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賃金

賞与について

Last Updated on 2024年10月12日 by

賞与とは

毎月の給与とは別に支給される賃金を賞与といいます。ボーナスともいいます。

賞与は、会社の業績が予定より良かったときに従業員に利益を配分するものという性格があります。

支給の時期は、6月と12の年2回が多いです。

労働条件の一つなので明示する

労働条件の明示が義務づけられている絶対的明示事項には、臨時に支払われる賃金である賞与は入っていませんが、実際に賞与を支給している場合は、相対的明示事項なので労働条件として明示しなければなりません。

具体的には、就業規則に記載するとともに、労働条件通知書で明示します。

また、パートタイマーに対しては、労働基準法の明示義務に加えて、「昇給の有無」「退職手当の有無」と共に、「賞与の有無」の明示が義務づけられています。

賞与の計算

賞与は賃金の一つなので、通常の給与計算とほぼ同様に、所得税や社会保険料等を控除する必要があります。

健康保険と厚生年金保険では、支給予定回数が年3回以下のものを賞与としています。予定回数が年4回以上の場合は、これら全てを給与として扱います。給与だと「標準報酬月額」を使い、賞与だと「標準賞与額」を使うので、違いがでてきます。

賞与支払届を支払いの5日後までに提出しなければなりません。

評価を反映する

賞与は、成果に対して支給する度合いが大きいものです。成果には、数字で見える成果と数字だけでは見えない成果があります。従業員の貢献度をなるべく正確に把握するためには、経営者一人の目線だけでは足りません。評価制度をつくり、納得性の高い賞与配分を心がけましょう。

関連記事:評価を賞与に反映する

賞与の支給義務

賞与は法律的な義務はないので、支給するかしないか、支給するすればいつ支給するか、誰を対象に支給するか、金額決定の基準はどうか、などをそれぞれの会社が独自のやり方を就業規則で決めることができます。

在籍条件

支給日に在籍している者に対し支給することを、就業規則などで定めていれば、支給日前(たとえ支給日前日であっても)に退職した従業員に賞与を支給しなくてもよいと考えられています。

賞与が賃金の後払い的性格があること、また、功労報償的性格及び将来の貢献に対する期待などの性格があるとして、支給日在籍要件を肯定する判例が多いからです。

ただし、学説においては、従業員が退職日を任意に選択できない死亡退職、定年退職及び整理解雇のような場合は公序良俗違反だと見るものが多いようです。

死亡により退職した者に関する賞与の在籍日支給要件が争点となった最近の裁判(内科事件 松山地裁 令和4年11月2日)では公序良俗に反するとして賞与請求が認められました。支給日在籍要件についてその是非を検討すべき時期かもしれません。

なお、在籍日の条件が明確に定められていない場合、あるいは、過去に就業規則に反して、支給日に在籍していない人に支給された事実があれば、在籍期間に応じた支給が必要になると考えられます。

会社の支給義務

賞与は、毎月の給料と違って、払えなくなっても賃金不払いなどの法律違反にはなりません。

ただし、就業規則に「賞与を支給する」と断定的に書いてあれば、不支給は就業規則に違反するので、労働者は就業規則をたてに支給を請求することができます。

就業規則には、賞与は業績によって支払わないことがある旨の規定を入れておくべきでしょう。

就業規則の記載が「毎年6月と12月に賞与を支給する。ただし、会社の業績によっては支給しないこともある」であれば、業績悪化によって支給をしないことがあっても問題ありません。

ただし、この規定で、業績が良い、あるいはそれほど悪くないのに支給しないのであれば、就業規則に反する可能性があるので、労働者側には給付請求権があると考えられます。

また、慣行として定着した場合には権利が発生するのではないかということが問題になったことがありました。これも、長い期間にわたって賞与支給を継続してきた事実があったとしても、支給継続が慣行化して権利に転嫁することはないので、業績を反映させて不支給になっても問題ありません。

正規非正規の待遇格差について

厚生労働省告示第430号「同一労働同一賃金ガイドライン(平成30年12月28日)」が出ています。

ガイドラインには、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、待遇差が存在する場合に、いかなる待遇差が不合理なものであり、いかなる待遇差は不合理なものでないのかが示されています。

各企業においては、賞与を含む現状の待遇について、ガイドラインに沿った点検、是正が必要です

規定例

関連規程:賞与|就業規則


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