カテゴリー
労働災害

労災保険の事業主証明

Last Updated on 2023年11月12日 by

事業主は災害の事実を証明する

労災の請求書には事業主が証明する欄があります。

これは、負傷・発症の日時、災害発生状況など「災害の事実」の証明するものです。ほとんどの災害では、事業主が災害の事実を確認しているはずなので、事業主は、労災保険請求書に押印しなければなりません。

事業主には、被災労働者や遺族がスムーズに給付手続きを行い給付を受けられるようにする義務があります。

しかし、従業員が言っていることが本当かどうかわからないとき、会社としてはどうすればいいでしょうか。

例えば、自分が腰を痛めたのは仕事が原因だと言って事業主証明を求めてきたとします。うなずける状況であればよいのですが、どうも疑わしいと感じることもあるかもしれません。

証明してしまうと、後日損害賠償を求められたとき、会社自身が労災の手続書類の中で「腰痛は会社の作業が原因で発生しました」と証明していることになるので、反論して争うことが難しくなります。

労災の申請がとおれば会社が訴えられることはないだろうと、安易に考えるのも間違いです。労災の受給と従業員からの会社に対する損害賠償請求は全くの別問題です。

ただし、証明できないと考える場合でも、事業主には証明義務があるので請求書の放置は許されません。すぐに労働基準監督署に相談しなければなりません。

例えば、本人の申し出に沿って記載し、「ただし、負傷の日時、経緯については会社としては不明です」とした記載で受け付けてもらえるか、あるいは事業主証明を空欄のままで受け付けてもらえるか相談してみましょう。

証明拒否理由書を別途提出することで受理される可能性もあります。

虚偽を記載しない

会社が事実を確認できないケースを説明しましたが、事業主の側で労働者に同情して、できるだけ労災認定をとってやろうという気持ちになることがあります。しかし、従業員のためであっても事実を曲げてはいけません。虚偽の記載は法違反です。

さらに、休業補償を多めにとってやろうと、実際の休み以上の日数を記載したものを証明した場合は詐欺の共犯となります。同じく、絶対にやってはいけません。


会社事務入門労災保険の手続き>このページ