Last Updated on 2024年11月19日 by 勝
雇用契約書とは
雇用については民法に規定があります。
民法第623条 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。
雇用契約は雇用するされるの契約です。文書化したものが雇用契約書です。
民法623条により、雇用契約書の有る無しに関わらず「約し」た段階で契約が成立します。民法には雇用契約書を交わさなければならないとまでは書いていません。つまり、雇用契約書を作成しなくても罰則はありません。
民法とは別に、労働契約法では労働契約をできる限り書面にすることを求めています。
労働契約法第4条2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。
「できる限り」という表現の通り、強制的なものではありません。
なお、民法では「雇用契約」と言いますが、労働契約法では「労働契約」と言います。同じものです。契約書を作るときはどちらのタイトルにしても構いません。
労働条件通知書とは
労働基準法には労働条件通知書の規定があります。労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示する書類です。
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雇用契約書の方は「できる限り」ですが、労働条件通知書は交付する義務が罰金付きで定められています。
雇用契約書があった方がよい理由
労働条件通知書と雇用契約書は記載すべき事項がほぼ同一なので、法的義務がある労働条件通知書を交付すれば、法的義務がない雇用契約書はいらないと考える使用者もいます。
しかし、労働条件通知書と雇用契約書は似ているようで違うところがあります。
第一に、労働条件通知書は契約書ではありません。
雇用契約書は双方の合意によって作成する文書です。
労働条件通知書は使用者が労働者に交付する書類です。
労働条件通知書に受領印を押してもらって、合意を得たという形にしている企業もありますが、受領印は受領したという証拠にしかなりません。
やはり双方が合意の上で労働条件を決めたということが文書の上からも一目瞭然であることが望ましく、そのため、労働条件通知書があっても、別途、雇用契約書を取り交わすべきなのです。
雇用契約書の記載事項
契約したことの文言
株式会社○○(以下「甲」)と○○○○(以下「乙」)は、下記の通り雇用契約を締結する。
双方の署名または記名捺印
雇用する側および雇用される者が署名(もしくは記名捺印)して合意したことを証明します。
本契約の成立を証するため、本契約書2通を作成し、署名(記名捺印)の上甲乙が各1通を保有する。
○○年○月○日
(甲) ○○県○○市○○町○-○-○ ○○株式会社 代表取締役 ○○○○
(乙) ○○県○○市○○町○-○-○ ○○○○
記載すべき項目
記載する項目は、労働基準法で明示しなければならないとしている労働条件全部です。
□ 労働契約の期間
□ 就業する場所
□ 従事する業務内容
□ 始業・終業時間
□ 交替制のルール
□ 所定労働時間を超える労働の有無
□ 休憩時間・休日・休暇
□ 賃金の決定・計算・支払方法・締切日・支払日
□ 昇給に関する事項
□ 退職に関する規定
パートタイム労働者については、次の4項目も必要です。
□ 昇給の有無
□ 退職手当の有無
□ 賞与の有無
□ 相談窓口
各項目の詳細については次のページで解説してます。
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