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採用の事務

募集時の労働条件の明示

Last Updated on 2023年7月14日 by

書面による明示事項

求人をするときは、求職者に対して、書面の交付等(電子メール含む)により労働条件を明示しなければなりません。

明示すべき項目は、「職業安定法」及び「職業安定法施行規則」により以下のように定められています。

職業安定法施行規則第4条の2(抜粋)
3 法第五条の三第四項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。ただし、第八号に掲げる事項にあつては、労働者を派遣労働者として雇用しようとする者に限るものとする。
一 労働者が従事すべき業務の内容に関する事項
二 労働契約の期間に関する事項
二の二 試みの使用期間に関する事項
三 就業の場所に関する事項
四 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項
五 賃金(臨時に支払われる賃金、賞与等を除く。)の額に関する事項
六 健康保険法による健康保険、厚生年金保険法による厚生年金、労働者災害補償保険法による労働者災害補償保険及び雇用保険法による雇用保険の適用に関する事項
七 労働者を雇用しようとする者の氏名又は名称に関する事項
八 労働者を派遣労働者として雇用しようとする旨
九 就業の場所における受動喫煙を防止するための措置に関する事項

裁量労働制や固定残業代がある場合

また、「職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、労働者供給事業者等が均等待遇、労働条件等の明示、求職者等の個人情報の取扱い、職業紹介事業者の責務、募集内容の的確な表示等に関して適切に対処するための指針」(指針)により、裁量労働制や固定残業代を採用している場合は、上記の項目に追加して次の明示が必要です。

□ 裁量労働制が適用されることとなる場合には、その旨を明示する。

□ 固定残業代を採用する場合は、名称のいかんにかかわらず、

固定残業代に係る計算方法
固定残業代を除外した基本給の額
固定残業時間を超える時間外労働、休日労働及び深夜労働分についての割増賃金を追加で支払うこと 等を明示する。

求人情報を変更したとき

求人情報として明示していた労働条件を変更した場合は、速やかに、労働契約を締結しようとする求職者にその変更した内容等を明示しなければなりません。

上にリンクしたリーフレットにもありますが、変更点を「当初の明示と変更された後の内容を対照できる書面を交付する方法」「労働条件通知書において、変更された事項に下線を引いたり着色したりする方法や、脚注を付ける方法。」とあります。それくらい強調しなければならないということです。

例えば、賃金等の明示していた労働条件を変更したときは、

当初:基本給30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月 などのように、「変更前」と「変更後」を記載した書面を交付します。

求人広告の拘束力

労働者が求人広告に応募して労働契約を申し込むときは求人広告の内容を当然に前提としているので、違いの説明なしに求人広告の内容とは異なる労働条件で労働者を採用したときは、求人広告の内容で労働契約が成立したというべきであるとした裁判例があります。求人広告内容と違う労働条件で採用するときはきちんとその理由等を説明して合意を得なければなりません。

さらに、求人広告の内容と異なる労働契約が示されたとき、外形上が労働者がこれに同意したように見えるときも、その労働者の同意は労働者の自由意思に基づくものではないと判断されるときはその労働条件は無効になってしまいます。求人広告以下の労働条件で採用したときは、あとで労働者が自由意志の合意でないと主張すればその条件部分を広告の水準まで引き上げなければならない可能性があります。

採用時の労働条件通知

このページで説明した労働条件の明示は職業安定法によるものです。実際に採用が決まって労働契約を締結するときは、労働基準法に基づく労働条件の通知が必要です。

採用時の労働条件明示


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