団体交渉の対象事項

Last Updated on 2021年11月23日 by

任意的団体交渉事項

一般論としては、双方が合意すればいかなることも団体交渉の対象にすることができます。

例えば、次期取締役の選任について労働組合が団体交渉を求めたとき、応諾義務はありませんが、会社側が応諾したときは団体交渉の対象事項にすることができます。

つまり、企業として処理しうる事項であり使用者が任意に応じる限りは、どのような事項であっても団交事項として取り扱うことができます。応諾義務のない交渉項目を「任意的団体交渉事項」といいます。

任意的団体交渉事項について会社が団体交渉を拒否したとしても使用者が不当労働行為に問われることはありません。ただし、任意的であるか義務的であるかどうかの線引が難しい場合があるので注意が必要です。

義務的団体交渉事項

労働組合法の主旨に則り、使用者に対し団体交渉の応諾義務が生じる交渉事項を「義務的団体交渉事項」といいます。

その範囲は「組合員である労働者の労働条件その他の待遇や当該労使関係の運営に関する事項であり、使用者に処分可能なもの」とされています。具体的には次のようなものが該当するとされています。

組合員の労働条件その他の待遇

労働条件とは、労働者が使用者に雇用されて労働するにあたっての労働契約上の条件のことです。その他の待遇とは、労働関係における労働者の経済的取り扱いのことです。

賃金、労働時間、休日、休暇、安全衛生、災害補償、教育訓練などが労働条件またはその他の待遇にあたります。

組合員の配転、解雇、懲戒などについては、労働条件その他の待遇に関する事項なので義務的団体交渉事項になります。

経営に関する事項の一部

経営に関する事項は、多くの場合団体交渉の対象事項になりませんが、労働条件や労働者の雇用そのものに影響があるものであれば対象事項になります。

新規設備の導入・更新、工場移転などは使用者が専権的に決定できる事項なので対象項目になりませんが、それに伴って職務や就労場所などの労働条件や労働者の雇用そのものに影響がある場合には、その限りにおいて義務的団体交渉事項になるとされています。

例えば、社員食堂を外注化する決定それ自体は使用者が一方的に決定できることですが、それに伴って生じる労働者の職場変更、解雇などについては義務的団体交渉事項になります。

一般的な人事権の行使や人事考課の実施については経営権に含まれるため義務的団体交渉事項には含まれないとされています。ただし、人事考課の制度等については義務的団体交渉事項と考えられます。

労働の具体的内容や方法、労働の量、労働の場所なども広義には労働条件ですが、日常的に軽微な事柄であれば使用者の経営権に属するものとして、一般的には義務的団体交渉事項には含まれないとされています。

ただし、経営権を盾にとって団体交渉を拒めばそれ自体が争いになる可能性があります。経営権に属すると思われる事項が交渉項目として要求された場合は、憲法28条や労働組合法の主旨に則って労働者の労働条件そのほかの待遇との関連を検討して、なるべく応諾する方が中長期的には労使関係の安定につながると考えられます。

労使関係の運営に関する事項

ユニオン・ショップ、労働組合に対する便宜供与やそのルール、団体交渉の手続きやそのルール、労使協議のルール、争議行為の手続きなどは義務的団体交渉事項と考えられています。

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