待できます。
  • 採用コストの削減: インターンシップを通じて効率的に採用活動を進められるため、長期的な採用コストを抑えることができます。

インターンシップを受け入れる場合の注意点

インターンシップを実施する際には、トラブルを避けるためにいくつかの注意点があります。

労働者性の問題

形式上はインターンシップとして受け入れながら、実態はアルバイトと同じように扱うと、労働者として雇用したと判断されます。労働者に該当すると、最低賃金法や労働基準法、労災保険法等の法律が適用されます。

インターンシップが見学や体験的なものであれば、労働者に該当することはありませんが、業務に関する指示をして、体験の程度を超えて企業活動に関与させれば、労働者に該当することになります。

自社の企業活動の一部を担わせる実習内容であればインターンシップには馴染みません。実労働力として用いるのであれば、インターンシップではなく、アルバイトとしてきちんと雇用するべきです。

通常は、インターンシップの内容は大学等と調整して行うので、労働者性の問題が生じることは少ないのですが、現場任せきりにすると往々にしてカリキュラム以上のことに踏み込むことがあるので注意してください。

インターンシップはでの実習等は労働ではないので、報酬は支給しないか、支給するとしても交通費や昼食代の実費程度とするのが良いでしょう。時間給などで支払っていると、賃金とみなされて、労働者に該当するおそれがあります。

事故対応

インターンシップで受け容れた学生は「労働者」ではないので、実習中のケガや、実習先への途上で事故に遭っても、労災保険は使えません。そのような場合は、それぞれの学生等が加入している健康保険を利用することになります。

また、インターンシップのなかで設備を破損させるたり、他人にケガをさせたた場合には会社等に対する損害賠償の問題が生じることがあります。大学等が関与する場合は、事故に備えた保険に加入するのが一般的ですが、そうなっていない場合は注意が必要です。

万一のことを想定して、インターンシップに対応した賠償責任保険の会社加入も選択肢です。

営業機密等の問題

学生は、一般的に営業機密や個人情報の重要性について意識が高くないので、会社等としては対応が必要です。

あらかじめ、守秘義務に関する誓約書に署名捺印してもらう必要がありますが、ただ用紙を交付するだけでなく、丁寧な説明が欠かせません。

セクハラ等の問題

学生に対するセクハラ等のハラスメントには十分な注意が必要です。インターンシップで受け入れた以上は安全に、無事に送り返す義務があります。通常のハラスメント教育では十分でありません。学生を受け入れる直前に、従業員に対して、インターンシップの学生に対して決してハラスメント行為をしてはならないこと、誤解を受ける言動があってはならないことを強調しておきましょう。歓迎の懇親会などもハラスメントの温床になることがあるので、社外でそのような場を持つことも禁止しておきましょう。