カテゴリー: 労働保険

  • 雇用保険の給付

    受給者について

    雇用保険の保険料を払ってきた人は、失業したときに雇用保険から失業給付をもらえます。

    失業している期間に生活費の補填として支給される手当を基本手当といいます。よく失業手当と言いますが、本当は「雇用保険の失業給付の基本手当」です。昔は失業手当という手当があったのですが、名称が変更されました。でも、使っても問題ありません。通じれば良いのです。

    雇用保険の被保険者(会社などで働いている人)は雇用保険制度から給付を受けることができます。

    給付の種類

    給付には、基本手当、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付があります。

    基本手当、就職促進給付は失業したときに給付されます。

    教育訓練給付、雇用継続給付は、失業しないように支援する給付です。

    基本手当

    基本手当は、雇用保険の被保険者の方が、定年、倒産、自主的な離職により失業したときに、失業中の生活を支援するために支給される給付金です。

    基本手当の額は、在職中の賃金によって決まります。

    基本手当を受給できる日数は、離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などによって決定します。

    給付日数は、90日~360日の間で決められます。

    特に倒産・解雇等により失業した時は、一般の離職者に比べ手厚い給付日数となります。

    特定受給資格者

    特定理由離職者

    基本手当の給付制限など

    さて、その基本手当ですが、失業した日から支給されるものではありません。

    まず、ハローワークで求職の申込みをしてから、7日間は支給の対象外です。これを待期期間といいます。

    なぜ、待期期間があるのかというと、ハローワークが本当に失業しているのかを確認するための期間だと言われています。であれば、確認がとれたら失業の初日にさかのぼって支給してもよさそうなものですが、そうはなりません。この最初の7日間は無支給です。

    待期期間は失業給付を受ける人すべてに適用されます。

    社会保険や労働保険での待期期間とは

    待期期間が終わってから、退職理由によって取り扱いが分かれます。

    自己都合退職か会社都合退職かの違いです。

    会社都合退職の場合は、待期期間が終われば支給が始まります。

    自己都合退職の場合は、さらに2か月待たなければなりません。これを「給付制限」といいます。

    会社都合退職というのは、倒産とか、工場閉鎖とか、退職勧奨や希望退職に応じた場合の退職です。

    自己都合退職というのは、まさに自分の都合で退職した場合です。

    悪いことをして解雇された場合は、会社の都合のように思うかもしれませんが、雇用保険では自己都合退職と同じ扱いになります。

    なお、自己都合退職と言っても、やむを得ない理由による退職は、会社都合退職と同じ扱いを受けます。いろいろありますが「特定受給資格者」や「特定理由離職者」で検索すればおおよそのことがわかると思います。

    自己都合退職に対して行われる給付制限は、令和2年10月1日に、3か月から2か月に短縮されました。

    ただし、5年間の間に3回以上自己都合退職した場合は3か月になります。また、重責解雇(雇用保険法上の概念で、労働者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇されたこと)の場合も3か月です。

    筆者自身、何度も転職経験があるのですが、全部自己都合退職でした。3か月は本当に長いです。あまり長いのでいずれも基本手当を受給する前に仕事が決まってしまいました。なので、基本手当は受給できませんでしたが、その代わり、再就職手当をもらいました。この度、給付制限が2か月に短縮されたのは良いことだと思いますが、それでも長いです。ずっとずっと前は1か月だったそうなので、いずれそこまで戻ればよいですね。

    2025年(令和7年)4月1日から、自己都合により退職した者が一定の教育訓練を受けた場合「給付制限」が解除され、すぐに基本手当を受給できるようになります。また、同時に、職業訓練を受けない自己都合離職者の給付制限が、通達改正により原則2か月から1か月に短縮されます。(5年間で3回以上自己都合離職をしている場合は従来通り3か月の給付制限期間があります。)

