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懲戒処分

処分手続き厳守の原則

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処分手続き厳守の原則とは

懲戒処分を決定する手順に手落ちがあると懲戒処分が無効になるおそれがあります。

懲戒処分の手順の一例を示します。

調査する

1.調査担当者を指名する
2.調査担当者は、当事者や関係者から聞き取りをする(概略ではなく一問一答形式の記録を残す)
3.当事者や関係者から、報告書を提出してもらう。
4.不明の点を再調査する(この際も、詳細な記録が重要)

調査担当者は取り調べをするのではありません。あくまでも事実関係を聴取するのであって、不明の点は不明のまま、意見が相違するところは相違するまま、正確に記録を作成する必要があります。

重大な事案の時は処分が決定するまで本人に自宅待機を命じることがありますが、これが出勤停止処分と見なされると、さらに重い懲戒処分を科すことができなくなります。調査のための待機であることを明確にしてください。

調査の際に、本人から文書で報告させる場合には、文書名やその内容に注意しましょう。文書名を「始末書」にしてはいけません。また、内容はあくまでも事実の列記にとどめさせ、文中に反省的な内容や、対策的な内容を書かせないようにしましょう。このようなことに注意を払わないと、始末書を提出させるという一つの処分を行ったように見えるからです。

一つの処分を行ったとみなされれば、本格的な処分ができなくなってしまう恐れがあります。

二重処分禁止の原則

処分案の作成

調査が終わったら、調査担当者は調査内容を総務部長に提出します。総務部長は、関係者と協議の上、就業規則の懲戒事由に該当するかどうか、該当する場合どのような処分が適当かについて懲戒処分の原案を作ります。

懲戒委員会での審議

懲戒処分の手続きで、懲戒委員会は、資料調べを行い、必要に応じて調査担当者及び総務部長の補足説明をもとめ、事案の把握につとめます。

就業規則には次のように定めます。

(懲戒委員会)
第〇条 懲戒処分は、懲戒委員会の審議を経て決定する。懲戒委員会の詳細は別に定める。

懲戒委員会規程を定めます。

懲戒委員会規程

就業規則に懲戒委員会の設置規定がない場合は、臨時に取締役を含む委員会を組織するか、取締役会で懲戒審議を行うことになります。

弁明の機会を与える

処分対象者に弁明の機会を与えることは特に重要です。この際、処分対象者が出席の条件として立会人の同席を希望した場合、就業規則に基づく非公開の社内手続きであることを理由に拒むこともできますが、それによって本人の弁明機会が消滅するのであれば、手続きに瑕疵がのこるので、できるだけ希望に沿うのがよいでしょう。

ただし、パワハラ・セクハラ案件では、本人が証言者に対し自ら反論したい旨申し立てがあっても、セクハラ・パワハラの被害者を反対尋問の場に立たせることをしてはいけません。

懲戒委員会の結論

懲戒委員会は、審議を尽くした後に結論を出し、議事録を作成します。処分案は答申のかたちで社長などの処分権者に伝えます。

処分権者の決裁を得て、総務部長等が、処分(不処分もありうる)の内容を本人に文書で伝えます。解雇のときは解雇理由証明書も準備します。

処分の決定過程を厳密に実施する

就業規則や懲戒委員会規程に定められた手続きを恣意的に簡略化してはいけません。記載された手続きは必ず実行してください。規程に問題があって実際にはその通りにできないという場合には、速やかに規程を改定しなければなりません。