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就業規則や36協定を本社で一括して届出る方法

Last Updated on 2025年6月16日 by

就業規則の届出義務

就業規則を作成・変更したときは、事業場を管轄する労働基準監督署に届出しなければなりません。

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原則としてこの届出は事業場ごとに行うことになっているので、本社だけでなく、支店や営業所からも提出しなければなりません。

だだし、条件を満たせば、本社で一括して行うことができます。

本社一括届出制度について

本社一括届出とは

本社一括届出とは、支店や営業所など複数の事業場を持つ企業が、就業規則や36協定(時間外労働・休日労働に関する協定届)といった労働基準法に基づく届出を、本社を管轄する労働基準監督署へ一括して提出できる制度です。

本来、就業規則や36協定などの労使協定に関する手続きは、各事業場がそれぞれを管轄する労働基準監督署へ個別に届出を行うのが原則です。しかし、企業の事務負担を軽減するため、一定の要件を満たす場合に限り、本社を管轄する労働基準監督署への本社一括届出が認められています。

本社一括届の条件

以下の条件をすべて満たすときは書面等またはe-Govからの電子申請で本社が一括して届出することができます。

同じ内容であること

一括して届出を行う場合には、本社と各事業場の就業規則や36協定が同じ内容でなければなりません。変更の場合も、同一のところを同一に変更したものであることが必要です。

届出事業場の一覧表を作成する

提出された就業規則は、各労働基準監督署へ送付されるため、各事業場の名称、所在地、電話番号および事業場を管轄する労働基準監督署名を記した届出事業場の一覧表を作成して添付します。

その一覧に「各事業場の就業規則は本社と同一内容である」、「各事業場の就業規則は変更前及び変更後とも本社と同一内容である」「各事業所の労使協定は本社と同一内容である」と記載します。

届出を行う事業場数の書類を添付する

本社で一括して届出を行うと、各事業場を管轄する労働基準監督署に届出された就業規則や労使協定が送付されます。そのため、一括して届け出る際には、本社を含む事業場の数の書類が必要です。ただし、該当する事業場が同一の労働基準監督署内にある場合を除きます。

事業場ごとに労働者代表が異なる場合

就業規則の意見書は、労働組合が単一組織で、本社および対象事業場の労働者の過半数が加入している労働組合が存在し、全事業場の過半数労働組合の意見が同意見であるときは、労働組合の意見書に「全事業場の過半数労働組合とも同意見である」旨を記載し、労働組合の意見書の写しを対象事業場分添付します。

36協定の場合、すべての事業場について1つの過半数労働組合と36協定を締結している場合に、本社一括届出が可能です。

電子申請の場合は事業場ごとに労働者代表が異なる場合であっても、本社一括届出が可能です。(2021年3月末から)

2025年4月からの変更点:労働条件ポータルサイトの活用

これまでの本社一括届出の方法は、書面での提出またはe-Govからの電子申請の2つが主な方法でした(1年単位の変形労働時間制に関する届出は電子申請のみ)。

2025年4月からは、労働条件ポータルサイト「確かめよう 労働条件」からの電子申請による方法が新たに追加されました。この労働条件ポータルサイトを利用する場合、就業規則や36協定等の内容が本社と異なる場合でも一括届出が可能になりました。

本社と異なる内容でも一括届出が可能に

これまで、書面やe-Govによる本社一括届出を行う場合、本社と各事業場の就業規則や36協定の内容が同一であることが条件でした。

しかし、労働条件ポータルサイトを利用すれば、本社と各事業場の就業規則や36協定などの内容が異なる場合でも一括届出が可能になりました。

労働条件ポータルサイトによる一括届出が可能な届出

労働条件ポータルサイトを利用した一括届出が可能となる手続きは、現時点(2025年4月時点)では以下の3つに限られています。

  • 就業規則
  • 36協定(一般条項・特別条項・新技術・新商品の研究開発業務)
  • 1年単位の変形労働時間制に関する協定

一方で、1か月単位の変形労働時間制に関する協定や、フレックスタイム制における労使協定などは、現時点ではこの拡充の対象外です。

厚生労働省は企業の事務負担の軽減を積極的に進めているため、今後、これらの手続きについても労働条件ポータルサイトからの一括届出が可能になると期待されます。

今後も、労働関係手続きの電子化・効率化は一層進む見込みです。企業としては、こうした制度変更をいち早く把握し、適切に対応できる体制を整えることが重要です。


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