    就職促進給付

    失業等給付の就職促進給付のうち「就業促進手当」として、「就職手当」、「就業促進定着手当」、「就業手当」などがありがあります。

    再就職手当

    再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いた場合に基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に該当する場合に支給されます。

    就職促進定着手当

    就業促進定着手当は、再就職手当の支給を受けた人が、引き続きその再就職先に6か月以上雇用され、かつ再就職先で6か月の間に支払われた賃金の1日分の額が雇用保険の給付を受ける離職前の賃金の1日分の額(賃金日額)に比べて低下している場合、一定の要件に該当する場合に支給されます。

    就業手当

    就業手当は、基本手当の受給資格がある方が再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外の形態で就業した場合に、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上ある場合、一定の要件に該当する場合に支給されます。

    就業手当は、令和7年3月31日をもって廃止されます。

    常用就職支度手当

    常用就職支度手当は、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1未満である方で、高年齢受給資格者、特例受給資格者又は日雇受給資格者のうち、障害のある方など就職が困難な方が安定した職業に就いた場合、一定の要件に該当する場合に支給されます。

    教育訓練給付

    教育訓練受講に支払った費用の一部を支給する給付です。

    従業員の学びを後押し!人事担当者のための「教育訓練給付金」の基礎知識

    雇用継続給付

    雇用継続給付は、失業しないように支援する給付です。高年齢雇用継続給付、介護休業給付があります。

    高年齢雇用継続基本給付金を人事担当者向けに解説

    育児休業給付

    雇用保険の仕組みでは、育児休業給付は以前は雇用継続給付のなかに分類されていましたが、現在は失業等給付から分離されています。

    受給手続き

    失業して給付を受けるときは、自分でハローワークに行って手続きをしなければなりません。離職者から質問があれば、会社の担当者はできるだけ親切に対応することが求められますが、雇用保険の取り扱いは複雑で、しかも変更されることがしばしばあります。親切心からであっても間違ったことを教えて、そのために離職者が不利益をこうむることになってしまえば大きな問題に発展することもあります。特に、どうすれば得になるかなどの損得の説明は厳禁です。基本手当の受給に関することはハローワークの窓口に相談するように指導するのが無難です。

    基本手当等を受給するには雇用主が発行する離職票が必要です。会社として特に注意すべき点は、支給した賃金の額を間違えないこと、離職理由について事実を記載することの2つです。

    離職証明書と離職票

    在職中に受給する雇用継続給付等は、会社が代わって手続きすることが多いです。


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  • 有期事業の一括

    有期事業とは

    製造業やサービス業などの一般の事業では、事務所や店舗、工場などの事業所ごとに労災保険に加入します。これに対して、建設業では、一つ一つの現場が労災保険加入の単位になります。

    建設業は、元請、下請、孫請のいろいろな事業者が参加し、一体となって工事を進めているので、その実態に合わた加入形態になっているのです。

    また、工事は、目的となる建造物が完成すれば終了し、工事を進めてきた元請、下請の関係も解消されます。したがって、労災保険には、工事が開始日から終了日までの期間限定で入ります。このように「期間が有る事業」なので「有期事業」と呼びます。

    建設業では、それぞれの事業者が別々に労災保険に入るのではなく、現場全体をまとめて元請業者が労災保険に加入します。

    元請業者が、工事を1件始めるたびに労災保険加入の手続きを取って保険料を納め、終わったら終了の手続きを取って保険料を清算するのです。

    有期事業を一括する

    これまでの説明が有期事業が労災保険に入る場合の原則です。

    しかし、小規模な工事は膨大な件数があり、その全てに対して原則的な方法で労災申請するのであれば、事務負担も膨大になります。

    そこで、一定以下の規模の工事については、1年分の有期事業を一括して労災保険の手続きができる「一括有期事業」制度が作られました。

    有期事業の一括の要件

    「一括有期事業」に該当するかどうかは、

    1.事業主が同一人であること。
    2.それぞれの事業が建設の事業または立木の伐採の事業であること。
    3.事業の期間が予定されている事業であること。
    4.事業規模の要件

