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労働災害

労災保険は誰が請求手続きをするか

Last Updated on 2023年11月12日 by

原則

業務災害や通勤災害に起因して怪我や病気になったとき、従業員は労災保険から補償を受けることができます。亡くなったときは遺族が補償を受けることができます。

労災保険に保険給付を申請するのは、労災保険法の規定では、被災した労働者本人または遺族となっています。

会社の助力

しかし、労災保険の請求手続を、被災した労働者本人や遺族が行うのは、困難な場合が多いと思われます。

そこで、労災保険法施行規則には、事業主の助力についての規定があります。

(事業主の助力等)
第二十三条 保険給付を受けるべき者が、事故のため、みずから保険給付の請求その他の手続を行うことが困難である場合には、事業主は、その手続を行うことができるように助力しなければならない。

この規定により、会社が労災保険の請求手続を主導する場合がほとんどです。

会社は、ほとんどの場合、被災した従業員やその遺族に労災保険の手続について説明し、請求書の記入の大半部分を代行し、労働基準監督署への提出も代行しています。

事業主証明

労災保険の請求書類には、事業主が証明する記載欄があります。

労災保険法施行規則第二十三条2 事業主は、保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、すみやかに証明をしなければならない。

この証明をすることも会社の義務になっていますが、会社と従業員の意見が食い違う、つまり、従業員は労災だと主張しているが、会社としては労災ではないと考えている場合には注意が必要です。

事業主証明をした場合、事業主が労災であることを認めたことなるだけでなく、労災認定と併せて民事上の損害賠償請求がなされた場合の影響を考えなければならないからです。

しかし、事業主証明が義務である以上、対応は簡単ではありません。弁護士等の専門家への相談が必要な場面です。

なお、次の規定により事業主の意見を提出することができます。

(事業主の意見申出)
第二十三条の二 事業主は、当該事業主の事業に係る業務災害、複数業務要因災害又は通勤災害に関する保険給付の請求について、所轄労働基準監督署長に意見を申し出ることができる。

事業主証明を出しにくい事情があるときは、労働基準監督署に相談のうえ、上記の意見書で対応することも考えられます。

申請の流れ

労災保険給付の申請手続きの流れは以下の通りです。

□ 労災保険給付の様式を入手する(厚生労働省のサイトからダウンロードできます)

□ 請求書を作成して労働基準監督署長に提出する。

□ 調査が行われ、労災認定されると保険給付を受けることができる。不支給決定もある。


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