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安全衛生管理

病者の就業禁止について

Last Updated on 2024年11月1日 by

法令に基づく就業の禁止

労働安全衛生法

会社は場合によっては法令に基づいて従業員の就業を禁止しなければなりません。

労働安全衛生法第68条 事業者は、伝染性の疾病その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

感染する病気だけでなく、心臓等も対象になる場合があります。

労働安全衛生規則第61条にもう少し詳細に示されています。

1 事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止しなければならない。ただし、第一号に掲げる者について伝染予防の措置をした場合は、この限りでない。
一 病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかった者
二 心臓、腎臓、肺等の疾病で労働のため病勢が著しく憎悪するおそれのあるものにかかった者
三 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものにかかった者
2 事業者は、前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならない。

また、この条項により就業禁止をする場合は、医師の意見をきかなければならないと定められています。産業医その他専門の医師です。

感染症法

伝染性の疾患については感染症法も参照する必要があります。

感染症法第18条
1 都道府県知事は、一類感染症の患者及び二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の患者又は無症状病原体保有者に係る第十二条第一項の規定による届出を受けた場合において、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該者又はその保護者に対し、当該届出の内容その他の厚生労働省令で定める事項を書面により通知することができる。
2 前項に規定する患者及び無症状病原体保有者は、当該者又はその保護者が同項の規定による通知を受けた場合には、感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として感染症ごとに厚生労働省令で定める業務に、そのおそれがなくなるまでの期間として感染症ごとに厚生労働省令で定める期間従事してはならない。

感染症法18条には1類~5類および新型インフルエンザが規定されています。

(抜粋)
1類 エボラ出血熱 、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト 、マールブルグ病、ラッサ熱
2類 急性灰白髄炎 、結核 、ジフテリア 、重症急性呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。)、中東呼吸器症候群(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。) 、鳥インフルエンザ(H5N1) 、鳥インフルエンザ(H7N9)
3類 コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス
その他 新型インフルエンザ

このうち、1類~3類までの感染症および新型インフルエンザは、法により就業禁止になります。4類及び5類は就業禁止になりません。

厚生労働省のホームページによると、季節性インフルエンザは5類感染症に分類されています。したがって、通常のインフルエンザには法に基づく就業禁止命令は出せないことになります。

新型コロナウイルス感染症は、2類相当に位置付けられています。(2020年8月26日時点)

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労働契約法

事業主の判断で従業員の安全に配慮して就業を禁止することもできます。

労働契約法第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

会社には、病気の従業員の健康に配慮する義務があるので、就業を続けることで症状が悪化したり、事故を誘発したりする可能性を予見したときは就業を禁止することができます。

給与や休業手当の扱い

法令に基づいて就業を禁止したときは、給与や休業手当の支払義務がありません。賃金の支払いがなかったときは、従業員は健康保険の傷病手当金の給付を受けることができます。

労働者本人以外の、家族等の罹患により、念のために会社の判断で就業を禁止した時は、会社都合による休業になるので、給与の支給または休業手当の支払いが必要です。

つまり、法律等に基づかない使用者の独自の判断により、労働者を休ませた場合は、使用者の責に帰すべき事由による休業になるので、給与を支払うか、労働基準法に基づき、休業期間中の休業手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)を支払わなければなりません。

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