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安全衛生管理

50人以上の事業場は衛生委員会が必要です

Last Updated on 2022年2月26日 by

設置義務がある事業場

衛生委員会を設けるべき事業場は、労働安全衛生法施行令第9条で、常時50人以上の労働者を使用する事業場と定められています。

衛生委員会は業種の別を問わず全ての事業場が対象です。会社単位ではないので、分散している支店や工場等が1つで50人以上になれば該当します。

常時使用する労働者の数は、日雇労働者、パートタイマー等の臨時的労働者の数を含めて算出します。派遣中の労働者については、派遣先の事業場及び派遣元の事業場の双方に含めて算出します。

事業場とは、主として同一の場所か離れた場所かということによって決められます。同一の場所にあるものは原則として一つの事業場であり、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場です。
ただし、場所が違っても規模が著しく小さく、独立性が無いものは、直近上位の事業場と一括して一つの事業場として取り扱うことができます。
また、同一の場所にあっても、著しく労働の態様が異なる場合は、別の事業場とすることがあります。

衛生委員会の設置目的

労働安全衛生法第18条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。
一 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。
二 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。
三 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。
四 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

以上のように、健康障害の防止、健康の保持増進、労働災害対策で衛生に係るものを、調査審議し、事業者に意見を述べることが衛生委員会の設置目的です。

設置目的の詳細

四にある「重要事項」は労働安全衛生規則22条に以下のように定められています。

□ 衛生に関する規程の作成に関すること。
□ 法第二十八条の二第一項(建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、又は作業行動その他業務に起因する)第五十七条の三第一項及び第二項(政令で定める物及び通知対象物)の、危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置のうち、衛生に係るものに関すること。
□ 安全衛生に関する計画のうち衛生に係る部分の作成、実施、評価及び改善に関すること。
□ 衛生教育の実施計画の作成に関すること。
□ 化学物質の有害性の調査並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
□ 作業環境測定の結果及びその結果の評価に基づく対策の樹立に関すること。
□ 定期に行われる健康診断、臨時の健康診断、自ら受けた健康診断及び法に基づく他の省令の規定に基づいて行われる医師の診断、診察又は処置の結果並びにその結果に対する対策の樹立に関すること。
□ 労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置の実施計画の作成に関すること。
□ 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること。
□ 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること。
□ 厚生労働大臣、都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官又は労働衛生専門官から文書により命令、指示、勧告又は指導を受けた事項のうち、労働者の健康障害の防止に関すること。

衛生委員会の構成

衛生委員会の委員について労働安全衛生法に定めがあります。

労働安全衛生法第18条の2、3に規定されています。

総括安全衛生管理者

総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者、1名。衛生委員会の議長になる。

衛生管理者

衛生管理者のうちから事業者が指名した者。ただし、半数については労働者代表の推薦に基づいて指名する。

産業医

産業医のうちから事業者が指名した者。ただし、半数については労働者代表の推薦に基づいて指名する。

その他

当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者。ただし、半数については労働者代表の推薦に基づいて指名する。

作業環境測定士

事業者は、当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士である者を指名することができます。

委員会の運営について

委員会の運営については、労働安全衛生規則第23条に定めがあります。

「委員会の運営について必要な事項は、委員会が定める」となっています。

法令で定めがある事項以外は委員会に決定権があります。「事業者が定める」ではないことに注意が必要です。

委員会の開催サイクル

毎月一回以上開催するようにしなければなりません。

議事の概要の周知

事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を労働者に周知させなければなりません。

周知の方法は次のように示されています。

1 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること。
2 書面を労働者に交付すること。
3 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

議事録の保存

事業者は、議事録を作成して三年間保存する義務があります。

議事録には下記の事項を記載します。

1 委員会の意見及び当該意見を踏まえて講じた措置の内容
2 前号に掲げるもののほか、委員会における議事で重要なもの

産業医の権限

産業医は、労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができます。

衛生委員会の設置義務がない場合

衛生委員会を設置していない事業場の事業者は、衛生に関する事項について、関係労働者の意見を聴くための機会を設けるようにしなければなりません。

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