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労働時間

残業がまったくない事業場でも就業規則の定めと三六協定はしておくべき

Last Updated on 2024年10月31日 by

残業がない

必ず定時にあがれる、つまり残業が一切ない事業場もまれにあります。

しかし、これまではなかったとしても、今後絶対に、1分もないとは言えないと思います。1分は極端な言い方ですが、法的には就業規則の定めがなく三六協定を締結していない状態であれば、1分でも時間外労働をさせれば労働基準法違反になります。これまで問題になったことがなくても、もしもに備えて、必要な手続きはしておくべきです。

就業規則に「時間外労働をさせることがある」と書いてあって、実際にはまったく残業がなかったとしても全く問題ありません。

三六協定を届け出して、その後まったく残業がなくても、指導等をされるようなことはありません。

就業規則

まず必要な手続きは就業規則の改正です。時間外労働は賃金の一つです。賃金は労働基準法で就業規則に必ず記載しなければならない事項の一つです。

時間外労働や休日労働をさせることがある旨の規定と、法定時間外労働や法定休日労働が発生した場合の、割増賃金の計算方法について規定しなければなりません。

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三六協定

従業員に時間外労働や休日労働をさせるには、就業規則の定めだけでは不十分です。時間外労働や休日労働の具体的な内容について労使協定を結んで、労働基準法に届け出なければなりません。この労使協定は、労働基準法第三十六条に定めがあるので、一般的に「三六(さぶろく)協定」といいます。

関連記事:残業や休日出勤をさせるには三六協定が絶対に必要です

三六協定がなくても残業させれるケース

労働基準法第33条第1項に次の規定があります。

第三十三条災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において(略)労働時間を延長し、又は(略)休日に労働させることができる。

災害時は別だと規定しています。また「その他避けることのできない事由」のときも別だと規定しています。

この「その他避けることのできない事由」というのは厳しく解釈しなければなりません。

例えば、単なる業務の繁忙、その他これに準ずる経営上の必要、通常予見される部分的な修理、定期的な手入れは認められません。

「臨時の必要」についても厳格です。例えば、病院で患者の容態が急変して対処が必要な場合であっても、そういうことは病院であれば予見できることですから「臨時の必要」に入らないとされています。

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