Last Updated on 2021年7月29日 by 勝
長期間労働と脳・心臓疾患
長時間労働が続くと疲労が蓄積し、血管病変等を引き起こし、その結果、脳・心臓疾患を発症させることがあります。最悪な場合は死亡にいたることがあります。
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長時間労働と発症との関連性については、次のように判断することになっています。
時間外労働が
1.発症前1ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、おおむね1ヶ月当たり45時間以内の時間外労働におさまっていれば業務と発症の関連性は弱い
2.発症前1ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、おおむね1ヶ月当たり45時間を超えて、時間外労働が長くなるほど業務と発症の関連性は徐々に強まる
3.発症前1ヶ月間におおむね100時間又は発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって、1ヶ月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強い
業務と発症の関連性があれば、労災に認定されることが多く、あわせて、使用者の安全配慮義務違反などが認定されれば、民事の損害賠償請求をされることがあります。
長時間労働にならないように対策する
可能な限り法定労働時間内に仕事を終えるのが基本です。常態的に時間外労働が発生している場合には、その原因を分析しましょう。
なぜ長時間労働になるか原因を究明
外部要因
「仕事量が多いから」、「納期にゆとりがないから」など
内部要因
「残業手当を生活の当てにしているから」など
環境要因
「皆が残業しており、先に帰りづらいから」など
長時間労働の外部要因の対策
「そもそも仕事量が多い」という原因は、会社の努力で解決できる問題です。その人に与えられている仕事量が適正なのかを分析し、適正でなければ仕事の分担を改めます。仕事量が適正なのに時間内に終われないのであれば、その人の仕事処理能力に問題がありますから、相談、指導、教育を行い、処理能力の向上を支援しましょう。ただし、すぐに処理能力が向上するわけではありませんから、当面は、仕事量を減らしてやるなどの配慮が必要になるでしょう。
「納期にゆとりがないから」という原因は、ほとんどは取引先からの要求で残業せざるを得ないケースであり、相手が外部なだけに難しいことだと思います。会社の生産能力を正しく理解し、無理な受注をしないように営業部門等への理解を得るように、日頃から社内コミュニケーションに心がける必要があります。また、社内での応援態勢などの仕組みをつくり、担当者に責任を押しつけ孤立させないようにしなければなりません。
長時間労働の内部要因の対策
「残業手当を生活の当てにしているから」という原因があるとすれば、必要な労働時間を引き延ばしていることも考えられ、労働時間の効率は落ちているはずです。残業に頼らざるを得ない賃金体系は、結局は従業員のモチベーションを阻害し、会社の生産性を落とします。長期的視点にたって、賃金体系の変更と効率の良い働き方の両立を目指しましょう。
長時間労働を分析すれば、特定の人だけが長時間労働をしているという結果が出ることがあります。その人はなぜ長時間労働をしているか、原因を特定し、外部要因があれば取り除く努力をし、本人に要因があれば、改善に向けた指導教育を強めましょう。
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長時間労働の環境要因の対策
「皆が残業しており、先に帰りづらいから」という原因は、職場の上司に大きな問題があります。管理職に対する指導教育を繰り返し、時間を費やすよりも効率よく成果を出すことが尊いという職場風土の醸成に努めましょう。
長時間労働者への医師による面接指導制度
一定の時間を超えて長時間労働をした人に対して面接指導を実施します。
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