Last Updated on 2021年9月5日 by 勝
労働基準法の定め
労働者を採用するときは、賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません。
労働基準法第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
厚生労働省令で定める事項は、労働基準法施行規則第5条に以下が列記されています。
このうち、第四号の二から第十一号までに掲げる事項は、定めがある場合に明示しなければならない事項です。
一 労働契約の期間に関する事項
一の二 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
一の三 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
二 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
三 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
四 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
四の二 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
五 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
六 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
七 安全及び衛生に関する事項
八 職業訓練に関する事項
九 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
十 表彰及び制裁に関する事項
十一 休職に関する事項
労働条件通知書の交付
労働基準法施行規則第5条4 法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。
労働条件通知書を書面で交付するのが原則ですが、労働者の希望があれば、ファクシミリと電子メールを使うこともできます。
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厚労省ホームページに「労働条件通知書」が掲載されています。WordとPDFでダウンロードできます。
労働条件明示の一部は、労働条件を記載した辞令の交付や就業規則の交付によって行う場合もあります。その場合は労働条件通知書の記載事項は簡略にできます。
受領印をもらって保管する
労働条件の通知をした証拠を残した方が安心です。労働条件通知書の書式を作るときに、文書の末尾に「この労働条件通知書を受領しました。令和〇年〇月〇日氏名〇〇〇〇印」という欄を作りましょう。
労働条件通知書は二部作り、一部は従業員に保管してもらい、もう一部に記入押印してもらって会社が保管しましょう。同様に就業規則などを交付したときも交付文書一覧に受領印を押してもらいましょう。
労働条件に付いて納得すれば雇用契約書を取り交わします。
書式:雇用契約書のサンプル
パートタイム・有期雇用労働法に基づく明示
パート従業員や有期雇用従業員には、上記に加えて、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、相談窓口についても文書を交付して明示しなければなりません。(パート有期雇用労働法第6条)
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求人段階での労働条件明示
このページで説明した労働条件の明示は、採用時に行うもので、労働基準法に定められたものです。求人段階での労働条件の明示については職業安定法に定められています。
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