    があります。

    建設の事業

    建設の事業の規模の要件は、労働保険料の概算保険料を試算してみた場合、その額が160万円未満であって、かつ、請負金額(税抜き)が1億8,000万円未満(平成27年3月31日以前に開始された事業について消費税額を含む請負金額が1憶9,000万円未満)となっています。

    立木の伐採の事業

    立木の伐採の事業の要件は、労働保険料の概算保険料を試算してみた場合、その額が160万円未満であって、かつ、立木の伐採の事業においては、素材の見込生産量が1,000立方メートル未満であることとなっています。

    途中で拡大した場合

    はじめこの規模に該当していたものが、その後、保険料額、請負金額、素材の見込生産量が一括の基準以上に増加しても、あらためてその事業の分を一括から除外する必要はありません。

    5.それぞれの事業が他のいずれかの事業と相前後して行われること。

    6.以前は、管轄する都道府県労働局の管轄区域、またはそれと隣接する都道府県労働局の管轄区域内で行われる事業という地域要件がありましたが。地域条件は廃止されたため、遠隔地で行われるものも含めて一括されます。

    一括有期事業開始届の廃止

    一括有期事業を行う事業主は、それぞれの事業を開始したとき、翌月10日までに一括有期事業開始届を所轄の労働基準監督署長に提出する必要がありました。しかし、平成31年4月1日以降に開始する一括有期事業については、この一括有期事業開始届が廃止されるため、提出する必要がなくなりました。

    一括有期事業開始届が不要になっただけで労働保険料の申告納付は当然必要です。また、要件を超える大きな工事をおこなうような場合は、今までどおり工事ごとに労災保険の加入の手続きをおこなう必要があります。

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  • 高年齢被保険者と高年齢求職者給付金

    高年齢被保険者とは

    65歳以上の雇用保険加入者を「高年齢被保険者」といいます。高年齢被保険者の年齢制限はありません。

    高年齢被保険者の加入資格は、一般の労働者の加入資格と同じです。

    □ 1週間の所定労働時間20時間以上
    □ 31日以上の雇用見込みがあること

    事業主は、上記の要件を満たす労働者を雇用したときは、年齢にかかわらず、雇い入れ日の翌月10日までにハローワークへ資格取得届を提出しなければなりません。

    継続して勤務している雇用保険加入者が65歳に達した以降も雇用を続けた場合は、自動的に高年齢被保険者に切り替わるため、新たな手続きは必要ありません。

    被保険者資格の特例

    複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの事業所での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができます。

    □複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
    □2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
    □2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

    高年齢求職者給付金

    高年齢被保険者は、一般被保険者と、給付の扱いで違いがあります。特に多きな違いは、失業したときに基本手当が支給されず、高年齢求職者給付金が支給されることです。

    6ヶ月以上雇用保険に加入している高年齢被保険者は、失業したときに高年齢求職給付金を受給することができます。高年齢求職給付金は一般の雇用保険加入者が受け取る基本手当に代わる失業給付です。

    基本手当と違って、高年齢求職給付金は一時金です。基本手当日額の50日分または30日分が支給されます。老齢年金と併給できます。

    その他の給付金

    高年齢被保険者は条件を満たせば、「育児休業給付金」、「介護休業給付金」、「教育訓練給付金」も受給することができます。

    担当者の説明

    登場人物

    Aさん(65歳になる退職予定の従業員)
    Bさん(人事担当者)

    Bさん:
    「Aさん、退職後の失業給付についてのご質問ですね。Aさんは65歳になっているので高年齢求職者給付金の対象になります。」

    Aさん:
    「はい。65歳を過ぎると普通の失業手当は受けられないと聞いて、気になっているのですが……」

    Bさん:
    「受け取れないということはありません。65歳になるまでの人が失業したときは、雇用保険の『基本手当』の対象になりますが、65歳からは『高年齢求職者給付金』の対象になるということです。ここからは『高年齢求職者給付金』について説明させていただきますが、まず、この給付金は一時金で受給できることが特徴です。」

    Aさん:
    「一時金ってどういうものですか?」

    Bさん:
    「月に一回というような形で支給されるのではなく、一括で支給されるものです。Aさんの場合、雇用保険の加入期間が1年以上ありますから、50日分の基本手当日額をまとめて受け取ることになります。」

    Aさん:
    「なるほど、まとめてもらえるんですね。毎月もらう形じゃないんですか?」

    Bさん:
    「はい。65歳未満の失業手当は28日ごとの支給ですが、高年齢求職者給付金は一度に支給されます。
    さらに、支給回数に上限がないので、今後また再就職して離職された場合も、条件を満たせば何度でも申請できます。」

    Aさん:
    「年金をもらっていると減らされるんでしょうか?」

    Bさん:
    「そこは安心してください。高年齢求職者給付金は年金と併給可能なので、年金を受け取りながらも受給できます。」

    Aさん:
    「申請手続きはどうすればいいんでしょうか?」

    Bさん:
    「退職後にハローワークで、離職票を提出して求職の申し込みをしてください。
    その後、失業認定を受けて、7日間の待機期間が終わったら支給されます。
    なお、受給の申請は退職日の翌日から1年以内に済ませないと無効になるので気をつけてくださいね。」

    Aさん:
    「ありがとうございます。再就職したい気持ちもありますし、手続きしてみます。」


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  • 雇用保険の日雇労働被保険者

    日雇労働者とは

    日雇労働者とは、日々雇い入れられる者(その日ごとに労働関係を清算する特殊な労働形態を常態とする労働者)、及び30日以内の期間を定めて雇い入れられる者のことをいいます。

    直前2ヶ月の各月に同一事業主に18日以上雇用された場合、及び同一事業主に継続して31日以上雇用された場合は、原則として、雇用保険の一般保険者として取り扱われます。

    日雇労働被保険者とは

    日雇労働者のうち、一定の要件に該当する者が日雇労働被保険者になることができます。

    要件に該当する日雇労働者は、その要件に該当するに至った日から5日以内に居住地を管轄する公共職業安定所長に届出をしなければなりません。

    この届出によって公共職業安定所長から日雇労働の実態があるなど日雇労働被保険者であると確認された場合には、日雇労働被保険者手帳が交付されます。

    日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙を貼付

    日雇労働被保険者は事業主に使用されたときはその都度、雇用保険印紙の貼付を受けるために、所持する日雇労働被保険者手帳を事業主に提出しなければなりません。

    事業主は、日雇労働被保険者を使用した場合には、その者に賃金を支払う都度、その使用した日数に相当する枚数の雇用保険印紙をその使用した日の被保険者手帳における該当日欄にはり、消印しなければなりません。

    日雇労働求職者給付金

    失業した日雇労働被保険者は、失業の日の属する月の前2ヶ月において通算して26日分以上の印紙保険料が納付されている場合に、公共職業安定所において失業認定を行った上で、日雇労働求職者給付金が支給されます。

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  • 雇用保険の特定受給資格者

    特定受給資格者とは

    特定受給資格者とは、倒産、解雇等の理由により、再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた雇用保険の被保険者のことです。

    被保険者が離職し失業給付を受ける場合は、通常離職日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヶ月以上必要ですが、特定受給資格者に該当する者については、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上あれば受給することができます。

    特定受給資格者は3ヶ月間の給付制限がありません。

    特定受給資格者は給付日数の優遇措置があります。

    特定受給資格者の範囲

    倒産等により離職した者

    1.事業所の倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等) に伴い離職した者

    2.事業所が次の状態になったために離職した者

    □ 事業所において、再就職援助計画の申請が出された
    □ 大量雇用変動(1ヶ月に30人以上の離職を予定)の届出がされた
    □ 当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が離職した

    3.事業所の廃止(事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
    4.事業所が移転することにより、通勤することが困難となったため離職した者

    解雇等により離職した者

    1.解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者

    2.労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者

    3.賃金(退職手当を除く。)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことにより離職した者

    4、賃金が、当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した (又は低下することとなった) ため離職した者(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)

    5.離職の直前6ヶ月のうちに次の時間外労働が行われたため離職した者

    □ いずれか連続する3ヶ月で45時間
    □ いずれか1ヶ月で100時間
    □ いずれか連続する2ヶ月以上の期間の時間外労働を平均して1ヶ月で80時間を超える時間外労働が行われた

    また、事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者

    6.事業主が法令に違反し、妊娠中若しくは出産後の労働者又は子の養育若しくは家族の介護を行う労働者を就業させ、若しくはそれらの者の雇用の継続等を図るための制度の利用を不当に制限したこと又は妊娠したこと、出産したこと若しくはそれらの制度の利用の申出をし、若しくは利用をしたこと等を理由として不利益な取扱いをしたため離職した者
    7.事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行って いないため離職した者

    8.期間の定めのある労働契約の更新により3年以上引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者

    9.期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記8に該当する場合を除く。)

    10.次のハラスメントにより離職した者

    □ 上司、 同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けた
    □ 事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかった
    □ 事業主が職場における妊娠、出産、育児休業、介護休業等に関する言動により労働者の就業環境が害されている事実を把握していながら、雇用管理上の必要な措置を講じなかった

    11.事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者(従来から恒常的に設けられている 「早期退職優遇制度」 等に応募して離職した場合は、 これに該当しない。)

    12.事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3ヶ月以上となったことにより離職した者

    13.事業所の業務が法令に違反したため離職した者

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  • 労働保険の二元適用事業とは

    一元適用事業とは

    まず、一元適用事業について

    雇用保険と労災保険に関する事務をまとめて手続きできる事業を、労働保険の一元適用事業といいます。

    二元適用事業とは

    雇用保険と労災保険の適用労働者の範囲、適用方法に相違があって、両保険に関する事務を一つにまとめて処理することがむずかしい事業では、労災保険の適用・徴収事務と雇用保険の適用・徴収事務を別々に行います。これを二元適用事業といいます。

    二元適用事業に該当する事業

    □ 都道府県、市町村およびこれらに準ずるものの行う事業
    □ 港湾労働法の適用される港湾における港湾運送の事業
    □ 農林・畜産・養蚕・水産の事業
    □ 建設の事業

    二元適用事業以外の事業が一元適用事業です。

    二元適用事業の保険関係成立届

    二元適用事業の場合、労災保険の手続きは、「労働保険保険関係成立届」を管轄の労働基準監督署に提出します。そして、その年度分の労働保険料(労災保険分)を概算保険料として申告・ 納付します。

    雇用保険の手続きは、管轄の公共職業安定所に「労働保険保険関係成立届」を提出します。労働保険保険関係成立届の控えの写しの提出ではない点が一元適用事業の場合と異なります。同時に「適用事業所設置届」と「被保険者資格取得届」も提出します。そして、その年度分の労働保険料(雇用保険分)を概算保険料として申告・納付します。

    二元適用事業の年度更新

    労働保険料は、毎年6月1日から7月10日までの間に行うことになっています。これを年同更新といいます。二元適用事業の場合は、労働保険料のうち労災保険分を労働基準監督署に、雇用保険分を都道府県労働局にそれぞれ申告・納付します。

    例えば、建設業では次のようになります。

    1.工事現場の労災保険料を、工事現場の労働者の賃金総額をもとに計算します。

    2.本店、事務所などの労災保険料は、工事現場の労働者を除く賃金総額をもとに計算します。

    3.雇用保険料は、会社全体の雇用保険の対象者の賃金総額をもとに計算します。

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